国際環境保護団体グリーンピースは、拡大する日本のMOXプルトニウム利用計画の危険性を訴えるためアークティック・サンライズ号(949トン)を日本に派遣することを発表した。
2隻の英国船籍パシフィック・ピンテール号とパシフィック・ティール号は、MOXプルトニウムを日本に運ぶためタスマン海と南太平洋方面を現在航海中である。
この輸送については、周辺国であるオーストラリア、ニュージーランド、南太平洋諸国から強い反発を受けている。

アークティック・サンライズ号は、北極地域の生態系に及ぶ気候変動の影響を調査するためのツアーを終えたばかりで、日本には9月6日(月)に博多港に到着予定である。
核兵器転用可能なプルトニウム輸送船が日本に到着する前に、アークティック・サンライズ号は博多、敦賀、新潟に寄港し、一般の人々へプルトニウムが引き起こす脅威と危険性を訴えることが目的である。

九州電力は鹿児島県川内と福岡県玄海原子力発電所でプルトニウム燃料を使用する計画をまだ発表していない。しかしながら、日本のプルトニウムの貯蔵量は増え続けており、電力会社は欧州から九州までプルトニウムの輸送を、すぐにでも開始するという選択をとる可能性がある。

「日本のプルトニウム政策への反対行動は、世界中に拡大している。輸送周辺国や国内で反対している人々は、プルトニウム政策によって健康や環境が危険にさらされていると共に懸念をもっている。
日本での船によるツアーの間、グリーンピースは、原子力産業に反対する日本の人々の支援を広げたい。また、この理にかなわない危険なプルトニウム政策は、輸送上の危険性、警備の不十分さ、核拡散をもたらすという点についても詳細の情報を提供する」と
グリーンピース・インターナショナルのショーン・バーニーは述べた。

特にグリーンピースが懸念しているのは、船舶の往来の激しい韓国・日本間の海峡や太平洋沿岸を通過する場合の安全性、プルトニウム燃料を従来の原子力発電で使用するというこの2つの問題点である。
国内の原子力発電所は、主に日本海に位置しており、今後10年間以上で欧州から日本へ80~100回プルトニウム輸送船の脅威を受けることになる。
可能性のある輸送と原発の事故の影響は、日本だけでなく韓国や海を隔てた国々まで及ぶことになる。

最近の国内における原発の事故数の増加は、一般の人々の安全性についての懸念をつのらせる一方である。従来型の原子力発電は、プルトニウムの使用向けに設計されているわけではないので、事故の危険性は更に悪化し、放射能の放出により健康への影響は深刻化してしまう。

韓国での市民からの激しい抗議が、日本政府や海上保安庁を動かし、高浜原子力発電所にむけての輸送は、韓国・九州間の海峡より、青森・北海道の間の津軽海峡を通過する可能性が高まっている。

「プルトニウム輸送船がどの輸送ルートをとろうとも、日本の沿岸地域や周辺国は、兵器転用可能なプルトニウムの追撃から直接的脅威にさらされている。日本政府と原子力産業は、環境保護と核不拡散のためにプルトニウムの輸送計画すべてを中止すべきである」とバーニーは述べている。