【フィリピン・マニラ発】

グリーンピースは本日、クラーク空軍基地跡に近い住宅地で回収したPCBを含む機器や汚染土壌を容器に詰めて、米国大使館へ持参し、旧米軍基地の汚染浄化を求める要請を提出した。持参した26人の活動家は逮捕され、警察署に連行されたが、即時釈放された。

「我々は、この廃棄物を本来の所有者に返還するためにここへ来た。米国政府はこれらの物質を速やかに保管管理し、クラークとスービック両基地の汚染除去の責任を果たすべきである」
在フィリピンのグリーンピースの有害物質問題担当者であるヴォン・ヘルナンデスは主張する。

“有毒 危険 米国の所有物” と書いた一辺3mほどのコンテナには、40リットルの液体PCB、汚染された土壌と解体されたトランスなど、12個の有害廃棄物が入っていた。いずれも、プラスチックに包んだり、容器に密閉するなど、有害物質取り扱い基準に沿った格納方法がとられており、廃棄物の輸送方法にのっとって、「虹の戦士」号船長のピーター・ウィルコックスが操るフォークリフトによって大使館正門前に運ばれた。

グリーンピースは、フィリピンのエストラダ大統領に対しては、旧基地の浄化及び損害費用の支払という二つのことを米国のクリントン大統領に要求するように呼びかけている。両大統領は、4月にワシントンで会談する予定である。


オレンジ色のつなぎを着ているのが、虹の戦士号船長のピーター・ウィルコックス

人々の後ろにある黒い大きな箱が、PCBを含む汚染土壌や放棄されていたトランスを詰めたコンテナ



PCBは、難分解性の有害化学物質(POPs)である。一旦環境に放出されたら、何年もの間残留し、地域環境を汚染するばかりでなく、地球規模で移動し、世界の環境を脅かす。PCBは、現在100余りの国々が策定に向けて努力しているPOPs規制条約の下で優先的に対策を講ずるべき12の物質の1つとして、国連環境計画によって指定されている。この条約を策定する次回の会議は3月20日からドイツのボン市で開かれる。会議では、POPs対策のための技術的、経済的なインフラのない国々への支援策も課題の一つとして取り上げられることになっている。

「汚染なきアジア」ツアー、インド、タイに続き、グリーンピースのキャンペーン船「虹の戦士」号は、3月8日までフィリピンで活動を行う。このあと船は香港を経て、日本へ向かう。日本でのキャンペーンは4月10日からの予定。