こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。
原子力規制委員会は、20日(月)、関西電力高浜原発1,2号機(福井県)に、延長運転認可を判断すると報道されています。(「原子力規制を監視する会」主催のアピール行動が予定されています)
20年延長?それはバッドアイデアです。
高浜原発1,2号機は、運転開始から40年を超えた老朽原発。
老朽原発でもあった東電福島原発の事故の反省から生まれた「原発は40年で廃炉」という40年ルール。このルールには、原子力規制委員会が認めれば、1回に限り20年の運転延長ができるという例外規定があります。
写真:欧州の原発で「20年の延長はバッド・アイデア」と訴えるアクション
けれど、世界で閉鎖された原発の平均寿命は24.7年。今ある最も古い原発は47歳。
40歳を超えている高浜原発1,2号機の20年運転延長はバッドアイデアです。
20年延長しても、途中で閉鎖されるアメリカの老朽原発
アメリカでは、20年の延長を許可された原発が、20年ももたずに次々に閉鎖しています。
以下、2013年から2019年の間に閉鎖された・される予定のアメリカの原発の運転期間と閉鎖年を挙げますと…
- クリスタル・リバー原発3号機 37年(2013年)
- サン・オノフレ原発2、3号機 それぞれ29年、30年(2013年)
- キウォーニィ原発 40年(2013年)
- バーモント・ヤンキー原発 42年(2014年)
- フォートカルフーン原発 43年(2016年)
- フィッツ・パトリック原発 43年(2017年)
- オイスタークリーク原発 50年(2019年)
- ピルグリム原発 47年(2019年)
1960年代の古い設計の原発は、リノベーションにも限界があります。
多くの電力会社が、巨額を投資して改修し、使い続けることよりも、閉鎖することを経営判断しました。
オイスタークリーク原発では、とりかえのきかない原子炉圧力容器に問題が起こり、10年の期限を残して2019年の閉鎖が決まっています。
写真:アメリカのオイスタークリーク原発
圧力容器にヒビが… ヨーロッパの老朽原発
ヨーロッパでも、原発の老朽化が進んでいます。
スイスには、現存する世界最古の原発であるベツナウ原発があり、今年で運転開始47年。現在は、原子炉圧力容器にヒビが入り、運転停止中です。
写真:ベツナウ原発に向けて「THE END(終わり)」の横断幕を掲げました
ベルギーのドール原発3号機では、やはり原子炉圧力容器に1万本以上のヒビ。
また、同じくベルギーのティアンジュ原発の原子炉圧力容器もヒビが見つかっています。
上記2機の原子炉圧力容器のヒビは最大で18センチだそうです。
原子炉は放射能でいっぱい。だから、圧力容器でしっかり守る必要があります。もちろん、圧力容器自体が壊れれば重大事故になります。
老朽原発をとめる裁判に応援を!
グリーンピースは、ヨーロッパでも、老朽原発の運転を止めるためのキャンペーンを展開中。
そのヨーロッパの同僚の協力も得て、なんとか、日本の老朽原発も止めたい!そんな思いで、高浜原発1,2号機の廃炉訴訟の原告になっています。
どうぞ、応援をお願いします。
あなたの”応援フェイス”を横断幕に
グリーンピース・ジャパンのスタッフも原告として参加している高浜1,2裁判に、応援の横断幕を持って行きます。
大事なのは、世論の見える化。ぜひ、ご参加ください。
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