本日、グリーンピース・ジャパンは「エコロジーと女性ネット」とともに乳児のデモ行進に参加した。
添付資料:[環境庁・厚生省への要請文]


厚生省で提案中の「耐容一日摂取量」は、乳幼児を規準に設定されておらず、生涯のうちで最も弱い乳児は、大人の数十倍という高濃度のダイオキシン類を毎日摂取しているという危険な状態にさらされている。

デモ行進では、今最もダイオキシンの負荷を受けている乳児たちとともに、問題の深刻さ、政府の対策の責任の重さを訴えた。
その後、子どもたちとともに、厚生大臣、環境庁長官に対し、ダイオキシン対策としてより厳しい規準・規制を求める要請書を提出した。

今回の行動と要請は、去る5月、主要国環境閣僚会議(於マイアミ)で、子どもの健康を守るためには現在の環境政策が不十分であることが確認されたことを受け、日本政府も現在策定しつつあるダイオキシン対策をより厳しいものとすべきことを求めたものである。
環境庁面会先:大臣官房調査官室
(於:合同庁舎5号館26F、行政相談室)
厚生省面会先:母子保険課、環境整備課
(於:合同庁舎5号館1F、共有第一会議室)


ダイオキシン対策に関する要請書

環境庁長官、石井道子殿
厚生大臣、小泉純一郎殿
1997年7月7日


今年5月、主要国環境閣僚会議(マイアミ)においては、「乳幼児を基準に環境政策を強化し、基準を健康被害を受けやすい子どもにおくこととする」との宣言が採択されました。
これは、子どもの健康を脅かす汚染等に対して、現在の環境政策が不十分であることを各国環境大臣らが確認したものといえます。

環境庁で設定された「健康リスク評価指針値」は、乳幼児を規準に設定されてはおらず、生涯のうちで最も弱い乳児は、大人の数十倍という高濃度のダイオキシン類を毎日摂取しているという危険な状態にさらされています。

ダイオキシン類およびその他有機塩素等による汚染の脅威に対しても、乳児や次世代の健康や環境を確保できるよう、それらの有害物質の摂取量と発生とをなくすべく、実質的な厳しい措置が緊急に必要です。ついては以下を要請致します。
1)ダイオキシンの摂取を最終的にゼロにしなければならない、という目標をもつこと。その際には予防原則に基づき、以下の点を重視すること。

生まれてからの生涯のうちでもっとも弱いうえ、最も多量のダイオキシン類負荷を受けている乳幼児の健康を保護できるよう調査研究を進め、基準をより厳しいものとすべきである。

耐容一日摂取量の見直しにあたっては、コプラナーPCBを含めて検討するべきである。
たとえば、オランダの耐容一日摂取量ではコプラナーPCBを含めている。日本では、コプラナーPCBを含めたダイオキシン類の摂取量は、「耐容一日摂取量」を大幅に上回っており(母乳では180pg/kg/dayにもなる)、この事態は放置できない。

2)ダイオキシンの環境や人への影響調査に着手すること

現在省庁で予定されている汚染実態調査と並行して、環境や人への影響に関する調査も早急に着手することが必要である。

3)ダイオキシン類をはじめとする有害な有機塩素の原因物質である塩素の使用廃止を対策の優先とすること

ダイオキシン排出削減の対策は、現在主として燃焼管理や、発生したダイオキシンの処理などの“出口対策”にとどまっている。
塩化ビニルの製造過程など未調査のものを含め、焼却以外のダイオキシンの発生源は、塩素使用に伴う多くの分野に存在する。
ダイオキシン汚染をなくすためには、原因物質の塩素使用を徹底調査し、最終的にその使用を絶つことを優先的対策とすべきである。

今年6月、オランダ議会は、大多数の票決をもって、オランダの保健大臣(The Minister for Health)に対し、ダイオキシン耐容一日摂取量を1pg/kg/dayとするべく、その計画を作成するよう要請しました。これをうけ、同省大臣は本年中にその計画を議会へ提出することを約束しており、ダイオキシン汚染の脅威に対し、より厳しい対応をとりつつあるといえます。

最もダイオキシン汚染の進んだ国の一つである日本が、早期かつ実質的に環境を回復するために、より進んだ厳しい政策を早急にとられるよう、ここに要請致します