プルトニウム利用で危険増大ーー高浜原発3号機が再稼働へ

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、本日6月6日に関西電力が高浜原発3号機(福井県)を再稼働させる予定との報道を受けて、以下の声明を発表しました。
「本日再稼働する高浜原発3号機には、プルトニウムを含むMOX燃料集合体が24体使われています。グリーンピースが独自に入手した情報によれば、関西電力は7月7日にも、高浜4号機用MOX燃料のフランスからの海上輸送を開始するとのことです(注1)。

MOX燃料の海上輸送には、海上事故による海洋汚染や、プルトニウムがほんの5キログラムで核爆弾を作ることができる核兵器材料であるため、テロリストに奪われるなどの高いリスクがあります。また、MOX燃料を使用する原発は、過酷事故のリスクが高まり、さらに事故の場合の被害はより深刻なものになります(注2)。

使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して利用する核燃料サイクル計画の破綻は、高速増殖炉もんじゅの失敗、建設から20年経っても本格稼働できない再処理工場を見ても明らかです(注3)。日本政府と関西電力は、破綻しているプルトニウム計画のために、関西圏の住民を大きな危険にさらしています。このような再稼働は許されません」

注1) 通常、MOX燃料輸送積み出し港については、欧州出発日の数日前まで、出発日、輸送ルート、到着時期、積出港、輸送船名、輸送物は、欧州出発後まで公開されない。今回グリーンピースが入手した情報によれば、少なくとも16体のMOX燃料集合体を積んだ英国船籍輸送船が、7月7日フランスのシェルブール港から日本へ向けて出港する予定。プルトニウムの量は496から736キログラムと推測される。核兵器1発に必要なプルトニウムの量は5キログラム。輸送船は武装したパシフィック・イグレットとパシフィック・ヘロンで、どちらか一方にMOX燃料集合体が積まれ、もう一方が武装警護の役割を果たす。高浜に到着するのは、パナマ運河経由の場合8月中旬、喜望峰またはホーン岬経由の場合は9月上旬になる。

注2)プルトニウム燃料は、ウラン燃料より制御棒の効きが悪くなるなどの性質があり、ウラン燃料用に設計された高浜原発での使用で、より安全余裕が小さくなる。また、製造者であるアレバ社の品質管理状況に疑義があり、グリーンピースは他のNGOとともに、MOX燃料に関する安全データの公開を求めているが、アレバ社は現時点で応じていない。

注3) 日本が保有しているプルトニウムは、合計約48トン。英仏に38トン、国内に10トンが保管されている。