▼この記事を読むとわかること

> プラスチック汚染の解決に向けて動き出す世界
> 「日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状」調査報告書
> 国際的な条約制定に向けて
> 市民主体で脱使い捨て社会を楽しく作る

プラスチック汚染の解決に向けて動き出す世界

2022年には、プラスチックに関する大きなニュースが2つありました。1つは国連環境総会が、2024年までにプラスチック汚染に包括的に対処する国際条約を制定すると決定したこと。もう1つは、日本でプラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)が施行されたことです。しかしプラ新法は限定的で、深刻化するプラスチック汚染を解決に導くに十分な内容ではありません。国際的なプラスチック条約制定に向けた交渉が始まり、今後、使い捨てプラスチックを大幅に減らすための取り組みが世界で加速していくことが見込まれます。日本においても政策の見直しを含め、使い捨てを減らすリユース(再利用)を基調とした循環型社会形成への動きを早急に作っていく必要があります。グリーンピースは引き続き政府や企業に向けて、プラスチックの生産と使用の大幅削減を訴えていきます。

「日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状」調査報告書を発表

グリーンピース・ジャパンは2022年7月に調査報告書「日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状」を発表。調査で明らかになった大手カフェチェーン9社の使い捨てカップ消費量を元に、特に消費量の多いスターバックスコーヒージャパン、タリーズコーヒー、プロントの3社に対して使い捨てカップからの脱却を求め、新たな署名活動を開始した。フォトオプでは各社の消費量やリユース転換を求めるメッセージを掲げた。

これまで明らかにされていなかったカフェ業界における使い捨てカップの消費量を調査し、日本で初めてカフェチェーンごとの使い捨てカップ消費量を算出した調査報告書「日本のカフェ業界における使い捨てカップの現状」を7月に発表しました。調査の結果、大手の9つのチェーンだけでも年間3億6,950万個の使い捨てカップを消費していて、なかでもスターバックスコーヒージャパン社(以下、スターバックス)は残りの8チェーンの合計よりも多い2億3,170万個の使い捨てカップを排出していることがわかりました。この結果を踏まえて、グリーンピースは特に使い捨てカップの消費量が多かったスターバックス、タリーズコーヒー、プロントの3社に対して、使い捨てカップからの脱却を求める署名を立ち上げました。これらの活動が、業界大手のリユースカップ活用に向かう動きに影響を与えています。脱使い捨ての取り組みが当たり前になる社会を目指して、引き続き企業に働きかけていきます。

プラスチック汚染を終わらせる国際的な条約制定に向けて

2022年3月に国連環境総会で、2024年までに世界のプラスチック汚染に包括的に対処する、法的拘束力のある国際条約を制定することが決定しました。これはプラスチックが地球環境や人類に有害な汚染を生み出していることを国際社会が認め、それを規制するために動き出した歴史的快挙です。地球が直面しているプラスチック汚染を解決するためには、プラスチックごみによる海洋汚染に対処するだけでなく、原料採掘から製造、流通、消費、廃棄までのあらゆる段階で国際的に規制することが不可欠です。グリーンピースは国連環境総会や、11月から始まった政府間交渉委員会に代表団を派遣しています。野心的な条約を求めて各国や地域の政府やステークホルダーへの働きかけを続けます。

市民主体で脱使い捨て社会を楽しく作る!西荻グッバイ・ウェイスト大作戦

2022年4月より、市民グループ「西荻大作戦」と共同で、東京都杉並区西荻窪エリアでの使い捨てプラスチック削減に向けた取り組み「西荻グッバイ・ウェイスト大作戦」を立ち上げました。映画「The Story of Plastic」の上映会や、マイ容器を持ち込んで、使い捨て容器を使わずに飲食店で買い物をするイベントなどを開催し、延べ300人以上が参加しました。2021年に公開したごみを出さない買い物マップ「グッバイ・ウェイスト」には、西荻窪駅周辺のマイ容器対応店が現在40店舗以上登録されています。10月には「西荻プラごみおばけハロウィンパレード」を開催。「プラスチックごみがおばけになってイタズラしにきた」というコンセプトのもと、家庭で出たプラスチックごみを使った衣装を身につけた地域住民が西荻窪の街をパレード。マイ容器対応店を紹介するなど、道ゆく人々とのコミュニケーションが楽しまれていました。また、パレードの道中には近隣の3つのスーパーに脱使い捨てを求めるメッセージを届けています。