6つの図で理解する気候変動が不平等につながる理由
この投稿を読むとわかること
気候変動の影響は実は、人類に平等にふりかかっているのではなく、不平等だと知っていましたか? 気候変動が不平等につながる理由を理解するためには、炭素排出源となっている国々と気候変動によって最も被害を受ける国々はどこか理解する必要があります。 ここでは、6つの図を用いて気候変動が不平等につながる理由を解説します! |
1. 年間平均二酸化炭素排出量が高い国は?

まず、二酸化炭素は実際にはどこから排出されているのでしょうか。
気候変動に対する国の責任の大きさは、通常、国民の平均的な温室効果ガス排出量によって測られます。
例えば、2019年には、アメリカ、カナダ、ロシア、サウジアラビア、オーストラリアなどが排出量の上位を占めました。 アフリカ諸国は最も低く、一人当たりの年間平均CO2排出量は約1.1トンで、世界平均の4.7トンを大きく下回っています。
なぜ、国ごとの炭素排出量の差が「気候正義」に関係するのでしょうか?
温室効果ガスのほとんどは、化石燃料を燃やすことによって発生します。化石燃料は、産業、店舗、家庭、学校などの電力、商品の生産、輸送など、インフラに必要なエネルギーを生み出すために使われています。
人間の幸福度を示す指標を見ると、二酸化炭素排出量が増加すると、その国の人々の身体的・精神的健康度は低下することが分かっています。逆に、二酸化炭素排出量の増加が少ない国では、国民の幸福度が急激に上昇し、その後、安定するとのことです。
すでに化石燃料を使用し、インフラが整った高排出国では、豊かさを維持したまま二酸化炭素排出量を削減していくことができ、国民の幸福度も向上・安定させることができます。しかし、低排出国は、豊かな国が経験したような化石燃料を大量に使用した発展は叶わず、電力、教育、医療へのアクセスなどのインフラの整備に課題が残ります。
2.CO2排出量が少ない国は人間開発指数が低い国。

一人当たりの平均CO2排出量が最も少ない国は、国連の人間開発指数(HDI)が最下位の国でもあります。 最下位の17カ国はすべてアフリカにあり、排出量の多い国はカタールを筆頭に化石燃料生産国が中心となっています。
人類は今後半世紀の間に、世界の炭素排出量を大幅に削減しなければならないと国際的に同意しました。富裕国の人々が資源を持ち続け、環境負荷の高い消費と炭素集約型のライフスタイル* を続けながら、低所得国に電力、教育、医療へのアクセスなどのインフラ関連投資を削減するよう強いるのは極めて不公平ではないでしょうか。
3.長期的に炭素排出を蓄積する国は、より大きな責任を負うべき。

各国の現在の排出量を比較するだけでは、気候正義のもう一つの重要な要素である長期にわたる温室効果ガスの排出量の蓄積を無視することになります。 二酸化炭素は何百年も大気中に留まり、その蓄積が気候変動や地球温暖化の原因となります。
ある国や地域は、他の国や地域よりも排出量の蓄積に大きな責任を負っています。 例えば、米国は1750年代以降、世界の温室効果ガスの25%以上を排出しているのに対し、アフリカ大陸全体では約3%しか排出していません。
歴史的に大量の温室効果ガスを排出し続けてきた経済先進国には、温室効果ガス排出を大幅に削減し、気候変動の影響をより強く受けている国や地域を支援する責任があります。
4.気候正義は富の分配パターンに大きく関係している。

ストックホルム環境研究所*1とオックスファム*2の調査によると、1990年から2015年の間に、世界人口のたった5%が36%の温室効果ガスを排出していることが分かりました。
富裕層は、飛行機での旅行や、世界中に異なる家や個人的な移動手段を持つなどの贅沢な行動によって、より多くの炭素排出量を蓄積し続けている一方で、最も貧しい人口の半分は、基本的なエネルギーさえほとんど利用できないため、炭素排出量は6%未満にとどまっています。
同時にこれは、少数の高排出国が気候変動に対して積極的な行動をとれば、気候危機の軽減に好影響を与えることも示しています。
5.過去半世紀における世界の炭素排出量の3分の1は20社で占められている。

カーボンメジャー報告書によると、世界の化石燃料とセメントの炭素排出量の3分の1以上は、主に石油・天然ガス生産会社である20社に直接起因していることが判明しました。 これは、政府は大企業が気候変動に対して責任を持てるような規制や政策を導入する必要があることも示しています。
6.最も脆弱な国や地域は、気候変動に対して最も脆弱。

科学者たちは、食糧安全保障、水資源、人間の健康や生活状況、生態系サービス、インフラ(エネルギーを含む)などに基づいて、各国の脆弱性を評価しています。 最も脆弱なのは、サハラ以南のアフリカ、南アジア、小島嶼国(小さな島で国土が構成される開発途上国)です。
ツバルやマーシャル諸島などの小島嶼国の中には、海面上昇による生存の危機に直面している国もあります。 サハラ以南のアフリカ、北極圏、山岳地帯の一部も、世界の他の地域よりも早く、より劇的に気候変動の影響を受けています。 また、アフリカの一部では、気温や降水量の急激な変化により、食糧危機が発生しています。
これらの気候変動の影響を受けている国や地域の多くは、温室効果ガスの蓄積にあまり責任を負っていません。 しかし、気候の危機から身を守るために必要な資金や資源は絶望的に不足しています。
豊かな国々は、気候変動が最も脆弱な地域や人々に与える格差の問題に取り組み、約束された財政支援を提供することが不可欠です。
「正しい」気候変動対策の合意はいつ実現するのか?

こうした「気候正義」の問題は、2021年に開催されたCOP26気候会議のハイライトの1つでした。 最終的に、経済的に豊かな国々は気候変動対策への資金を拡大することに合意し、英国、ドイツ、米国、カナダなどが、途上国の排出削減と気候変動への適応に利用できる資金を倍増すると約束しました。
実際、気候変動に脆弱な地域に対して資金援助を行うだけでなく、最も脆弱なコミュニティや国に対する適応プログラムの策定、環境法・政策の整備、気候正義を実現するために企業が気候に対してより大きな責任を負うように働きかけるなど、世界のリーダーが着手できることはたくさんあります。
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*1 ストックホルム環境研究所:ストックホルム環境研究所(SEI)は、持続可能な開発と環境問題を専門とする非営利の独立した研究および政策研究所であり、世界中に7つの関連事務所があります。
*2 オックスファム:オックスファム・インターナショナルは20の組織から編成される、貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を90カ国以上で展開している団体である。