東京都杉並区西荻窪のコミュニティ「西荻大作戦」のみなさんとグリーンピース・ジャパンが出会ったのは、2021年の春でした。

カフェ店主や子育て中のお母さんなど、西荻窪という地域コミュニティでつながった様々な方々が、周囲のお店へマイ容器でお買い物ができるように働きかけるなど、使い捨てプラスチックを使わない新しい社会を地域から実現するために、活動しています。

今回は「西荻大作戦」のメンバー、ブランシャー明日香さんと、石原玲子さんにお話を伺いました。

ブランシャー明日香さん(以下、明日香さん)
カフェ・カワセミピプレット店主。西荻オトナカ大作戦を担当。

石原玲子さん(以下、玲子さん)
グリーンピースと一緒に西荻グッバイ・ウェイスト大作戦の企画をリード

「今日から私は環境活動家だ!」

明日香さん:

2019年から、カフェ・カワセミピプレットを経営しています。初めから、環境に配慮したカフェにしたいと思っていました。元々エコロジーには興味がありましたが、2011年の原発事故の頃から、より環境問題や食について心配するようになりました。

2020年の春、新型コロナウイルスの影響で休業を強いられてしまいましたが、そのタイミングで、グリーンピース・ジャパンのアンバサダーでもある武本匡弘さんのお店「エコストアパパラギ」で開催されているネイチャーセミナーに参加しました。海洋プラスチック問題や、気候変動の問題が非常に深刻な状況であることを改めて痛感し、Zoomを閉じた瞬間から、「私は環境活動家だ!」と思い、その日が活動のスタートとなりました。

その年にまず『西荻脱プラ大作戦』を開催し、武本さんなど様々な方をゲストにお呼びし講演をいただいたことで、企画した自分たち自身が勉強になりました。何よりも楽しいし、経験を積めること、環境活動を人にシェアしながら自分もステップアップできるということがやりがいです。

昨年10月に西荻窪で開催されたプラスチックモンスターパレード。マイクを持っているのが明日香さん

「日本に戻った時、使い捨てプラスチックの多さにショックを受けました」

玲子さん:

今の自分にとって一番大事なことは、子どもたちの健康です。アメリカで子育てをしていた時は、なるべく無農薬のものを選んだり、新鮮な野菜や果物を買えるファーマーズマーケットに行ったりしていました。プラスチックごみの問題も、食のことと同じように、他人事ではなく自分のこととして考え、なるべく使わないように生活しています。

私自身や家族の仕事の関係もあって、これまでほとんどの時間を海外で過ごし、様々な国や地域で暮らしてきました。1年半ほど前に日本に戻ってきましたが、いざ住んでみると、使い捨てプラスチックの多さにショックを受けました。

世界では、既にプラスチックごみ問題に対して様々な人が行動を起こしていますが、日本ではまだ実際に行動に移している人が少ないと感じます。そこにもやもやして、何かしたいと思っていた時、グリーンピースの方から西荻グッバイ・ウェイスト大作戦のアイデアを聞いて、「よし、乗った!」と思いました。

西荻グッバイ・ウェイスト大作戦のチラシ

子どもたちの想いを受けて「直接的な行動をしたい」

昨年10月30日、西荻大作戦メンバー主催で、使い捨てプラスチック問題についての啓発パレードを実施。近隣住民25名ほどが集まり、ハロウィーンに合わせプラスチックごみで仮装して街を歩き、駅前で脱使い捨てプラスチックについて想いを伝えるスピーチを行いました。

明日香さん:

プラモンパレードの開催を決めたきっかけは2つあって、ひとつは映画『The Story of Plastic』を観たり、グリーンピースの方のお話をイベントで聞いたりして、使い捨てプラスチック問題の深刻な現状に、大きな衝撃を受けたことです。もうひとつは、三鷹でプラモンやっつけ隊という活動をしている小学生の子どもたちがいるのですが、彼らの活動発表イベントに参加して、その一生懸命な姿に胸を打たれたことです。

