「この感動をみんなで分かち合いたい」 仲間探しからはじまった私の気候アクションが、確かなインパクトを生み始めるまで
この投稿を読むとわかること
気候変動を止める市民活動を「必死でやることが自分の人生だと思った」ー 青森市在住の薬剤師、中堀一弥(なかほりかずや)さんは、気候変動を特集したテレビ番組をきっかけに、行動することを決めました。 地元では気候変動について話せる人が少なかったので、まずは仲間探しからスタート。活動を通して出会った「ゼロエミッションを実現する会」の仲間に支えられながら、地元青森市に気候変動に関する請願書を提出し、請願書は採択されました。 中堀さんに、活動への思いや「ゼロエミッションを実現する会(ゼロエミ)」の仲間について聞きました。 |
「覚悟を決めた」
2021年の3月に、BS朝日の「地球クライシス〜気候変動 壊れゆく世界」というテレビ番組を見ました。国立環境研究所の江守正多先生が出演されて、気候変動について詳しく扱った番組でした。
もともと環境問題に関心はあったのですが、この番組で、今やらないと手遅れになってしまう、と強い危機感を持ちました。いま8才の子どものことを考えても、何もしないという選択肢はもう取れない、と思いました。
自分が動くことで少しでも変わることがあるならと覚悟を決めて、未来のために行動を始めようと思ったんです。
まずは仲間探しから
でも、情報がないし、地元の青森には気候変動について行動している人もあまりいないし、仲間探しが最初の活動でした。活動している人と繋がりたいと思ったんです。
インターネットで調べて、国際環境NGOのボランティア募集を見つけて、ドキドキしながら応募しました。そこでいろいろ情報を得られるようになって「ゼロエミッションを実現する会」を知りました。
そこで、自分が住んでいる・働いている街の自治体に対して、「陳情」や「請願」をするという方法があるんだな、と初めて知ったんです。自分一人だったとしても、個人で何かエコなことをするよりも、自治体に働きかけることでもっと大きな影響を出すことができるんだと思いました。
地元青森市議会が「ゼロカーボンシティ宣言表明」を採択
初めての自治体への働きかけは、地元の青森市への「気候変動対策に関する請願」の提出です。まずは、気候変動対策を加速させるスタート地点として確実に請願を採択してもらうために、あえて具体的な数値目標を提示せず、「ゼロカーボンシティ宣言を出して、意欲的な目標と対策を作ってほしい」と求めました。
ラッキーなことに、青森市議会議員に情報提供や働きかけをしたことで青森市議会で「ゼロカーボンシティ宣言表明」の請願が採択されました。
その後も、自由民主党青森県支部連合会に気候変動対策に関する要望書を提出することにより青森県議会で「脱炭素社会に向けた取組について」との題で一般質問をしてもらう事ができました。
この感動をみんなで味わいたい
これまでで一番感動したのは、「建築物省エネ法改正案」の国会提出に貢献できたことです。
建物の断熱は省エネ効果がとても大きいので、建築物の断熱を義務化するこの改正案は、気候変動対策として有効です。それなのに、今年1月時点では、この改正案の国会提出は先送りの見込みでした。
「ゼロエミッションを実現する会」では、さまざまな方面から働きかけを開始しました。私は、つながりがあった地元の国会議員の秘書に相談して、法案の国会提出を求める要望書を提出しました。また別の国会議員に対しても、専門家による説明会を開きました。自民党県連にも要望書を提出し、地元の国会議員にも連絡してもらいました。
また、「ゼロエミッションを実現する会」と並行して参加している、メディアに気候変動の報道を増やすよう働きかける市民グループ「Media is Hope」では、マスメディア8名に対して、専門家が法案の重要性を解説する説明会も開催しました。
正直、これでもかというほどやりましたね。
そして最終的に、この建築物省エネ法改正案は、一転して国会に提出されることになりました。私が直接働きかけていた地元の議員さんも、とても頑張ってくれたようで、私にも「法案を通すことになったよ」と直接連絡をくれました。
今国会での提出は不可能だと言われていたので、奇跡が起きた、と思う瞬間でした。本当に感動しました。一緒に喜びあえる仲間がいたことも嬉しくて、この感動をみんなで味わいたい。心からそう思いました。
「ゼロエミ」は、同じ温度感で活動できる同志
「ゼロエミッションを実現する会」は、向かう方向が同じ仲間、同志のように感じています。FacebookグループやSlackでニュースを投稿すると反応してくれる人が多いし、気軽に相談できて、どんなアイデアも否定されない安心感があります。
最初は、みんな忙しいから何か問いかけても答えてくれないかもと思っていましたが、事務局であるグリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさんや、各地の活動をサポートしてくれるメンバーの吉永さんをはじめ、みんな本当に真剣に話を聞いてくれました。
同じ温度感で活動できる人がいるということが、どれだけやる気につながるか実感しています。自分だけの知識だと不安な時も、勉強会のお知らせや記事などをシェアしてもらって、この方向で間違っていないと確信できます。
いろんな声が汲み取られる社会へ
活動するようになってから、「声を出してもいいんだ」ということを学びました。
議員に働きかけていると実感しますが、やっぱり議員は男性が多くて、女性はとても少ない。同じような人が集まると、考えや方針は偏ってしまうと思います。女性は、経験や視点が男性とは違う。だから、いろいろな人が、いろいろな声を出して、その声を汲み取ってもらえる社会になっていく必要があります。
私は気候変動って、「負け戦」だなって思ってました。相手はとても強大で、覆すのはものすごく大変。
でも、壁が大きいから、うまく戦略を立てて、崩す。突破する。「負け戦」の状況をひっくり返すというのが、モチベーションです。実は『花の慶次』という漫画が好きなのですが、その漫画から影響を受けているかもしれません。笑
続けていると、これやってもダメか、あれやってもダメかという気持ちになることもあります。でも、ばてちゃったら意味がない。だから、無理のない範囲でやるということが本当に大切だと思います。無理のない範囲でやればいい、と思えるのも仲間がいるからです。
「ゼロエミッションを実現する会」には、たくさんの仲間がいて、気候危機回避のために頑張る人をサポートできます。ご参加リクエストをお待ちしています。