グリーンピース声明、ネオニコチノイド系農薬規制が急務 政府のミツバチ保護対策、依然効果なしと判明 ーー農林水産省「蜜蜂被害事例調査」の結果を受けて

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは本日、農林水産省が3年計画で進める国内のミツバチの農薬被害調査の最終版「平成27年度蜜蜂被害事例調査結果」(注1)を公表したことを受け、下記の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 食と農業担当 関根彩子
「調査の結果、被害の原因は防除に使用された殺虫剤にミツバチが直接暴露した可能性が高いと発表されました。それに対し農林水産省が示した今後のミツバチ被害への対策は、従来と変わらず、養蜂家に巣箱の移動を求めることが基本です。これは被害者にさらなる負担を強いる点で問題があるうえ、被害の減らなかった北海道では移動の困難が指摘されています。

農林水産省は今後も情報収集を続けるとしていますが、ミツバチに対して有害性の強い農薬による被害を防ぐことを最優先し、ネオニコチノイド系農薬の規制を行うことが急務です。

フランスでは全てのネオニコチノイド系農薬の使用禁止が議決されるなど、各国で規制の動きが強まっています。しかし、日本では2015年5月にネオニコチノイド系農薬2種(クロチアニジン・アセタミプリド)の大幅な適用拡大がなされたのに続き、同年12月には新たネオニコチノイド系農薬の解禁など、使用範囲が拡大し続けています。このままでは、ミツバチをはじめとする花粉媒介生物の保護、ひいては豊かな実りを守ることはできません。」

農業環境技術研究所は今年、花粉媒介生物による耕種農業算出額は4700億円にのぼるとの試算を発表しましたが、そのうち70%は野生のハチなどの生物が貢献しています(注2)。農林水産省の対策は、野生の花粉媒介生物を視野に入れていない点でも欠陥があります。

【今回公表された結果で、注目すべきポイント】

_ 報告総数と小規模被害件数(2,000匹以下)は減っているものの、2,000匹を超える被害は減っておらず調査開始当初より増えている。
_ 北海道では被害が減らなかった。
_ ネオニコチノイド系農薬については、(半数致死量の 1/10 以上の値で)検出された全農薬中の割合も約 66%と最も多くなっている。