まずは輸出と焼却をやめる!「減プラスチック方針」を政府に提言

NGOの力を集結し、公明党に提言書提出

グリーンピース・ジャパンでは、今年の6月から#trashlessキャンペーンを実施し、政府や企業に減プラスチック社会に向けた働きかけを行ってきました。賛同する何千人ものサポーターの力も得て、政府や企業でも使い捨てプラスチックを減らすムーブメントを盛り上げようと活動してきましたが、その一つの成果として、環境NGO15団体と一緒に、「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」として、政府与党と環境省に共同提言書を提出しました。
今年の8月から、環境省の小委員会で「プラスチック資源循環戦略」が議論されています。日本のプラスチック問題を考えていくために非常に重要な戦略です。レジ袋の有料化も盛り込まれ、注目を集めています。 国内でプラスチック問題が大きく広がった今年の8月頃。グリーンピースを含む同じ問題意識をもったNGOが集まり、プラスチック戦略のためにNGOが小委員会に対して何を伝えるべきか話し合いを続けてきました。それぞれの団体の経験と知恵を集結し、提言書を作成しました。さらに、プラスチック問題を啓発するためのロビー活動も行い、国会議員にも減プラスチックの必要性を述べてきました。 その結果として、公明党の部会に合同で参加することができ、山口那津男代表にも意見を伝えることができました。
まずは輸出と焼却をやめる!「減プラスチック方針」を政府に提言

写真:挨拶をする山口那津男代表

日本はG20でプラ汚染問題をリードできるか?

今年6月にカナダで開催されたG7サミットで、日本とアメリカだけが「海洋プラスチック憲章」に署名しなかったことは、国内外のメディアに大きく取り上げられました。それを補うように環境大臣は、来年日本で開催されるG20で海洋プラスチック汚染をリードすると明言しています。 環境省は、その柱である「プラスチック資源循環戦略」の案を発表しましたが、その内容は海洋プラスチック汚染を抑制するための根本的な対策とは言い難く、今のままでは国際社会をリードするために不十分です。グリーンピースが強調する提言書の主なポイントは以下の2つです。

提言のポイント(1)海外に輸出してきた分をまずは減らす

日本ではこれまで、プラスチックごみを海外に輸出していました。しかし、多くのプラスチックごみの受け入れ先となっていた中国が輸入を禁止するなど、プラスチックごみ対策の根本的な見直しが必要となっています。 行き場を失ったごみは、燃やされたり埋め立てられたり、最悪の場合自然界に流れ出しています。輸出できなくなってからは国内に溜まり続けていると環境省が報告しています。 国内で処理しきれないプラスチックごみを海外に輸出するのではなく、これまで国外に輸出していた量に相当する150万トンの使い捨てプラスチックを、まずは削減することが必要です。 そこで提言書では、2030年までに使い捨てプラスチック使用を25%削減するという環境省の目標は不十分で、50%以上を目指すことを提案しています。
まずは輸出と焼却をやめる!「減プラスチック方針」を政府に提言

提言のポイント(2)サーマルリサイクルは世界に通用しない

“リサイクル”されているという回収プラスチックの多くは、”サーマルリサイクル”として、熱を発電などに再利用されたりしています。焼却場の近くにある温水プールなどが一例です。しかし、グローバルな基準では、焼却はリサイクルとしては認められていません。なぜならば、燃焼することで、灰になり、温室効果ガスも発生するからです。 そうはいっても、最終的にごみを燃やさざるを得ない場合もあるかもしれません。しかし、それはあくまで最終手段です。燃焼を「資源有効利用率」に加算して「プラスチック資源循環戦略」に盛り込もうとしていることは、パリ協定から脱炭素を目指す国際社会に不信感を招きかねない内容です。 そこで提案書では、資源有効利用率には熱回収分を含めないことを提案しています。 海ごみ対策推進委員長の江田康幸議員は、重要なポイントである熱回収について、今後党内で議論するとコメントしてくれています。
まずは輸出と焼却をやめる!「減プラスチック方針」を政府に提言

写真:NGO合同メンバーによる環境省との面談

環境省にも、提言書を提出しましたが、残念ながら今週行われた環境省の小委員会では、素案のまま承認されました。日本のプラスチック戦略を、十分に汚染と炭素排出を抑制する内容にするためには、より野心的な目標が必要です。 グリーンピースは、使い捨てプラスチックによる海・河川・地域社会の汚染を止めるため、プラ製品の生産・消費を削減(リデュース)の推進を提唱しています。誰でもプラスチック問題を分かりやすく知ることができるグリーンピースのウェブサイト「プラスチックフリーの暮らしをつくろう」を大幅リニューアルいたしました。ぜひご覧ください。 市民の心配の声に応じて、政府がプラスチック汚染に対して動き始めた今こそ、企業もアクションを起こす時です。あなたも、プラスチックを減らすように企業に伝えてください!
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