世界で横行するグリーンウォッシングに規制と監視が厳しくなる
この投稿を読むとわかること
世界各地で気候変動の悪化を抑えるために企業に呼びかけ、行動を起こすように促しています。最近ではSDGsに取り組む企業が増える中で、実態が伴わず、うわべだけのエコ活動が見られるようになり、企業や製品を環境に優しいように見せるためのイメージ戦術に使われてしまうことが問題になっています。11月8日からエジプトで開催された、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、温室効果ガスの「排出実質ゼロ」が見せかけかどうかを判断する新たな基準を提案しました。さらにオーストラリアでは、企業が環境に配慮した投資のように見せかける不正行為「グリーンウォッシング」に初めて罰金を科すなど気候関連の報告に対する監視が厳しくなってきています。 |
グリーンウォッシュとは?

ストックホルムのプリーム・ガソリンスタンドの前で、横断幕と「グリーンウォッシュに注意」と書かれた
警告サインを掲げた(2020年6月)
「グリーンウォッシング」とは、企業や製品が環境に与える影響を実質的に削減することなく、環境に配慮しているように見せるために用いられるイメージ戦術のことです。
大胆な主張、自然を連想させる画像、環境に配慮したキャッチコピーは、詳しく見てみると、実際は、環境問題への実効的な対策を何もせず、企業イメージのことしか考えられていないこともあります。企業が提示する「グリーン」な解決策は、私たちを誤解させ、真の問題から遠ざけていることもあるのです。
なぜグリーンウッシングが問題なのか?

グリーンウォッシングは、企業がより良いことをしているように見せかけながら、これまで通りのCO2や廃棄物を大量に排出するビジネスで利益を上げ続けることを可能にします。
それは、私たちが気候変動を抑え、今の地球環境を維持しようとしているのに対し、汚染や環境破壊などで気候変動に拍車をかけ、有害な社会・経済システムが固定されてしまいます。*
偽りのエコブランド製品や広告は、消費者である私たちには、環境に配慮した良い企業のように感じられますが、私たちの企業イメージを撹乱することによって、その企業が環境問題の解決に貢献していると思い込ませてしまうのです。
さらに、本当に環境への取り組みをしている企業を見逃してしまうことにもつながります。パリ協定で定められた、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目標を達成するためにも企業がオフセットに基づいてできる主張を制限する、より厳しいルールが必要です。*
COP27:「グリーンウォッシングは絶対に許さない」

11月にエジプトで開催された、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)でグテーレス国連事務総長は、「カーボンフリーを約束する政府や企業が増えている一方で、ネットゼロの約束の基準にはディーゼル車を走らせるほどの抜け穴があり、グリーンウォッシングに過ぎない」と指摘し、ネット・ゼロの主張を強化するための新しい基準を提案した報告書を発表しました。*
この報告書は、消費者、投資家、政策立案者を混乱させる、地球温暖化対策の進展に関する誤った企業の主張に「レッドライン」を引く(規制や条件も設ける)ことを意図しています。
企業や政府の主張が本当に信頼性があるのかを調べるために、推奨事項のリストを設定し対策をします。
例えば、企業が新たな化石燃料のインフラの建設や森林伐採への投資を続ける場合、ネット・ゼロを主張することはできません。
世界各国でも虚偽または誤解を招くような環境広告や主張を規制している国が増えてきているのでご紹介します。
オーストラリア 企業の「グリーンウォッシング」に初の罰金

11月、オーストラリアの証券投資委員会 (ASIC) は、環境に優しい投資や製品に関する誇張された「グリーンウォッシング」について、気候関連の報告に対する監視を強化しています。
豪証券投資委員会は、企業が環境に配慮した投資のように見せかける不正行為「グリーンウォッシング」に初めて罰金を科しました。
ASICのエグゼクティブディレクターであるハード氏は、グリーンウォッシングは法律違反であり、ネット・ゼロの目標について主張する組織は、何がグリーンウォッシングを構成するかについて ASICの情報を確認する必要があると述べました。
フランス グリーンウォッシュ規制を導入

尊重しないことは違法であることを認めた(2021年2月)
フランスでは、世界初となるグリーンウォッシュに直接的な制裁措置を課す規制法を導入しました。*
違反した企業は虚偽宣伝費用の最大80%に相当する罰金や、広告およびメディアにおける訂正記事の掲載、自社ウェブサイトへの説明文章の30日間の掲載などが課される可能性があります。
イギリス 商品・広告表現のガイドラインを発表

2021年9月、イギリスの競争市場庁(CMA)は、グリーンクレームコードとそれに付随するガイダンスを発表しました。
このコードとガイダンスの目的は、企業が環境に関する主張を行う際に、消費者保護法の下での責任を理解し、順守するのを支援することです。
カナダ 誤解を招く主張や根拠のない環境主張は禁止

削減するよう要請。(2017年12月)
カナダの多くの人が環境への害が少ない製品やサービスに注目が集まっていることにより、「グリーン」製品が大幅に増加した一方で、グリーンウォッシングとしても知られる、虚偽または誤解を招くような環境広告や主張も増加しています。
そのため、広告や包装や表示などに、虚偽または誤解を招く表示の禁止がされています。*
日本では環境省や消費者庁がガイドラインを発表していますが、強い規制はしかれておらず、他の国に比べるとまだまだ遅れているので、世界に遅れを取らないよう力を入れていく必要があります。
グリーンウォッシュを避ける方法

科学者が示していることを説明した。(2022年9月)
企業の広告や商品をみただけで本当に環境に配慮したものかを見極めるのは難しいです。
しかし、見極める2つの方法があります。
1.騙されないための知識を身につけること。
一般的なグリーンウォッシングをよく知り、実際に見抜くことができるようにしましょう。
グリーンピースのインスタグラムやFacebookなどをフォローして、環境問題の情報に日頃から触れる機会を作り、キーワードに慣れておくだけで、グリーンウォッシングの広告に触れた際に、「これは本当に環境にいいのかな?」と疑問を持つことができます。
2.企業がグリーンウォッシュから逃れられないような世界を作る手助けをすることです。
私たちは、気候変動を抑えるために企業がネット・ゼロの目標を達成するためにシフトチェンジする必要があることを知っています。
ですから、私たちは団結して企業に要求する必要があります。
投票する、署名に参加する、抗議する、地域団体に参加するなど、あなたの声を届ける方法はたくさんあります。
グリーンピースの活動に寄付で参加
大手企業や政府に個人で環境のために声をあげるのは簡単なことではないかもしれません。
しかし、グリーンピースは、世界55の国と地域で活動するグローバルなネットワークを生かして大手企業に呼びかけたり独自の科学的調査や、目に見えにくい事実を明らかにし、その事実をもとに政府や企業、国際社会にはたらきかけています。
そういった活動は全て、日頃から支援してくださるサポーターのおかげです。
皆さんも寄付を通じて、活動に参加してみませんか?