日本でも、使い捨てごみを出さずにお買いものできるお店が増えてきました。

昔から根付いているような、容器を持って買いに行くお米屋さんやお豆腐屋さんなどが再注目されているのに加えて、さまざまな食品や生活雑貨をゼロウェイストで買えるスーパーマーケットスタイルの新しいお店もできていますよね。

今回は、量り売りやパッケージフリーの買いものについてよくある、こちらの5つの質問へ、日本初のゼロウェイストスーパーマーケット「斗々屋京都本店」の事例をもとに、回答します!

1.「そもそもどうやって買うの?」
2.「本当にごみが減るの?」
3. 「鮮度は大丈夫?」
4.「感染症対策は大丈夫?」
5. 「値段が高くない?」

はじめに:「斗々屋京都本店」とは?

今回は、「斗々屋京都本店」の事例を元に、量り売りについての5つの疑問にお答えしていきます。

斗々屋京都本店は、2021年にオープンした日本初のゼロウェイストスーパーマーケットです。「ゼロウェイスト」とは、ごみになるものをなるべく減らし、避けられない廃棄物はリサイクル・堆肥化などで循環させていくこと。斗々屋では、商品の使い捨て包装がなく、繰り返し使える袋や容器を使って量り売りをしています。ふつうのスーパーに行く感覚で、ごみを出さずに必要なものをそろえられるのが人気です。

プラスチックごみの約半分は、野菜やくだもののビニール、商品の個別パッケージなどの使い捨ての容器・包装。こうしたパッケージフリーのお店が増えていくことが、プラスチックによる海洋汚染や気候変動の悪化を止める重要な解決策です。

1. 「そもそもどうやって買うの?」

量り売りの買い物は、一度やってみればとてもシンプルです。

斗々屋では、備え付けのメジャーカップに商品を欲しい分だけ入れて、

電子秤に載せると、自動でカップの重さを差し引いて商品の重さだけを計測してくれるので、商品名を選択して、値札シールを出します。

あとは商品を持ち帰り用の容器に移して、シールを貼り、

レジでお会計するだけ!

斗々屋の場合は、最新の技術を取り入れているので、自動で商品の重さだけを計測してくれるのですが、小規模な量り売りショップでは、1. 容器の重さを事前に測り、2. 商品を容器に入れて、3. 会計時に容器の重さを引いて商品代を計算、という方法が一般的。これでも慣れてしまえばそんなに時間はかかりませんが、斗々屋で導入されているような技術が広まれば、量り売りはもっと手軽になりますね!

2. 「本当にごみが減るの?」

家庭で出るごみは圧倒的に減ります。

お店にある食材は個別包装されておらず、繰り返し使える袋や容器で買うことができるので、一般的なスーパーの買い物で出る山のようなプラスチックの袋やパックは、一切残りません。持ち込む袋や容器は、ジップロックなどの使い捨てのものではなく、丈夫で、洗って繰り返し使えるものであることが望ましいです。

醤油やみりん、料理酒などの液体調味料も、ビンなどの容器に直接補充できます。プラスチックに比較して、ガラス瓶は効果的なリサイクルに適した素材ですが、リユースすれば、ビンの製造やリサイクルにかかるエネルギーを大幅に節約できるし、ごみ出しの手間も省けます。

斗々屋の場合は、「デポジット容器」といって、利用時に預かり金として150円を払い、返却するとお金が戻るガラス瓶も用意されています。これがあれば、容器を持っていない日でも量り売りでお買い物できます。

ここで、「お店で出るごみは?」と鋭い質問が出るかもしれません。

流通に乗っている大手の業者から仕入れると、商品は使い捨て包装されていることがほとんどなので、斗々屋では、地元の小規模な生産・製造元からの仕入れに力を入れているそうです。ゼロウェイストの理念に共感する仕入れ元と協力し、直接お店に届けてもらう、スタッフが容器を持って仕入れに行く、商品を受け取ったら容器を送り返す「通い箱」「通い袋」を活用するなど、ごみを出さない仕入れ方法を徹底的に話し合っているそうです。

