(社)日本玩具協会が、合成樹脂製(二十数種類)の3才以下の幼児向けの玩具に材質表示を行う意向を、12月25日明らかにした。
材質表示は3才以下向けに限らず必要であると考えられるものの、軟質塩化ビニル玩具に含まれるフタル酸エステル類などの有害物質によって子どもの健康が脅かされる危険を消費者が回避する手だての一つとなることから、日本玩具協会の材質表示の方針は、評価すべき方針といえる。

グリーンピースは97年以来、軟質塩化ビニル玩具に含まれるフタル酸エステル類の有害性を警告し、各国で塩化ビニルの玩具への使用禁止を求めてキャンペーンを行ってきた。
フタル酸エステル類を含む軟質塩化ビニル玩具を避けようとする消費者にとって、これまでは材質表示がないためにそれを避けることができず、また取り扱う小売店にも情報提供が困難なことが多々あった。
今回の日本玩具協会の方針は、こうした現状を改善するための段階を一つ進んだといえる。

一方、世界最大の玩具メーカー マテル社も12月8日、
「新しい素材が開発されつつあり、それらは従来のプラスチックと同等かそれ以上の性能をもつ代替材料となるだろう。マテル社は生物由来の原料から製造した製品の導入を2001年にも開始する。こうした新技術の現実性が確認できるのにあわせて、(新素材の採用を)マテルブランドなどに、広く採用していく予定である」と発表しており、
実質的な塩化ビニル代替の試みが進んでいる。

欧州連合(EU)では去る12月7日に3歳未満の子ども向けの口に入れる玩具の緊急禁止を決定したが、消費者への警告のための恒久的な措置として軟質塩化ビニル玩具への警告表示を提案している。
欧州では緊急禁止が実施された現在、たとえばオランダでは、口に入れるものに限らず、3才未満の玩具について軟質塩化ビニルを使用したものが店先から姿を消しつつある。

すでに、有害物質フタル酸エステル類を含む塩化ビニル玩具からの脱却は、世界中で実質的に進められている。
日本国内の玩具メーカーも、材質表示にとどまらず、塩化ビニル代替を早急に進めるべきである。