コーヒーをテイクアウトしたいけど、マイカップやタンブラーを忘れた!そんな時に使い捨てカップのごみを出さずに美味しいコーヒーを楽しめるのが、返却式リユースカップ。

増え続ける使い捨てごみによる海洋汚染や気候変動の加速を止めるには、環境に関心がある一部の人がマイカップを持ち歩く努力をするだけではなく、誰もが使い捨てずに快適に暮らせるような仕組みを作ることが必要です。

日本でも少しずつ広まりつつある返却式リユースカップを、グリーンピースが渋谷で体験してきたので、レポートします!

返却式リユースカップとは

コーヒーを買いに行って、自分はタンブラーを使っているけど、周りは使い捨てカップばかりでゲンナリ…という経験はありませんか?そしてどんなに普段使い捨てごみをなるべく減らそうと努力していても、タンブラーを持ち歩いていない日にコーヒーが飲みたくなることもあります。

返却式リユースカップは、洗って繰り返し使えるカップをお店からレンタルできるサービスです。アプリなどを使って、お店ですぐに借りることができ、飲み終わったら加盟店に返却するだけ。テイクアウトカップの便利さをそのままに、使い捨てごみを大幅に減らすことができます。使い捨てカップによる海洋汚染やCO2排出抑制への有効な解決策です。

東京都内で人気のコーヒー店が連携してスタートした無料の返却式リユースカップ「CUPLES(カプレス)」もその画期的なサービスの一つ。すでにグリーンピースのスタッフには活用している人も多いですが、渋谷のコーヒースタンドで実際に使った様子をレポートします!

今回お伺いしたのは、渋谷の道玄坂にあるコーヒースタンド、About Life Coffee Brewryさんです。お会いしたスタッフの方は、使い捨てカップ削減やコーヒーかすのリサイクルなどに熱心で、「CUPLES」の使い方もわかりやすく教えてくれました。

返却式リユースカップシステム「CUPLES」を導入する渋谷のコーヒースタンド。参加しているお店なら、どこでも返却できる(2022年5月)

返却式リユースカップの使い方

初回のユーザー登録さえ終わらせれば、使い方は3ステップで驚くほど簡単です。「CUPLES」のアプリをダウンロードして、ユーザー登録しましょう。▶︎Apple Store ▶︎Google Play

①加盟店の店頭で、QRコードを読み込みます

加盟店はアプリ上でも確認できます。

②「現在ご利用中」のサインが出たらお店の人に見せて、飲みものをオーダーします。

返却式リユースカップでコーヒーを作ってくれます。「CUPLES」のレンタルは無料なので、お金を払う必要はありません。

③ 受け取る

おいしいコーヒーを、リユースカップで受け取りましょう。

本当に環境負荷が低いの?

世界最大手のコーヒーチェーンであるスターバックスだけでも、世界で年間70億個もの使い捨てカップを使っており、タンブラーや店内でマグカップなどのリユースカップの利用率はコーヒー販売の3%にも満たないということがわかっています。

返却式リユースカップは何度も繰り返し使うことができ、サッカー場での運用事例をもとに分析すると、リユースカップを2.7回使えば紙カップのCO2排出を下回るというデータもあります*

コーヒーはすっかり私たちの生活の一部になり、毎日何度もコーヒーを買う人もいるので、返却式リユースカップを全国で展開することは、大きなインパクトに繋がりますね。

スターバックスも渋谷で実証実験を展開中

スターバックスは、今年に入って、東京都の丸の内エリアと渋谷エリアで返却式リユースカップの実証実験を開始しています。また、一部の店舗で、店内でのつめたい飲みものに、繰り返し使えるグラスを活用することも発表されました。

グリーンピース・ジャパンは2021年2月から、スターバックスコーヒージャパンに対して、返却式リユースカップを全国で展開し、使い捨てカップを大幅に削減するために行動するよう、働きかけてきました。スターバックスの動きは、グリーンピースと、キャンペーンに賛同して署名で一緒にスターバックスに声を上げてくれたサポーターのみなさんからの要望と一致します。

しかし、毎年大量の使い捨てカップを排出しているスターバックスにとっては、こうした動きを早急に全国的に広めていくことが肝心です。

すでに韓国やヨーロッパ・アフリカ地域のスターバックスでは、返却式リユースカップを活用して、使い捨てカップを大幅に削減する目標年度や数値目標なども発表されているので、日本でも、私たちは引き続きスターバックスとの対話を続け、具体的な目標を発表し、行動に移すことを求めていきます。

2021年に開催した、500人以上の企業担当者・記者などが参加したオンラインシンポジウム「リユース革命!容器包装で始まるサーキュラー・イノベーション」(地球・人間環境フォーラムとの共催)では、返却式リユースカップの仕組みをスターバックスなどに提供するRe&Goに、返却式リースカップの仕組みの便利さや環境へのメリットを発信してもらいました。返却式リユースカップという画期的な仕組みが、全国的に広がるように企業と協力しています。

使い捨てごみを出さない「仕組み」を作る

このままでは、プラスチックの海洋流出は2030年には2倍に増えてしまうと言われています*。プラスチック汚染を根本から止めるには、一人ひとりの努力だけに頼らず、誰もが返却式リユースカップを使えるようにするなどの「仕組み化」が必要です。

使い捨てプラスチックによる汚染をこれ以上広めないために、「ごみを出さない仕組み化」をビジネスに組み込むように、企業に情報提供し、注意喚起し、背中を押すグリーンピースの活動に、ぜひ参加してください!

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