10月31日に、衆議院議員選挙がおこなわれ、自民党は議席を減らしたものの単独過半数を維持、野党第一党である立憲民主党も少なくない議席を失い、一方で日本維新の会が大きく議席を伸ばしました。

グリーンピースが運営する、脱炭素社会をつくる市民のプラットフォーム「ゼロエミッションを実現する会」では、連絡先のわかる候補者全員に気候変動についてアンケートをおこないました。

その成果を報告します。

市民の働きかけで「気候変動」も争点に

このアンケートには、投票日前日までに、317名から回答があり、全体の30.2%となりました。

アンケートの目的は

・候補者の意識向上

・有権者への情報提供

・気候を争点にする

というものでした。

「気候を争点にする」について、大きな成果がありました。

アンケートを開始してまもなく、若者グループから、「ゼロエミッションを実現する会のアンケートを使って候補者にアプローチするプロジェクトをしたい」と相談がありました。

それが「選挙で聞きたい気候危機」というプロジェクトです。「ゼロエミッションを実現する会のアンケートに答えて」と候補者に直接依頼し、その結果をレポートしてくれました。

「#選挙で聞きたい気候危機」プロジェクトのウエブサイト 
https://senkyo-kikokiki.mystrikingly.com/

このプロジェクトは、「若者主導」ということで大変注目され、NHK、Yahooニュース、朝日新聞など、多くの報道にとりあげられました。

そうしたこともあり、毎日新聞は独自の候補者アンケートで「気候」をとりあげ、”候補者アンケート 税・気候変動、争点化 58%「消費税引き下げを」”という見出しで掲載しました。

コロナ対策や経済が大きな争点となる中で、「気候変動」もまた重要な争点であることが広く認識されました。

候補者の認識を変える

また、目的のひとつ、「候補者の意識向上」についてもたくさんの成果がありました。

まず、ほぼ全員に「気候変動についてのアンケート」を送信したことは、候補者本人やスタッフが「気候変動対策」を考える機会となりました。

「選挙で聞きたい気候危機」プロジェクトでは、候補者とのコミュニケーション内容が記録され、誰でも見れるようになっています。

「ゼロエミッションを実現する会」でも、参加者のみなさんに、候補者に直接聞こう、と呼びかけ、候補者との面談や、街角や電話での「話しかけ」が行われました。

ある候補者は、面談のあと、街角での演説に「気候危機」について入れるようになりました。

別の候補者は電話口で、カーボンプライシング(炭素税)の是非を問う質問について「正直考えたことなかった」と明かし、その場でいっしょに考えました。

勉強不足でアンケートに回答できない、ぜひ勉強したいとメッセージをくれた候補者もいました。

目黒区の笠井貴代さんは、「気候変動から命を守って」と書かれたプラカードを候補者の街頭演説に持っていってアピールし、それをみた候補者が気候変動について演説にとりいれたといいます。

「気候変動から命を守って」とかかれたプラカード。これを持って街頭演説に。


貴代さんは、演説する候補者との直接対話もされました。

貴代さんの活動は、11月4日、NHK「おはよう日本」で報道されました。

「猛暑や豪雨など、地球温暖化の影響とみられる異常気象が相次ぎ、世界的に気候変動への危機感が高まるなか、”選挙を通じて社会を変えよう”という市民の動きが広がっています。日本でも、先日投開票が行われた衆議院選挙で”気候変動への関心を高めよう”とする人たちがいました」(おはよう日本より)

おはよう日本では、「衆院選までもうすぐ!将来世代×各政党 気候変動対策討論会」を中心となって企画したフライディズ・フォー・フューチャー(FFF)の若者と、「ゼロエミッションを実現する会」で呼びかけた候補者とのコミュニケーションをおこなった貴代さんにインタビュー。貴代さんが選挙区の候補者の街頭演説で「気候変動から命を守って」とプラカードを掲げた様子も伝えていました。その候補者はすぐに気候変動について演説で触れていました。

貴代さんは「(気候変動対策がとれる)リミットまでの選挙ってもう、あと2,3回しかないので、本当に命をかけた投票だと思っていて」とインタビューに答えています。

番組は「選挙を通じて社会を変えていこうという市民たちのうねり。温暖化の影響が現実のものとなるなか、危機感の共有が急がれます 」と締めくくっていました。

有権者に伝える

今回、「ゼロエミッションを実現する会」の「候補者アンケート回答」サイトが広く有権者に見てもらえた、とは言えません。

より多くのみなさんの協力で、気候についてのアンケート回答をたくさんのみなさんに見てもらえるようにしていきたいと思います。

「ゼロエミッションを実現する会」のインスタグラムでは「衆院選とは」「投票先の選び方」や比例ブロックの選挙区別回答率などを発信しました。

衆院選とは

「投票先の選び方」前編

「投票先の選び方」後編

アンケート回答依頼を全国からたくさんの方がしてくださいました。静岡では静岡のグループ「350Shizuoka」がすべての候補者に回答依頼を実施した結果、回答率がアップ。結果はウェブサイトインスタグラムで発信されました。

「350Sizuoka」は結果をわかりやすくインスタグラムに投稿

社会を変えるのは私たち「有権者」

今回も、投票率は戦後3番目に低い55.93%でした。

およそ半分の有権者は投票しませんでした。

今回、「選挙について話そう」というトークイベントを6回、選挙に先立って、開催しました。

その中には、「実は、気候変動が心配になる前までは、投票したことがありませんでした」とうちあけてくれた人が複数いました。

気候変動対策を本気でおこなう政治に変えなければ…そう考えて、今回はじめて投票するつもりだと。

まだまだ、気候変動が政治とつながっていることを伝えていかなければなりません。

気候変動、というより、わたしたちの暮らし….どこで、何時間働くか、いくらもらうか、何を食べるか、いくら払うか…. 暮らしのすべてが政治とつながっています。

こうありたい、と願う社会をともに作っていけるような政治家を増やすことで社会は確実に変わります。

自分が暮らす自治体の脱炭素をめざす「ゼロエミッションを実現する会」では、これからも、地元の政治家とのコミュニケーションを続けることを呼びかけ続けます。

シロクマのゆっきーは、候補者と話す、ボランティアする、など選挙へのさまざまな関わり方を伝えてくれました。くわしくはこちら

◎一緒に活動しませんか?

「ゼロエミッションを実現する会」では、市民からの自治体・議会へのアプローチを行っています。

今まで取り組んだことのない方でも大丈夫。

「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいます。

ご参加リクエストをお待ちしています!

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