私たちが暮らしている地球はいま、一歩、また一歩と破局へと向かっています。でも、地球を救いたい、未来をまもりたいと願う人々の力が、必死にその歩みをくいとめ、全力で押し返しています。
グリーンピースと世界中の人々が、2022年に入ってから達成した勝利の一部をまとめました。

コカ・コーラが2030年までにリユースパッケージ25%達成を宣言

南アフリカ、左の2本がリターナブルボトル。
南アフリカ、左の2本がリターナブルボトル。

毎分トラック1杯分が海に流出しているというプラスチック汚染問題を解決するため、グリーンピースは廃棄プラスチックの多くを占める使い捨て包装をなくすよう、企業に改善を求めています。

2022年2月10日、コカ・コーラはパッケージの少なくとも25%をリターナブルなものに置き換えるという決定を発表しました。
コカ・コーラは毎年1,200億個以上のペットボトルを生産する多国籍企業です。
グローバルな市民グループBreak Free From Plasticが回収したゴミのブランドを毎年調査した結果、同社が4年連続で世界のプラスチックごみ排出量1位に選ばれているのです。

コカ・コーラの宣言は、使い捨てプラスチックの使用を拒否する世界中の何百万人もの人々の勝利です。
そして使い捨てプラスチックに依存する社会にとって、正しい道に向かう重大な決定です。一刻も早く気候危機をくいとめ、プラスチック汚染をなくすために、他の企業もリデュース(削減)・リユース(再利用)を積極的に受け入れるときがきています。

グリーンピースは、コカ・コーラの目標値を50%に増やすよう、これからもはたらきかけを続けます。

人権を蹂躙される漁師たちを守る

インドネシア、漁船労働者の一時保護シェルター。1日20〜22時間働かされた被害者も。
インドネシア、漁船労働者の一時保護シェルター。1日20〜22時間働かされた被害者も。

2022年4月、台湾所有の漁船で働いていた9人が、インドネシアとフィリピンの労働者20人を虐待した疑いで起訴されました。検察によれば、被害者たちは1日20時間もの労働を強制されていました。

これは世界的にも珍しい勝利です。

漁業は広大な海で行われているため、当局の目が届きにくく、十分な規制が最もいきわたっていない産業のひとつなのです。

水産会社の漁船では、より収益を上げる目的で極端なコスト削減が行われ、過剰漁業や労働搾取や虐待といった環境破壊と人権侵害が横行しています。
消費者の知る権利を保証するには、食品会社や流通企業は、製品の生産・流通過程に環境破壊と人権侵害が関わっていないことを証明する責任があります。

グリーンピースはこのような悲劇を繰り返さないよう、法規制と検査の強化を求めて台湾当局へのはたらきかけを続けます。

ファミリーマートとセブン-イレブンの持続可能なパッケージシステムへの第一歩

ファミリーマート台湾が試験導入したリユースパッケージ
ファミリーマート台湾が試験導入したリユースパッケージ

コンビニエンスストアやスーパーマーケットやカフェは、使い捨て包装を使った商品を数多く販売しています。グリーンピースは、こうした企業に脱使い捨てを促す改善策を提示し、持続可能なビジネスモデルへの移行を求めています。

2022年3月、ファミリーマート台湾は循環型カップシステムを2022年に400店舗に大規模に導入すると発表、同様に台湾のセブン-イレブンが2022年7月に、スターバックスと合計550店舗で、2022年末までにリユース可能なカップの提供を始めることを発表しました。

2022 年末までに、台湾のスターバックス50店舗がリユース可能なカップを提供、21店舗にカップ返却機が設置される予定です。また、マイタンブラーを持参すると10元(約46円/11月8日現在)が割引されます。加えて、台湾の全店に繰り返し使えるステンレス製のマドラーとコーヒーかすで作ったトレイを導入します。

大手チェーン店のこの第一歩は、使い捨てプラスチック包装を多く消費するコンビニエンスストアやスーパーマーケット、カフェの業界の革新を招く一歩でもあります。

タイ・クラビの石炭発電所計画が中止に

2013年、クラビでのアクション。
2013年、クラビでのアクション。

美しいビーチと自然で世界中から愛されているビーチリゾート、クラビに、石炭発電所建設計画がもちあがりました。

タイの人々は10年もの間、「アンダマン海を守ってください(Save Andaman)」とキャンペーンを展開、グリーンピースをはじめ、地元の団体と人々が協力して政府に石炭発電所建設計画を中断するよう求め、平和的なデモとハンガーストライキを行いました。

