国際的な脱プラスチックネットワークが主導する、「プラスチック汚染企業調査」で、コカコーラが4年連続の1位になり、TOP10には毎年常連の企業が名を連ねました。大量のプラスチックパッケージを世界へ流通させている消費材メーカーは、自社のプラスチック製品による気候変動とプラスチック汚染への影響を認め、使い捨てない社会への転換をリードしていく責任があります。

グリーンピースも参加する国際的な脱プラスチックネットワークBreak Free from Plastic主導の「プラスチック汚染企業調査」の結果が今年も発表されました!

2021年で4回目となるこの調査は、世界各地のボランティアが海や川でごみを拾い、ブランドごとに分別してカウントし、どのブランドが最も世界をプラスチックごみで汚染しているかを、市民の力で明らかにしようというものです。

2021年度「世界をプラスチックごみで汚染している企業」トップ10

2021年の「プラスチック汚染企業」調査には、6大陸世界45カ国で11,184人のボランティアが協力し、330,493個のプラスチックごみが記録されました。そのうち58%のごみについて、明確にどのブランドのものかが確認できました。

4年連続1位となったコカコーラを筆頭に、2021年の「プラスチック汚染企業」トップ10には、以下の企業が選ばれました。

  1. コカコーラ
  2. ペプシコ
  3. ユニリーバ
  4. ネスレ
  5. P&G
  6. モンデリーズ
  7. フィリップモリス
  8. ダノン
  9. マーズ
  10. コルゲート・パーモリーブ
世界45カ国で11,184人のボランティアが参加。タイで行われたブランド調査(2021年3月)

コカコーラ – 4年連続 不名誉な1位に

コカコーラは、世界をプラスチックで汚染している企業として4年連続でトップの座を維持しています。今年の調査では、2位と3位の企業のごみの合計よりも多くのごみが見つかりました。

コカコーラは、2018年からペットボトルを1本販売するごとに1本を回収すると発表していますが、調査結果は、その約束が自社製品による環境汚染をほとんど改善していないことを示唆しています。

ペプシコ – 2018年から3位以内をキープ

ペプシコも、2018年以降上位にランクインし続けています。

ペプシコは、2030年までにバージンプラスチック(新たなプラスチック)の使用量を半減させるという新たな自主公約を発表しましたが、再使用可能なリユース容器へ切り替えない限り、”プラスチック汚染のトップランナー”としての地位は変わりそうもありません。

ユニリーバ – COP26の”プリンシプル・パートナー”が第3位に

2018年の調査から、ユニリーバが初めて、トップ3にランクインしました。ユニリーバは、今年グラスゴーで開催されたCOP26のプリンシプル・パートナーとなっています。同時に「世界をプラスチックごみで汚染している企業」にもランクインしたという事実に、ユニリーバはどう向き合っているのでしょうか?

使い捨てプラスチックが気候変動を加速させている

プラスチックの99%は化石燃料でできており、プラスチックの原料となる石油化学製品は、石油使用量の14%を占めています。

もしプラスチックが”国”なら、原料の採掘から廃棄までにプラスチックから排出されるCO2の量は、中国、アメリカ、インド、ロシアに次いで世界で5番目に多くなります(5位の日本を抜いて)。

使い捨てプラスチックは、海の汚染だけでなく、気候変動への影響も深刻なのです。

しかも、このままのペースでプラスチックの生産が増え続ければ、生産量は今後20年以内に2倍になると予想されています。

自然エネルギーが成長を続け、電気自動車の市場が急速に拡大するなか、化石燃料産業は、その生命線としてプラスチックへの依存度を高めています。いまから30年間で増加する石油需要の半分を、プラスチックの原料でもある石油化学製品が占めることになると予想されています。

使い捨てプラスチックの半分が容器・包装

そしてプラスチックごみの約半分が、ペットボトルやお菓子の個包装パッケージなど使い捨て用途のものです。消費材メーカーは、自社の使い捨てプラスチックによる気候変動への影響を見て見ぬふりをすることはできません。

実際に、グリーンピース の調査では、コカコーラ、ペプシコ、ネスレなどの消費材メーカーが、エクソンモービル、シェル、シェブロンフィリップス化学、イネオス、ダウといった化石燃料企業から調達した原料で作られたプラスチックパッケージを使っていることも明らかになっています。

ペットボトル入りのジュースや個別包装されたお菓子のために、干ばつや猛暑、森林火災が悪化することを受け入れられますか?使い捨てのスプーンやフォークと引き換えに、何百万人もの人々が海面上昇や豪雨で家を失い避難を強いられることを許せるでしょうか?

私たちが”当たり前”と思っている使い捨て社会を変えなければ、次の世代の若者たちは、私たちが享受してきた便利さの代償として、気候危機が日常となった世界を受け継ぐことになってしまいます。

使い捨てプラスチックに頼り切った販売・流通の方法を変えるときが、来ているのではないでしょうか?

インドネシアの南カリマンタンを襲った洪水で、子どもたちを救助するボランティア(2021年1月)

企業が変わる意味、企業の持つ力

いくらボランティアがビーチクリーンを続けても、気づいた人からマイボトルを持ち歩くようになっても、世界中で毎日何十、何百億個ものペットボトルや小袋が使い捨て続けられる限り、プラスチックによる海の汚染や気候変動への影響を抑えることはできません

根本的な解決には、構造的、体系的な変化が必要なのです。

コカコーラ、ペプシ、ユニリーバ、ネスレなどの名だたる企業は、不名誉な「プラスチック汚染企業」にランクインし続けていますが、その世界的なネットワークと影響力を生かして、販売・流通の当たり前を転換させる力も持っています

野心的な使い捨てプラスチック削減目標を設定し、リユース(再使用)・リフィル(詰め替え)などを基本にしたパッケージや、パッケージのいらない販売方法を再構築することができます。

コカコーラの返却式ガラス瓶を見たことがあるかもしれませんが、使い捨てない販売方法は、長い間私たちの社会に根付いていました。

ガラスのボトルが3回以上リユースされれば、使い捨てと比べて年間50,000トンのCO2を削減できるという調査結果もあります。

そして今、世界ではテクノロジーによって新しいリユースのビジネスがたくさん生まれています。

解決策は、すでに存在しているのです。

使い捨てない”ニューノーマル”へ  企業へ期待の声を届けよう

グリーンピースは、世界55の国と地域で活動するネットワークを生かして、コカコーラ、ペプシコ、ネスレ、ユニリーバに、働きかけを続けています。

市民の私たちが、こうした企業に「リユースの取り組みを期待している」と見える形にして伝えることは、企業を動かす大きな力になります。

世界ではすでに、700万人がこのキャンペーンに賛同しました。ぜひ署名して、使い捨てない”ニューノーマル”を広める原動力になってください、と伝えてください。

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