世界各地でかつてない規模の気象災害に見舞われた2024年。地球の平均気温は2年連続で観測史上最高を記録し、温暖化の影響が日々の暮らしや経済にも及びました。気候危機に立ち向かい、自然を守りたいと願う世界中300万人以上のサポーターがグリーンピースの活動をご支援くださり、各地域で大きな成果を成し遂げることができました。

北極圏での深海採掘を許可する計画にストップ!

北極圏で商業規模の深海採掘を世界で初めて許可しようとしたノルウェー政府。その計画を中断させることに成功しました。海底で鉱物資源を掘り出す深海採掘は、海の生態系に壊滅的な影響をもたらすことが予想されています。グリーンピースはヨーロッパ全土での協力体制のもと、欧州議会に海を守るための決議を呼びかけてきました。

マクドナルドがオーストラリアで森林破壊ゼロを約束

森林破壊の最前線にあるオーストラリア。大規模な伐採によって、東部の2州だけで毎年推定5000万頭もの動物が命を奪われ、コアラやフクロモモンガなどの固有種が絶滅の危機に瀕しています。肉牛の牧草地をつくるための森林伐採が主な原因で、グリーンピースは牛肉を大量に扱う企業を調査し対応を求めてきました。支持する市民も数千に上るメールで企業に訴え、オーストラリアで牛肉を最も購入するマクドナルドとスーパー大手のウールワースが、森林破壊のない牛肉を調達することを約束しました。

インドネシアの熱帯雨林 先住民族が土地権利を勝ち取る

インドネシアの南西パプア州に広がる熱帯雨林で、先住民の土地権利がようやく法的に認められました。住民たちは先祖から受け継いだ森を守るため、伐採や農地開発を行う企業や政府による搾取と長年にわたりたたかってきました。香港とほぼ同じ面積をもつこの地区で、森林破壊がおさまり権利が保証されるまで、グリーンピースは住民とともに活動を続けます。

ガラパゴス諸島で生態系調査 公海の保護区化を呼びかける

固有種の宝庫として知られ、ウミガメ、シュモクザメ、ウミイグアナなど3000種近くの海洋生物が棲む南米のガラパゴス諸島。グリーンピースは科学者たちと、海洋保護区の内外で生物多様性の調査を行いました。環境DNA分析などをおこないながら、保護区内での豊かな生態系を記録。一方、保護区外の公海上ではプラスチック汚染や商業漁船による乱獲の影響が見られ、海洋保護区の重要性が鮮明になりました。世界の海の3分の2を占める公海で生物多様性を守るための国際協定は、2023年に国連で合意されています。最初に創設される公海上の海洋保護区として、ガラパゴス諸島での設定をめざしていきます。

多様な生態系を回復させるための法律がEUで施行

生態系の回復などを目的とする自然再生法が、欧州連合(EU)で正式に発効。この法律によって、EU内の陸地と海で劣悪な状態にある生息地を2030年までに20%以上、2050年までに90%以上再生するための措置を講じることが義務付けられました。法案の成立を後押ししてきたグリーンピースは引き続き、EU各国に野心的な自然再生計画を展開するよう求めていきます。

英国が石炭火力ゼロを達成!

イギリスで石炭火力発電の全廃が実現しました。G7で初の快挙です。グリーンピースは、石炭火力が英国の電力の3分の1以上を占めていた2000年代から、さまざまな抗議運動を続けてきました。2015年の総選挙では国中の環境活動家と連携し、全政党に石炭廃止に合意するよう働きかけたところ、主要政党の党首3人が党派を超えて共同声明を出し、気候変動対策として石炭火力発電を終わらせることを約束しました。石炭の利用で産業革命を起こした英国での廃止は、化石燃料からの脱却において重要な分岐点と言えます。

ファストファッションが引き起こす汚染の実態を調査

欧米やアジア諸国から、年間12万トンもの古着を輸入する西アフリカのガーナ(2022年)。多くはファストファッションの衣料で、約半分が再販できずに焼却されるかゴミ山に捨てられています。グリーンピースの調査で、廃棄された衣類の約9割が合成繊維を含み、マイクロプラスチック汚染につながっていることや、公共の洗濯場では発がん性物質などの有害物質が危険な濃度で検出され、深刻な大気汚染が起きていることが判明。先進国で過剰に消費されるファッションが、ガーナに健康被害をもたらすことを公表しました。