グリーンピースには多くの方からさまざまなご意見やご質問が寄せられます。
中には大変な誤解に基づくものも少なくなくて「もしかして、グリーンピースのコミュニケーションが足りていないのでは」と感じることもあります。
今回はグリーンピースが半世紀あまり受け継いできた「ポリシー」、曲げられない基本的な考え方をお伝えします。

こんにちは。サポーター窓口の金海です。
毎日、お電話やメールやお手紙、FAXなどで寄せられるご質問やご意見に対応しています。

グリーンピースの環境保護活動には、力をあわせて、声を揃えて、いっしょにがんばってくださる皆さんがどうしても必要だから、一生懸命コミュニケーションしてるんだけど、何だかいろいろ誤解もあるみたいです…。

グリーンピースはいかなる戦争にも暴力にも反対

2015年、国境なき医師団・ギリシャ沿岸警備隊と協力して地中海を渡る難民を支援するグリーンピース。

グリーンピースはいかなる戦争にも暴力にも反対です。
世界中で起きているどの戦争も、紛争も、軍事衝突も、すべてなくなってほしいと願っています。
安全のために国を離れざるを得なくなった人たちや、流通が分断されて生活物資に困っている人たちがいたら、他のNGOや市民団体や地元当局と協力してサポートしてきました。
戦争に反対する人たちといっしょに行進し、1日も早く平和が戻るよう祈ります。

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戦争は最大の環境破壊です。
戦闘行為では市街地や公共施設、農地や油井や発電所、森林などが燃やされ、河川や海にも有害物質が流出し、大気が汚染されます。そこに住む人も、生きものたちも、生命の危機にさらされます。核兵器が使用されたら、放射能汚染が拡散され、長期間にわたって地域の人々の健康を脅かします。
被害からの回復には、長い年月を要します。

だからといって、グリーンピースが、争いのどちら側が正しくて他方が間違っている、どちらの味方で他方は敵、とジャッジすることはありません。

2022年4月、ドイツ・アウグスブルクで行われたマーチに参加するグリーンピースのボランティア。

ポリシーは「不偏不党」

グリーンピースは、平和と民主主義をまもるためにさまざまな活動を実施してきました。

集団的自衛権行使容認閣議決定、国民主権を否定する行為(2014年)
日本の民主主義の“終わりの始まり”にしてはいけない ~政府の恣意的な「秘密拡大」に歯止めを、市民は「知る権利」の主張を~ (2014年)
安保法制可決に抗議:「不断の努力」で、安保法制を使わせない(2015年)
市民社会の自由を奪う「共謀罪」に反対する国際NGO共同声明(2017年)

でも、ポリシーはあくまで「不偏不党」

過去にも未来にも、特定の政党や政治団体、政治家を支持することはありません。
できるだけ多くの有権者の皆さんに、ご自身で判断して、投票にいってほしいだけです。
それが、平和と民主主義をまもるために、いちばん大切なことだから。

もうすぐ参議院議員選挙の投票日。

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皆さんはもう誰に、どの政党に投票するか決めましたか?
まだ決めてなければ、便利なサイトがいろいろあるのでよかったら覗いてみてください。

参議院選挙のしくみ:そもそもの選挙制度についてわかりやすく解説
選挙ドットコム:どの政党の政策方針があなたのニーズにあってるか調べられます
みんなの未来を選ぶためのチェックリスト-参議院選挙2022:各政党への質問状に対する回答を公開
国会議員白書:国会議員の皆さんの過去の実績のデータベース

去年の衆院選のときのグリーンピースのアンケートも参考にどうぞ。

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そして忘れてはならないのが「自民党の改憲草案で憲法はどう変わる?」。
今回の選挙の後、長ければ3年間、国政選挙は行われません。
となると、おそらく、改憲論議は避けて通れません。

非暴力不服従

「グリーンピースって過激」
「捕鯨船に体当たりなんて、いくら環境保護のためでも行き過ぎてる」
グリーンピースに対する事実誤認のうちでも、いちばんよく耳にする評価です。

グリーンピースの活動方針は「非暴力不服従」。
インド独立の父、マハトマ・ガンジーと同じ方針です。
どんな活動のためでも、直接的に誰かを傷つけるような行動は禁止しています。

バナー(横断幕)を掲げて意見表明をすることがありますが、平和的な表現と方法で実施しています。
グリーンピースは、政府の管轄官庁や企業と関係を構築し、注意深く、慎重に、問題を解決するためにはどうすればいいか、何ができるかを話しあいます。
何でも、話しあいから始めます。

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が施行されたことに抗議するアクション。2017年。

それで捗々しい進展が見られないときや、重要な国際会議などで責任をもって成果を出してほしいときに、そこにスポットライトを当てるようなアクションをすることがあります。
変装したり、着ぐるみを使ったり、深刻なばかりではなく、見てくれる人に笑ってもらえるような工夫をすることもあります。

捕鯨船に体当たりしてたのは別の団体です。詳しくは下記のページの「グリーンピースの活動について」の項に記載しています。
よくある質問

持続可能な社会を実現するための通過点

太陽光発電や、風力発電や、EV車は「気候変動問題の解決策」のひとつ。既存のエネルギーの代替手段です。
とはいっても、化石燃料より温室効果ガスの排出量が少なく、相対的に環境負荷が抑えられることは事実です。

代替手段でも、現段階では、環境負荷を完璧にゼロにすることはできません。
グリーンピースでは、まず省エネとエネルギーの高効率化を前提として、資源の浪費をやめ、どうしても必要なエネルギーをより安全で環境負荷の低い再生可能エネルギーで賄うことが、当面の解決策と考えています。
自動車メーカーには、販売台数中心から移動サービス提供中心のビジネスモデルに転換してほしい。

インド、マイクログリッド方式で電力を供給するダーナイ村の子どもたち。2014年撮影。

その上で、技術開発によって、現行の再生可能エネルギーやガジェットの環境負荷も極力減らす。

気候変動をくいとめ、環境破壊をなくし、あらゆる命がまもられる、「持続可能な社会」という最終目標を達成するための、通過点として。

再生可能エネルギーへの疑問にお答えします
エネルギー問題の「よくある質問」

環境保護に正解はない

いま、地球を危機に陥れている気候変動には一刻の猶予もありません。

環境保護に、完璧な「正解」なんかないのでは?と私は思います。

大事なのは、問題を見過ごさず、真摯に向き合い、解決のためにできるだけのことをすること。
正しく真実を知り、責任の所在を明らかにし、問題を収束させるまで一歩も退かないこと。
人と人とが繋がって手をとりあい、尊重しあって、お互いに納得できるまできちんと話しあうこと。

グリーンピースが、そういう勇気あふれる人々が集まる輪になれたらと、いつも思っています。

チリ・アクレオ湖。豊富な水量と生物多様性を誇っていたが、気候変動の影響でわずか数年で枯渇した。2019年撮影。