本日、グリーンピース・ジャパンは、茨城県に対して、東海村臨界事故現場周辺2キロメートル滞留者の登録と長期的健康モニタリング調査を行うよう、要請書をファクシミリで送付した。
これは、グリーンピースが独自に行った調査の結果をふまえ、現在行われている被曝検査や血液検査では、きわめて不十分であることを警告するものである。

要請内容は以下のとおり。

事故発生から臨界終息までの間(およそ20時間)に事故現場2キロメートル圏内にいた方々の登録

上記の方々の長期的健康モニタリング調査

添付資料:科学技術庁あて要請書 (茨城県と厚生省にも同様の内容を送付)

科学技術庁長官
中曽根弘文殿

1999年10月14日

東海村臨界事故現場周辺2キロメートル滞留者の登録と長期的健康モニタリング調査についての要請書

9月30日の東海村臨界事故を受け、国際環境保護団体グリーンピースは、独自に現地でのサンプリング調査を行いました。事故当時にどれくらいの中性子線が出されたかを導き出すために、事故現場から175メートル離れたお宅のお塩2キログラムあまりを提供していただき、立教大学の研究所で分析していただきました。
その分析結果から、私たちは、事故当日、大量の中性子線が環境中に放出されたこと、すなわち、現在発表されている63人の方々以外にも工場内外の事故現場近くにいたために被曝してしまった方々がいらっしゃるということを確信しました(くわしいサンプリング結果については、10月8日付けプレスリリースを参照して下さい)。

以上を踏まえ、以下の施策を一刻も早く実施するよう要請します。



一、事故発生から臨界終息までの間(およそ20時間)に事故現場2キロメートル圏内にいた方々の登録

ニ、上記の方々の長期的健康モニタリング調査

登録は、時間がたてばたつほど困難になりますので、一刻も早く着手してください。また、これまでの放射線チェックや血液検査のように個々人の自主的な行動にまかせるのではなく、戸別訪問を含む、きめこまかな調査が必要です。

また、長期的健康モニタリング調査は、初期の調査では被曝が確認されなかった方々も含め、疫学的調査が必要です。この調査は、晩発性障害などの予防・早期発見につながり、これ以上の事故の被害者を最小限に抑えるためにもぜひ必要です。

最後に、私たちのかねてよりの要請をくりかえします。

本事故も含め、原発に関するすべての情報を公開すること
再処理計画を放棄すること
原発の新設・増設計画を放棄すること
原発輸出を禁止すること
すべての原発と原子力関連施設を閉鎖し、省エネの推進と再生可能エネルギーの利用へ移行すること

グリーンピース・ジャパン
事務局長、志田早苗