アゼルバイジャン・バクーで開催されている国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で11月15日、世界の環境NGOでつくる「気候行動ネットワーク(CAN)」が、COP期間中に気候変動交渉の進展に消極的な国に贈られる「化石賞」に、衡平な気候資金の目標、より広範で公正な移行計画、野心的な緩和目標の設定・推進などをCOPの場で遅らせてきたことを踏まえ、日本を含めたG7を選んだと発表しました。

CANは選出理由として、G7各国が公平な気候資金の目標、公正な移行、野心的な目標の進展を妨げてきたと指摘。過去に多くの温室効果ガスを排出しながら、一貫して途上国と気候変動の被害を分担しようとしていると批判しました。今回の受賞を踏まえ、日本政府には以下の責任ある行動が求められます。

<日本政府に求められること>

  • IPCCの1.5度整合の排出削減経路やシンクタンク「クライメート・アクション・トラッカー」の指摘を踏まえて、2035年までに2013年比で75%以上の排出削減計画を策定すること(クライメート・アクション・トラッカーは、土地利用変化及び林業による吸収を含めて81%が必要と主張している)
  • 途上国の要望に耳を傾け、気候資金の公正な分担を担い、それが必要な国々に届くよう、量、アクセス、質の改善を確保する新しい気候資金目標設定を求めること
  • 昨年COP28で合意された「化石燃料からの脱却」の実施が加速されるよう、緩和や資金に関する交渉で、化石燃料を延命させるような技術や二酸化炭素回収・貯留が優先されず、再エネが最優先されるよう求めていくこと

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「米国不在となった気候変動交渉において、国際協調への信頼を回復し、パリ協定の1.5度目標に整合する温室効果ガスの削減を世界全体で実現するためにも、日本を含むG6の役割は非常に重要です。今回の化石賞受賞は、COP開幕から一週間『いつも通り』の交渉姿勢で、資金拠出について渋り、化石燃料からの脱却を渋り、COP29全体の成果について、リーダーシップを発揮できていないことが原因です。来週、浅尾慶一郎環境大臣は、日本政府の気候変動対策について声明を発表する予定ですが、今回の化石賞受賞を重く受け止め、野心的な資金拠出目標締結のため努力するとともに、1.5度目標と整合する削減計画を策定することを約束するべきです。すなわち、2035年までに2013年比で81%の温室効果ガス削減と、明確な化石燃料からの脱却計画を示すことが必要です」


以上