自動車ってどれくらい地球環境に影響があるの?
この投稿を読むとわかること
日本だけを見ても、2019年のデータでは、全CO2排出量の18.6%が交通から排出され、その45.6%が乗用車に由来します。つまり、日本のCO2排出の8%が、乗用車由来です*。
ゼロエミッションをめざす今、これからの交通は、どうなっていけばいいのでしょうか?
世界の全CO2の約20%が、交通や運輸から排出されています*。2018年には、80億トンのCO2を排出したことになります。
飛行機、輸送用トラック、乗用車、電車など様々な交通手段がありますが、その中で、最もCO2排出につながっているのは何だと思いますか?
?「…✈️?」
いま、飛行機を思い浮かべませんでしたか?
意外な事実かもしれませんが、飛行機は全体の11%で、45%は乗用車から排出されています。
人ひとりを1キロ移動させるのに排出されるCO2は、乗用車では130g、飛行機は98g、バスは57g、電車は17g。移動手段の中で、乗用車が最も気候負荷が大きいことになります。

日本だけを見ても、2019年のデータでは、全排出量の18.6%が交通から排出され、その45.6%が乗用車に由来します。つまり、日本のCO2排出の8%が、乗用車由来ということです*。
とはいえ、公共交通機関が近くになかったり、お年寄りや体が不自由な人が家族にいたり、車が生活必需品という場合もあるでしょう。
これからの交通は、どうなっていけばいいのでしょうか?
世界はガソリン車の廃止へ動く
国際エネルギー機関は、2050年までにCO2排出実質ゼロを実現するためには、2035年までに、ガソリンなど燃料を燃やして動く内燃エンジン車(ICE車)を廃止する必要がある、と発表しました*。
そして実際に、内燃エンジン車を廃止する動きが加速しています。
ボルボ、ジェネラル・モーターズ、 ジャガーなどの国際的な企業や、日本ではホンダも、内燃エンジン車を廃止することを発表しました。
また、ノルウェーは2025年までに、スウェーデン、デンマーク、オランダは2030年までに、イギリスは2035年までに、自動車新車販売で内燃エンジン車をゼロにする目標を立てています。
その代わりに自動車メーカーが切り替えていくと発表しているのが、電気自動車(EV)です。

日本の政府やメーカーは?
日本は、2030年代半ばまでに、乗用車の新車販売を100%電動車にするとしていますが、この目標では明確な期限になっておらず、規制もありません。また、国際的には電気自動車(EV、電気で走行)100%への移行が加速していますが、日本ではハイブリッド車(HV、エンジンと電気の両方で走行)なども「電動車」に含まれています。
2020年12月に経済産業省が発表した「グリーン成長戦略」では、その具体的な方法として、
- 電気自動車とそのインフラを増やし、広めること
- 電池や電動車関連技術やサプライチェーンを強化すること
- 持続可能な移動サービスや都市インフラとの連携などで車の使い方を変えていくこと
などが挙げられています。
しかし一方で、ハイブリッド車にも電気自動車と同様に補助金が出されています*。
ハイブリッド車は、ガソリン自動車などと比べると、確かに少しCO2排出量は減りますが、それでも化石燃料を使い続けることを前提とした製品です。気候変動を抑えるには、これ以上化石燃料を掘り起こすべきではありません。
日本の自動車会社では、前述のホンダは、2040年までに内燃エンジンから脱却することを5月に発表しています。ただ、2035年まではハイブリッド車などを使って徐々に変化していくとしています。日本の自動車会社で明確な期限を設けて内燃エンジン車をゼロにすると発表しているのは、今のところホンダのみです。

車の未来はどうなる?
しかし、すべての自動車を電気自動車に変えることが、ゴールではありません。車は、製造や輸送の段階で、すでに大きな環境負荷がかかり、電気自動車はレアメタルを使うため、国際的に人気が高まるとともに供給が足りなくなる可能性もあります。
そもそも一般家庭では、車は90%の時間、駐車されて使われていない状態なのだそうです。その上、維持するのにお金も資源もかかる車を、各家庭や個人が所有するのは、本当に効率的な方法でしょうか?
私たちが車を使うそもそもの理由は、ある地点から別の地点に、快適に移動する必要があるからです。住んでいるエリアや年齢、行動パターンなどによって、その解決策も違うはずです。どうしたら、誰もが快適に移動できるか、環境問題だけでなく、まちづくりの視点からも、考えなければいけません。
その1つのステップが、電気自動車よりも製品寿命全体でのCO2排出量がずっとずっと多い*、内燃エンジン車やハイブリッド車を無くしつつ車そのものの数を減らし、必要な人は電気自動車が入手でき、そうした電気自動車を100%自然エネルギーで充電できる仕組みを整えていくことだと、グリーンピースは考えています。
どうしたら便利で、豊かな街を作っていけるか、一緒に考えて行きませんか?