厚生労働省は18日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催し、ネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの食品への残留基準の緩和については、急性毒性についても検討が必要として、食品安全委員会に対して急性参照用量(ARfD)の検討を諮問するとともに、その結果を受けて同部会で再審議すると発表しました。これを受け、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、急性毒性だけではなく、基準を上げてほしくないという安心・安全な食品を求める市民の声も反映するよう求めます。
厚生労働省は再審議の理由の一つとして、昨年10月に実施していたネオニコチノイド系農薬クロチアニジンの残留基準の緩和に係るパブリックコメントで、多数の反対意見が届いていたことを上げました。同部会ではパブリックコメントの結果も公表され(注1)、合計1657件の意見中、一番多かったのは、欧米に比べて基準値が高すぎるとした残留基準値(案)が適切ではないとの意見(1405件)で、その次がEUで禁止された農薬は日本でも禁止にすべきであるとした、農薬の登録・使用に関する意見(694件)でした。これらのパブコメで出された資料は、諮問先である食品安全委員会にも提出される見込みです。

グリーンピースでは規制緩和に反対する署名を1月17日から2月13日までホームページで集め、およそ4週間で12,739筆が集まり、厚生労働省に提出していました。

また、今回の規制緩和の対象となっているクロチアニジンは、欧州では2013年12月からミツバチなどへの悪影響が懸念されていることから暫定的な使用禁止が始まった農薬です。また同月17日には欧州食品安全機関(EFSA)が一部のネオニコチノイド系農薬に子どもの脳や神経などへの発達神経毒性があるとの科学的見解を発表しました。(注1)

グリーンピース・ジャパンで食と農業問題を担当している関根彩子は、「急性参照用量(ARfD)の考え方が導入されるのは4月以降に申請される農薬についてだったが、それ以前から申請されているクロチアニジンについても適用されることになったのは、たくさんの市民の声、高い関心があったからです。誰にでもかかわる食の安全の問題だからこそ、予防的立場に立った検討をするよう、食品安全委員会も厚生労働省も責務を果たして欲しい」と訴えました。

グリーンピースは毒性の高い農薬の使用中止を呼び掛けるとともに、有機農業への転換を訴えています。
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注1)http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20140318pabukome.pdf
注2)EFSA assesses potential link between two neonicotinoids and developmental neurotoxicity
Press Release 17 December 2013 http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/131217.htm