国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、8月10日(土)、11日(日)の2日間、滋賀県大津市の旧大津公会堂にて、日本における気候変動の影響をアートで感じる展覧会「HELP展 30年後には消えてしまうかもしれない In SHIGA」を開催します。「気候変動とアート」をコンセプトに、迫りくる気候変動が日本に与える影響を来場者に感じてもらうことを目的としています。本展は昨年11月に東京・青山で開催された「HELP展(注1)」の巡回展で、同展に出展された長野県・諏訪湖の御渡りを題材にしたショートフィルムは、今年2月タイで開催された国際映画祭のドキュメンタリー部門で最高賞を受賞するなど高い評価を得ました(注2)。

本展覧会では、気候変動の影響もあり30年後に日本から失われてしまうことも予想される生物や文化の中からいくつかのテーマをピックアップし、ぬいぐるみ作家・片岡メリヤス氏、八劔神社・宮坂清宮司、料理研究家・土井善晴氏らを含む多様な作家や文化人たちと協力し、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」作品を展示します。また滋賀巡回展のオリジナル企画として、8月11日に「琵琶湖と気候変動」をテーマにしたトークイベントを予定しているほか、滋賀県の高校新聞部とともに気候変動について学び、新聞記事を制作するプロジェクトも実施します。

<概要>

主催:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

企画:クリエイティブユニットHAKUA

会期:2024年8月10日(土)- 8月11日(日)

会場: 旧大津公会堂3Fホール

           (滋賀県大津市浜大津1-4-1

時間:11:00~18:00 入場料:無料

公式サイト:https://help-ex.jp/

公式インスタグラム:https://www.instagram.com/help_gpj/

制作協力:UESATSU(KVグラフィックデザイン)、亀村 佳宏(ビデオグラファー)、島田彩子(SNSマーケター)、UMMM 北原和規(紙面構成 グラフィックデザイン)

  • 本展は英語でもお楽しみいただけます。
  • 車椅子でのアクセス可

<トークイベント>

8月11日(日)14:00 – 15:30

場所:旧大津公会堂3Fホール

トークテーマ:琵琶湖と気候変動

登壇者:京都大学生態学研究センター長・中野 伸一氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁漁師・駒井 健也氏、ラオス料理人・小松 聖児氏、立命館大学学生・尾下 望氏

定員:先着50名

言語:トークイベントは日本語のみとなります

<展示内容>

1.動物からのHELP

本作品では、今、絶滅の危機に瀕している動物たちの姿を片岡メリヤス氏が本展示会のために制作したぬいぐるみを通してご紹介します。また、本展示のぬいぐるみは購入可能作品となります。来場いただくと購入のお申し込みが可能です。(巡回展が終了する10月中旬頃に抽選)
コラボアーティスト:ぬいぐるみ作家 片岡メリヤス 氏

2. 寿司からのHELP

気候変動の影響による海水温の上昇や海洋酸性化などにより食べられなくなるお寿司ネタが増えると予想され、より詳しい調査が求められています。本作品では、無くなる可能性に応じて透明度を変化させ、樹脂オブジェの寿司として展示されます。

コラボアーティスト:クリエイティブユニット HAKUA

3. 諏訪湖 御渡りからのHELP

長野県の諏訪湖が全面結氷すると南の岸から北の岸へかけて氷が裂け、高さ30cmから1m80cm位の氷の山脈ができる伝統文化「御渡り」。諏訪市の無形民俗文化財に指定されている神事ですが、近年では気候変動の影響か御渡りの出現が少なくなっています。本作品では、御渡りの出現を判定する八劔神社宮司・宮坂清氏の言葉と、1683年から脈々と綴られた御渡りの記録を上映します。2024年2月バンコクで開催されたCCCL映画祭で最高賞を受賞しました。

出演:八劔(やつるぎ)神社宮司 宮坂 清 氏

4. 昆布からのHELP

昆布は出汁として古くから親しまれ、日本の食文化を育んできました。また、昆布などによって形成される藻場は、たくさんの生き物の生育場でもあります。その昆布が気候変動の影響でなくなることは、日本の食文化、さらには日本人の精神性にまで影響を与えるのではないか?ーーそんな疑問を料理研究家の土井善晴氏に伺いました。
出演:料理研究家 土井 善晴 氏

<高校新聞部とのコラボレーション>

未来を担う若者と一緒に気候変動について考えるべく、全国高校総合文化祭で最優秀賞を受賞するなど、目覚ましい活躍を続ける滋賀県の高校新聞部とのコラボレーションを企画しています。虎姫高校、東大津高校、八幡工業高校の3校と連携し、「琵琶湖と気候変動」をテーマにした新聞記事をつくることを最終目標として、事前オリエンテーションの開催や取材サポートなどを行います。地元の未来を担う若者の視点から気候変動を捉え伝えることで、より多くの方に気候変動を身近に考える機会を提供できればと考えています。

<参加アーティスト・出演者>

片岡メリヤス(ぬいぐるみ作家)

2011年から活動を開始。ぬいぐるみ作品を中心に、動くおもちゃ、光るおもちゃなど、飾るだけではなく遊べて愛のあるぬいぐるみを制作する。また自ら脚本出演も行うオリジナルの人形劇を各地で上演しているほか、漫画やドローイング、木工・粘土など様々な作品を手がける。ぬいぐるみ・人形劇共に、異ジャンルのアーティストとのコラボレーションや、広告への作品提供など幅広く活動中。

宮坂 清(八劔神社宮司)

1950年、長野県諏訪市生まれ。國學院大学卒業後、京都・伏見稲荷大社、諏訪大社、手長神社を得て、2020年より現職。趣味は古文書を読むことと篠笛。教誨師を務めている。

土井 善晴(料理研究家)

十文字学園女子大学招聘教授、東京大学先端研客員研究員

スイス・フランスでフランス料理、大阪味吉兆で日本料理を修行。土井勝料理学校教授として勤務後おいしいもの研究所を設立し独立。人が生きていく上で最も大切な食事として「食事学」「料理学」を広く指導、和食の観念から「一汁一菜」を提唱している。NHK『きょうの料理』ギネス記録料理番組を1987年より講師継続。2022年度文化庁長官表彰受賞(功績概要「日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分」との提案により、多忙な現代人であっても気軽に日本の食文化の豊かさや楽しみに触れられるきっかけを作ったこと及び国外での交流活動等を通じて、我が国の食文化の振興・発信に多大な貢献をした)。

<ディレクション>

HAKUA(Creative Direction・Produce)

2021年、京都・白亜荘を拠点に活動するクリエイター5人によって結成されたクリエイティブユニット。手法にとらわれることなく、アートとテクノロジーの境界を右往左往しながら、これまでにない体験を作り上げようと日々模索している。

HELP展 クリエイティブディレクター:宮園夕加

<主催>

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

世界55以上の国と地域で活動し、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決を目指す国際環境NGOグリーンピース。オランダ・アムステルダムに本部を置く同団体の日本支部として、1989年にグリーンピース・ジャパンは誕生した。政府や政党、企業から資金援助を受けない独立型のNGO団体として、科学的知見に基づいて、様々な立場の人と協力して活動することを大切に、全世界300万人以上のサポーターとともに地球環境を守るために行動している。

(注1)「HELP展」イベントレポート(2023年11月29日公開)

(注2)グリーンピース・ジャパン プレスリリース「諏訪湖の神事と気候変動描く映像作品『御渡り』 タイの国際映画祭でドキュメンタリー部門審査員大賞を受賞」(2024年2月18日発表)