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林野庁黒木次長に要請文入り合板を手わたすパプアニューギニア住民ブライアン・バーリンさん。 〜Greenpeace/Naomi Toyoda
国際環境保護団体グリーンピースは本日、林野庁と環境省を訪れ、”違法伐採された木材の輸入規制を!”と書かれた合板を林野庁長官と環境大臣に贈呈した。この合板は、日本政府が違法伐採に立ち向かうという公約をしているものの、パプアニューギニアなどで違法伐採された原木が大量に輸入され、加工されている 事態の改善を求め、輸入規制の即時実施を求めたもので、要請書 ( 注1 ) と共に手渡された。合板と要請書を手渡したのはグリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉と、来日中のパプアニューギニアやインドネシアの住民ら3人。

グリーンピースは先週8日に、香川県詫間港にてパプアニューギニアで違法伐採された原木が輸入されているのを確認しており ( 注2 ) 要請書ではこうした木材を国内に流通させないための措置をとるよう求めている。また、この要請書へ2006年1月末までに回答するよう求めた。要請書ではこうした木材を国内に流通させないための措置をとるよう求めている。また、この要請書へ2006年1月末までに回答するよう求めた。

面会した林野庁次長黒木幾雄氏は、「違法伐採が持続可能な森林経営を阻害していることは大きな問題であると考えている。パプアニューギニアの違法伐採の実態を聞いたことがあるが、輸出国の許可が出されたものの輸入に関して税関で行動を起こすことはできない。国際的な話し合いの場で解決していきたい」と話した。これに対しグリーンピース・ジャパン森林問題担当の尾崎由嘉は「 日本政府が2000年のG8で輸入国の責任として違法伐採対策を約束してからすでに5年が経つ。現状を認識しているにもかかわらず未だになんら具体的な対策が取られていないことは、違法伐採を許していることである。早急な輸入規制の実施が必要」と、述べた。

グリーンピースは、木材消費国である各国政府に対し、違法伐採された木材・木製品の輸入を取り締まる規制を導入し、環境的にも社会的にも責任ある森林経営を支援するよう求めてきている ( 注3 ) 。また現在、日本政府で進められているグリーン購入法の「基本方針」に盛り込む木材調達に関するガイドライン案では、木材・木製品の合法性と持続可能性の証明方法に、「業界団体主導による証明」や「比較的大きな企業や自治体による独自の証明」という案が提示されており ( 注4 ) 、その信頼性の面から違法伐採対策としては効果的でなく、成果が見込めないと、グリーンピースは指摘している。グリーンピースはまた、林野庁および環境省に対し、違法伐採問題の実質的な解決に向けて、木材生産地とその森林管理を、独立した第三者機関による審査によって把握されるべきであることを要請している。

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林野庁前で要請文入り合板を掲げてアピールするグリーンピーススタッフとパプアニューギニアから来日したブライアン・バーリンさん。 〜Greenpeace/Naomi Toyoda
「土地所有者の意思に反して伐採が行われている地域から産出される木材が日本の港に来ている。日本の人たちがこうした木材を購入し続ける限り、パプアニューギニアの違法伐採は止まらない」と、パプアニューギニアから来日しているブライアン・バーリンは語った。「輸入する前にどの地域でどのように伐採されたものであるかを知って欲しい」と、続けた。


(注1)
林野庁向け要請文



環境省向け要請文

(注2)
2005年12月8日付 プレスリリースグリーンピース調査レポート「森林破壊の連鎖 パプアニューギニアの原生林破壊に関わる日本市場」 参照。
パプアニューギニアには厳しい林業規定が定められており、伐採事業者に持続可能な森林経営や地元の土地所有者の「インフォームド・コンセント(充分な情報に基づく合意)」を得て行うことが義務付けられている。しかし、多くの伐採事業はこれらに違反して行われており、特に、同国の木材輸出事業50%以上を占めるマレーシア系伐採企業リンブナンヒジャウ社は、ウェスタン州ワオイ・グアビなどで現地の森林法を犯す違法伐採を行っているだけでなく、「インフォームド・コンセント」を軽視するばかりか、伐採反対の声をあげる住民への人権侵害に関わっていることが報告されている。また、バニモ地域で伐採するマレーシア系伐採企業WTK社は、パプアニューギニアの森林法に準じておらず、大規模な森林と川を破壊していることが報告されている。

(注3)
税関と森林法に関する専門担当者とNGOなどが参加する「税関および森林法の施行に関するワークショップ( The Customs and Law Enforcement Workshop )」(2005年11月28日から30日にフィリピン、セブにて開催)にグリーンピースは参加し、違法伐採の定義や違法材排除のための税関システムや規制の実施をもとめている。 2005年11月30日付 プレスリリース 参照。

(注4)
グリーン購入法の「基本方針」に、「合法性・持続可能性が証明された木材・木製品の調達推進」を規定し、来年4月をメドに適用することが予定されている。また、合法性と持続可能性の証明方法として、
[1] 業界団体主導による証明
[2] FSCやSGECなど第三者機関の森林認証に基づく証明
[3] 比較的大きな企業や自治体による独自の証明
の3つが提案されている段階となっている。



関連URL
“パラダイスフォレスト”キャンペーンサイト
調査レポート「森林破壊の連鎖I, II, III」 
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森林問題担当  尾崎由嘉
広報担当     城川桂子