連日、多くの来場者でにぎわった旧大津公会堂3Fホール

気候変動の影響をアート表現を通じて自分ごととして感じてもらおうと、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は8月10日、11日の2日間、滋賀県大津市の旧大津公会堂で、「HELP展〜30年後に消えてしまうかもしれない In SHIGA〜」を開催しました。2日間で230人以上が来場し、気候変動などの影響で絶滅の危機にある動物のぬいぐるみや、30年後に食べられなくなる可能性を透明度で表現した寿司などの展示品を鑑賞しました。

オリエンテーションを元に制作された高校新聞の展示

滋賀巡回展のオリジナル企画として実施された、滋賀県の高校新聞部とともに気候変動について学び、新聞記事を制作するプロジェクトからは、7月のオリエンテーション(注)で制作された新聞記事も展示されました。高校生らはHELP展当日にも来場し、会場の様子やトークイベントの登壇者に取材していました。これらの取材を通じて制作される新聞は、11月頃に公開予定です。

琵琶湖と気候変動をテーマにしたトークに多くの来場者が耳を傾けていた

もう一つのオリジナル企画として8月11日には開催されたトークイベントでは、京都大学生態学研究センター長・中野 伸一氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁の漁師・駒井 健也氏、ラオス料理人・小松 聖児氏、立命館大学学生・尾下望氏が登壇し、琵琶湖の歴史や環境問題、琵琶湖の恵みがはぐくむ豊かな文化について、それぞれの立場や専門分野から話し合いました。50人以上集まった来場者からは質問も多くあがり、来場者と登壇者が共に琵琶湖の未来を考える場となりました。

来場者の人気を集めた片岡メリヤス氏制作のぬいぐるみ

HELP展に来場した人からは「体験して記憶に残る、とても良い展示だった」「30年後には消えてしまうかもしれないという悲しい現実がテーマですが、アートを通して伝えられることで楽しく学ぶことができた」などの声が寄せられました。HELP展は、10月4日(金)〜6日(日)に青森県の弘前れんが倉庫美術館で、次の巡回展開催が決定しています。

<主催者からのコメント>

グリーンピース・ジャパン プロジェクト・マネジャー、高田久代

「環境先進県である滋賀県でHELP展を開催でき、老若男女を問わず多くの方にご来場いただけたことに、大きな喜びを感じています。実現に力を貸してくださった皆様に心より御礼を申し上げます。気候変動は実際に見ることも触れることもできませんが、日常に現れる影響を自分の大事なものに引き寄せて考えることで、思い出や五感を通して感じられるのではないでしょうか。気候変動対策は、2030年までの残り数年間での取り組みが非常に重要だとされています。より野心的な政策にするよう働きかけるためには、気候変動の影響を自分の日常との繋がりから感じ、効果的な行動を始める市民が広がり、繋がっていくことが欠かせません。グリーンピースでは、今後もそのような機会と連携の創出と政策への働きかけを続けつつ、滋賀県からの取り組みを応援していきます」

HELP展 In SHIGA クリエイティブ・ディレクター、宮園夕加

「大学時代から「作品を作ること」と「捨てること」の関係性を通じて環境問題に興味を持ち、社会人になってからはサスティナブル関連の商品開発を担当したり、自分なりに勉強をしてきました。その中で「もうどうやっても気候変動は免れないし、もうお手上げだ〜!」と諦めていた時期があります。落ち込んでいた頃にグリーンピースに出会い、その活動と歴史に励まされました。そしてHAKUAとしてHELP展を開催できたことで、まだまだ自分にできることがあることを理解し、この大きな気候変動という問題に人と取り組む楽しさ、安心感、充足感を経験しました。HELP展 In SHIGAに想像以上に多くの来場者の方にお越し頂けたことで、この喜びを共有できたことを心から嬉しく思います」


(注)プレスリリース「高校生13人が気候変動テーマに新聞制作学ぶーー滋賀でオリエンテーション、学識者・新聞記者・環境NGOが講師務める」(2024年7月23日公開)