ただ販売方法を量り売りにするだけでなく、このような地域内での循環を増やすことが、総合的に見て使い捨てごみを減らすことにもつながります。

3.「鮮度は大丈夫?」

量り売り店では、店内の温度管理に細心の注意を払う、こまめにテイスティングして品質を確認するなど、商品をよい状態でお客さんに届けるためにさまざまな工夫がされています。

足の速い生鮮野菜の販売にも工夫されています。斗々屋の冷蔵スペースには、このような蓋付きの箱がありました。グリーンピースの取材時には、ほうれん草、小松菜、わさび菜、ハーブなどがみずみずしく並んでいましたよ。

きのこコーナーにも、同じ箱がありました。

またキッチンが併設されている斗々屋では、食材が悪くなる前にキッチンで調理して、お惣菜やレストランのメニューとして提供されています。

4.「感染症対策は大丈夫?」

量り売りのお店では商品を入れるためのトングやレードル(おたま)、容器の蓋のつまみなど、お客さんが触る場所は限られています

斗々屋では、スタッフが接客や補充の間に、こまめにこうしたところを拭いて回るそうです。商品を測るときに使うメジャーカップは、一回使われるごとにお店のキッチンで洗浄されています。

たくさんの商品が並び、商品を手に取って戻すこともある一般のスーパーと比較して、量り売り店の方が、接触は少ないといえます。

5.「値段が高くない?」

斗々屋をはじめ、ごみを減らすために量り売りという販売スタイルを選んでいるお店では、環境に配慮して生産されたオーガニック食品を取り扱っているお店が多く、スーパーで並んでいる大量生産型の商品よりも、商品そのものの値段が上がることがありますが、「量り売りだから高い」ということはありません。

ものによっては、パッケージに入ったものよりも安く買えることもあります!例えば、通常のお店で購入すると高くなりがちなスパイス類は、量り売りで買った方がずっと安くなる食材の一つです。

量り売りやショップに行ってみたくなりましたか?

斗々屋のような、量り売りやパッケージフリーのお店が近くにあるか気になったら、グリーンピース・ジャパンとボランティアチームが運営している「ごみを出さないお買いものマップグッバイウェイスト」で、チェックしてみてください!

リユースの取り組みを日本で加速させるには?

生活で出るプラスチックを減らしたくても、日々自宅から離れた量り売りのお店まで足を運んだり、仕事や育児など多忙な中でお豆腐はお豆腐屋さんに…というのは難しい方もいらっしゃるはずです。どこで買い物をしても、販売方法が斗々屋のようにリユースの仕組みだったら良いと思いませんか?

グリーンピースは、世界中で、このようなごみを出さないリユースの取り組みが加速するように、企業や政府に働きかけるキャンペーンを行っています。

日本では、2021年にオンラインシンポジウム「リユース革命!容器包装で始まるサーキュラー・イノベーション」を開催し、国内外のリユースの最新事例を、リユースビジネスに関心の高い企業の担当者やメディアへ共有しました。斗々屋も京都本店開店前にこのシンポジウムに登壇し、ゼロウェイストスーパーのコンセプトを発信してくれました。

現在力を入れているのは、スターバックスコーヒーに、使い捨てカップに頼った販売モデルから、洗って繰り返し使える返却式リユースカップを中心とした販売に切り替えるように、働きかける活動です。小売業界をリードする企業であるスターバックスが変わることが、日本の小売業界に大きなインパクトを与えることが期待されるからです。

実際にリユースの仕組みを実施しているわけではないグリーンピースの活動に、華はないかもしれません。でも、このようないわば「裏方」の働きかけは、その重要性を理解し、支えてくださる寄付サポーターのみなさんの力で支えられています。リユースの仕組みを加速させるためのグリーンピースの活動を、寄付サポーターとして支えていただけませんか?