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脱ネオニコに向かう欧州−ネオニコ系農薬3種を全面禁止へ

この投稿を読むとわかること

 みなさんこんにちは、食と農業担当の関根です。
ヨーロッパから画期的なニュースがとびこんできました。欧州連合(EU)の運営を担う機関である欧州委員会が、3種類(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)のネオニコチノイド系農薬の使用を全面的に禁止する案を提出する見通しだ、と英国紙ガーディアンが報じたのです。[注1]

EUでは2013年12月に、花に寄ってくるミツバチへの害を避けるため、作物の花が咲いている間の散布を禁止していましたが、秋まきの小麦や、開花前に収穫するタマネギなどには使っても良いとしてきました。
今回報じられた提案では、これらの用途も含めて全面禁止するというものです(但し、種まきから収穫まで温室内で育てる場合は除く)。
提案は5月に行われる加盟国の代表の会合で投票により決定されます(※その後の情報によると、投票は10月に行われる予定、とのことです)

ネオニコチノイド系農薬が、ミツバチやそれ以外の花粉を運ぶ野生の虫たち、さらに生態系へ与える悪影響については、科学的な証拠が数多く挙がっていて[注2]、欧州委員会の提案の背景にもこうした科学的情報を重視した判断があります。

欧州では各国レベルでもそれぞれ、2000年代からネオニコチノイド系農薬の使用規制を導入してきました。
中でも、近年有機農業を積極的にすすめているフランスでは、昨年3月、全てのネオニコチノイド系農薬の全面禁止の法案を可決するなど、生物多様性と共存する食と農へ、大きく舵を切りつつあります(発効は2018年9月1日より)。

 

[写真:パリのオーガニックマーケットの風景]

どうする日本!?パブコメを送ろう。 

一方、数々の科学的証拠にもかかわらず、日本では次々にネオニコチノイド系農薬の残留基準の緩和や、新規導入が進められつつあります。
まさに現在進行形で、日本で使用を解禁されようとしているネオニコチノイド系農薬がスルホキサフロルです。

この農薬は、アメリカではミツバチへの毒性が強いことから一度使用が禁止となり、その後用途を限定して使われるようになりました。日本では、もっと広い用途で使える内容で、今、厚生労働省が残留基準値を決めようとしています[注3]。
これに対するパブリックコメントの締切が今週木曜日に迫っています。 
いま、あなたの声を送ってください。(3/30締切です)

パブコメ関係の参考ブログはこちらです。

いますぐ新ネオニコ系農薬の解禁をとめたい、5つの理由
日本の消費者を不安にさせる「”非”科学的な」農薬残留基準の決め方
農薬メーカー優先:ミツバチへの害は「秘密」のまま承認される農薬
緊急!新しいネオニコ系農薬、解禁間近。パブコメ・署名で止めよう!

 ❏送り方

 ❏ スルホキサフロルのパブリックコメント募集サイトはこちら
 ❏ 厚生労働省によるスルホキサフロルの残留基準値と対象農作物の案はこちら
 ❏ 注意:意見は日本語で書き、個人は住所・氏名・職業・連絡先(電話番号又はメールアドレス)を、法人は法人名・所在地・連絡先(電話番号又はメールアドレス)を書いてください。

提出先:

 ❏インターネットを使う方はこちらのページの下にある「意見提出フォームへ」というボタンをクリックし、専用フォームから提出します。
 ❏郵送の方はこちらへ→〒100-8916 東京都千代田区霞が関 1-2-2 注意!3/30必着です
宛先:厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課 残留農薬等基準審査室宛て (封筒に赤で「スルホキサフロルの残留基準設定について」と書く)
 ❏FAXの方はこちらへ→FAX番号:03-3595-2432
宛先:厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課 残留農薬等基準審査室宛て (* 表題に「スルホキサフロルの残留基準設定について」と明記する)

 

注1))ガーディアン2017年3月23日の記事
注2)「浸透性殺虫剤の生物多様性と生物多様性への影響に関する世界的な統合評価書」2014年(日本語版は2015年)
欧州科学アカデミー諮問委員会報告書Ecosystem services, agriculture and neonicotinoids 2015年(英語)など
注3)スルホキサフロルはEUで承認されているが、登録し、使用可能としている加盟国はない。

 

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