人々は政府に監視され、デモ隊や活動家は逮捕されたり拘禁されたりしました。しかし、人々は政府に石炭発電所がクラビや周辺に及ぼす影響について適切に調査するよう要求し続け、最終的に政府はこれを受け入れ、環境評価を実施しました。

そしてついに今年7月、タイのエネルギー省はクラビの石炭発電所計画を中止すると発表しました。石炭発電所が環境に悪影響を及ぼす明確な証拠がみつかったからです。

クラビの海を守りたいと願う人々が、政府との長い戦いに勝利したのです。

ヒョンデ自動車が液化ガス発電所の建設を撤回

2020年、ヒョンデ自動車本社でのバナーアクション。
2020年、ヒョンデ自動車本社でのバナーアクション。

5月初め、ヒョンデ自動車はウルサンに大型液化ガス発電所を建設する計画を発表しました。グリーンピース、青少年気候行動、Action Speaks Louderはこの計画に反対、計画の即時撤回を要求する共同声明を公開しました。

グリーンピースは建設計画を分析、長期的な観点から、液化ガス発電所の炭素排出量や天然ガスの価格変動性などを総合して、同社が主張した「環境によく、経済的」という計画の根拠が矛盾していることを明確化しました。

そして7月1日、同社は公式に計画を撤回。また、ウルサン工場を含む国内外の主要事業所に太陽光発電と再生エネルギー電力取引契約(PPA)を導入する計画を発表しました。

多くの企業が気候危機を語るいま、私たちは消費者として、市民として実際の企業の行動を監視することが重要です。企業イメージのための「気候変動対策」はグリーンウォッシュ、つまり実効的な対策ではないこともあるのです。

欧州議会が森林保護法案を可決

2011年、ブラジル、ロンドニア州ポルト・ヴェーリョの火災。
2011年、ブラジル、ロンドニア州ポルト・ヴェーリョの火災。

現在、世界では2秒ごとにサッカーコート1面分の面積の森林が失われています。わけてもアマゾンの森林は、破壊の規模が毎年記録を更新し続け、崩壊の危機に瀕しています。

2020年以来、グリーンピースは160を超える環境団体と数百万人の人々に対して、2021年末までに森林破壊防止法を起草するよう欧州委員会に働きかけるよう呼びかけてきました。

そして2022年9月、欧州議会は、肉、大豆、パーム油、木材、ゴム、皮革などの森林破壊に関与する商品のEU 市場への参入を禁止するという森林破壊防止法案を可決しました。

北東大西洋16,000 平方キロメートル以上の海域で遠洋漁業が禁止に

2011年、大西洋北東部での深海底引き網漁。
2011年、大西洋北東部での深海底引き網漁。

2022年9月15日、EUの環境・海洋・漁業担当コミッショナーのヴィルジニジュス・シンケビチウス氏は、北東大西洋の16,000平方キロメートルを超える海域での遠洋漁業が禁止されたと発表しました。この措置により、大西洋北東部沿岸の海洋生態系が保護されることが期待されています。

深海保護連合の政策顧問であるマシュー・ジャンニ氏は、「欧州委員会が深海生態系を保護するために確固たる行動をとったことを嬉しく思います。保護の重要性を再確認するためにも、この決定は重要です」と述べています。

シェル、南アフリカの海での石油・ガス鉱脈探査事業を断念

南アフリカ、ケープタウンでのシェル石油に対する抗議行動のパフォーマンス。
南アフリカ、ケープタウンでのシェル石油に対する抗議行動のパフォーマンス。

2021年、超大型石油企業シェルは南アフリカ東部海岸で石油とガス探査を開始すると発表しました。シェルは南アフリカ政府の許可の下、深海での水中爆発を利用する鉱脈探査事業に着手しました。

この計画に、南アフリカ共和国だけでなく世界中の人々が反対し、南アフリカ、ロンドン、アムステルダムでデモが行われたのです。

現地の市民団体はシェルの探査権が違法に付与されたと訴訟を提起。そして2022年9月1日、裁判所は、シェルの探査権が違法に付与されたと判断し、これを取り消しました。さらに、裁判官は、海の重要な役割─沿岸コミュニティの暮らし、精神的、文化的な背景─を認定しました。

解決を願う人の一歩が、それを実現します

気候変動なんて大きな環境問題に人間が立ち向かえるわけがない、もうここまできてしまったらどうしようもない─そんな風に思う人は少なくないのではないでしょうか。

でも実際に、企業を変え、国を動かし、解決への道を切り開いているのは、私やあなたと同じように「地球を救いたい」「未来をまもりたい」と願う一人ひとりの力です。

いまなら、行動するのに遅すぎることはありません。
今日、できることからひとつずつ、始めてみませんか。

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