2月3日、フランスから驚きのニュースが飛び込んできました!4つの環境団体*を代表とした市民がフランス政府に対して、気候変動対策を十分にしていないことを訴え、損害賠償を求める行政訴訟で、パリ行政裁判所は、政府の気候変動に対する十分に行動しないこと 「Inaction」を認め、国の過失を認める判決を下しました!*1

*グリーンピース・フランス、オックスファム・フランス、ニコラ・ユロ財団「自然と人間のための基金」、ノトルアフェールアトゥス (Notre Affaire à Tous)

歴史的な快挙

これは、気候危機のために行動してきた人々にとって、歴史的な快挙です。この訴訟は、l’Affaire du Siècle(世紀の訴訟)とよばれる、気候正義を求める2年にも及ぶアクションです。グリーンピース・フランスをはじめとするフランスの4つの環境団体が、気候変動対策に失敗し続けている政府が、人々の健康や未来を守ることができていないとして、十分な気候変動対策を求めて法廷に訴えたものです。訴訟に先立って展開された署名運動では、賛同する市民230万人が、わずか数日の間に署名しました。フランスの市民活動の歴史でも、わずか数日でこれだけの賛同者が集まった署名はないそうです!

この判決は、”科学的な真実”の勝利とも言えます。これまで政府は、CO2の排出削減目標を達成できない状態でも、気候変動対策が不足しているということを否定してきました。判決により、こうした主張はできなくなります。

この歴史的快挙を実現したフランスのNGOや著名人・市民が、喜びのメッセージを伝えています。グリーンピースのアンバサダーでもある俳優のマリオン・コティヤールさんも!

しかし、これで終わりではありません。裁判所はこれから、約束した温室効果ガスの排出量削減実現に向けた明確な展望を示し、温室効果ガスを減らすために行動し、気候変動対策の公約を守ることを政府に命じる追加措置をとるかどうか、決めることになります。

次の審問は、春に行われることになっています。ここから、フランスの市民たちは、政府による今の行動は不十分で、効果的に気候危機に立ち向かうことを強制するべきだということを、証明していく必要があります。政府側も、この決定に対して、控訴することができます。

フランスでの判決が世界の政府を後押しすることに期待!

フランスで気候変動対策における政府の無策、不十分な取り組みが国の過失として認められたということは、各国政府にも、より具体的な行動が求められることにつながっていくでしょう。

また、日本では想像しにくいことかもしれませんが、米石油メジャーのエクソンモービルなどに対しても多くの訴訟が各地で起きています。気候変動リスクに関する情報開示を経営陣が怠ったとする株主からの訴訟、同社の製品が地球温暖化と気候変動を引き起こす排出に貢献したことを何十年も知っていたが、それを人々から隠したことなどで訴えられています。

気候危機が加速する中、待ったなしの温暖化に、地球の未来に不安を感じ、十分な対策を取らない国や企業へ環境責任・行動を求める、気候正義の動きが広がっています。

日本で私たちにできることは?

日本では、2020年に菅首相が2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指すことを表明したばかりです。具体的な行動はこれからと、大きく出遅れています。

いま政府は、日本のこれからのエネルギーの方針を示す「エネルギー基本計画」の見直しを検討・議論し、さらに「地球温暖化対策計画」の改訂を進めています。原発に頼らず、自然エネルギー100%で、温室効果ガス排出ゼロを達成するように、市民から政府に働きかける動きが広がっています。「あと4年 未来を守れるのは今」ウェブページInstagramの投稿を見て、ぜひ周りの方にも情報をシェアして、署名で一緒に声を上げてください!

あと4年