レポート『絶滅許可証:スマトラトラを絶滅に追い込む、パーム油産業の森林破壊』(英語名:Licence to Kill: How deforestation for palm oil is driving Sumatran tigers toward extinction)
グリーンピースは今回の調査で、シンガポールに拠点を置くパーム油世界大手ウィルマー・インターナショナル(Wilmar International Ltd、以下 ウィルマー社)の取引企業が、森林の違法伐採に加え、泥炭地を開墾する最も安価な方法でかつ煙害をもたらす野焼きを行い、400頭まで減少しているスマトラトラの生息地に重大な影響を及ぼしていることを明らかにしました。2009年から2011年にアブラヤシプランテーションとして伐採許可を受けた森林の大部分は絶滅危惧種のスマトラトラの生息地で、100万ヘクタール以上のトラの主要生息地がすでに伐採許可地になっています。

運び出されるアブラヤシ果房
また、テッソ・ニロ国立公園内で行われている違法なアブラヤシ栽培の調査結果をまとめ、そこで栽培されていたアブラヤシの実が以前ウィルマー社の精製工場へ搬送され、インドネシアのパーム油サプライチェーンに流入し続けていることも明らかにしました。
パーム油プランテーションはテッソ・ニロ国立公園の環境を破壊し、グリーンピースが実施したマッピング分析によると自然林は25%しか残っていません。

ウィルマー社とその関連会社の取引先には、ジレット(シェービング製品)を展開するプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や、オレオを販売するモンデリーズ・インターナショナルなどの日用品や食品を展開するグローバル企業があり、世界中の消費者が意図せずにインドネシアの森林破壊に加担していることを指摘しました。
【インドネシアのパーム油産業、及びステークホルダーへの提言】 グリーンピースはウィルマー社に、違法パーム油を合法化してグローバル市場へ供給するのを中止すること、そしてウィルマー社の取引先企業やグローバルブランドにサプライチェーンの問題解決を求めます。また、インドネシアのパーム油産業に関連するステークホルダー(利害関係者)に下記のとおり提言します。 プランテーション経営者 日用品・食品ブランド 金融機関 インドネシア政府
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最近開発されたアブラヤシのプランテーション、インドネシア・リアウ州 | ||
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400頭まで減少するスマトラトラ | ||
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プランテーション開発のために焼き払われた泥炭地 |