今すぐにできて、目に見えて、地元の人たちに活動していることが伝えられることはなんだろう、と考えた結果、パレードをしようという話になりました。

ただパレードするだけでなく、使い捨てプラスチック包装を減らして欲しいというみんなの声を集め、今回は駅前のスーパー(SEIYU)に届けに行きました。

市民には、システムチェンジを起こす力がある

明日香さん:

今、大きなシステムチェンジが必要なことはわかっていて、じゃあ私たちに何ができるだろうと考えた時、それは自分の周りのコミュニティの中で一緒に活動してくれる仲間を一人でも多く増やすことだと思いました。

自分一人でできる範囲のエコ活動を行っている人は、日本全国にたくさんいると思います。でも、システムチェンジにつながるような「できること」が何なのかわからない。私は、そのような方々を束ねたり、コーディネートできればと思っています。

玲子さん:

私は、自分の経験から、市民がシステムチェンジを直接プッシュできると思っています。

海外で、大学院の労働組合のユニットチェアをしていました。大学院生や大学生が講師や助手として働いている人たちの組合で、1万人以上が参加していました。

大学側が、私たちの求めることに耳を傾けてくれなかった時、私たちは最後の期末テストに参加せず、数日間ストライキをしました。その結果、交渉が成立し、自分たちが求める労働条件や待遇の改善に繋げることができました。

市民一人でできることは限られていますが、それが何千人、何万人と集まると、パワーは大きなものになり、大きな企業や大学のシステムを変えられるということを目の当たりにしました。

だから西荻窪の活動でも、市民が1人じゃなくて100人、1000人になった時、そのパワーは点から線に、線から面になり、大きなことを動かせられる、変えられると信じています。

2022年は、市民力アップと脱使い捨て社会に向けて活動

「西荻大作戦」の今年の活動は、「西荻オトナカ大作戦」と「西荻グッバイ・ウェイスト大作戦」の二本立て。市民力アップと、脱使い捨て社会、両方を目指します。

西荻オトナカ大作戦のチラシ

明日香さん:

気候変動のような地球規模の大きな問題に対し、誰かの指示を待っていたら手遅れになりかねません。私たちが本当は持っている市民としての権利を自覚して、それを使っていく練習をする必要があると思っています。

練習していくうちに、「これはおかしい」と思ったことをちゃんと言えるような場所や人を見つけられるようになるし、仲間と繋がることが出来て、パワーを持てるようになると思います。オトナカ大作戦の一つのキーワード「ステップアップ市民力」には、このような思いが込められています。

玲子さん:

グッバイ・ウェイスト大作戦は、マイ容器でのお買い物や、量り売りイベントなど、脱使い捨て社会に向けた実践型の機会が満載です。

「楽しさ」を大事に、とにかくまずは一緒に行動に移してみましょう。一人では難しいことを、みんなで実践していけたらと思っています。

▼近日開催予定 西荻グッバイ・ウェイスト大作戦のイベント

4/16(土)ごみを出さないお買い物を考えるワークショップ
〜映画「The Story of Plastic」事前視聴チケット付き〜
15:00-17:00@Zoom

西荻窪を、「脱・使い捨て」の街にしていくには?
ごみを出さないお買い物についてみなさんと一緒に考えるワークショップです。
プラスチック汚染の現状を伝える映画『The Story of Plastic』の視聴券付き。

西荻大作戦2022の全てのイベントは、こちらのPeatixイベントページからチェック。

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ごみを出さずにお買いものできるお店を知りませんか?

ごみを出さずにお買いものできるお店を見つけ、そのお店の情報を「グッバイ・ウェイスト」で共有しませんか?「西荻大作戦」のみなさんのように、脱プラスチックに関心がある地域の仲間を見つけて、一緒にお店への働きかけをするのもいいですね。