こんにちは。核/エネルギー担当の鈴木かずえです。
四国電力伊方原発の再稼働について、国があなたの意見を求めています。
5月20日、国の原子力規制委員会が、伊方原発の再稼働適合審査書案を公表し、パブリックコメントの募集が21日から始まりました。(〆切は6月19日)
<6月12日追記 グリーンピースも出しました。くわしくは末尾に>
伊方原発は、瀬戸内海沿岸にあります。
瀬戸内海は瀬戸内住民3000万人の食卓と暮らしを支えているだけでなく、日本中においしい魚介を提供してくれています。絶対に汚したくありません。
あなたの出番です。
ぜひ、一言でも書いて、送ってください。
わたしも、以下を中心に、パブリックコメントを書く予定です。
伊方原発を止めておくべき5つの理由
1.地震のリスクは日本一?
伊方原発は北に日本最大級の断層系である中央構造線、南に、活発で大規模な地震発生源の南海トラフが走っており、地震国日本の原発の中でも大地震に襲われる可能性の高い原発です。
南海トラフ巨大地震により四国の火力発電所が全て津波で長期停止する可能性が指摘されています。
伊方原発の非常用発電機が動かなかったり、燃料が切れたりすれば、全電源喪失という東電福島原発事故でみたことが繰り返される可能性があります。
詳しくは 原発四国さよならネットワーク のHPをご覧ください。
2 放射能が瀬戸内海にたまり続ける
伊方原発は、日本で唯一、内海に面している原発です。
事故で放射能が漏れれば瀬戸内海が汚染されますが、この海域の水は数年間、入れ換わりません。そのため、汚染が長く瀬戸内海に留まり続けるでしょう。
東電福島原発事故と同規模の事故シミュレーションを行い、瀬戸内海の海洋環境への被害予測を策定し、公開すべきです。
3. 逃げられない
伊方原発は愛媛県の佐田岬半島の入り口にあります。
半島側の住民5000人は原発に向かって逃げられないばかりか、大津波であれば船で避難することもできません。
地元で暮らす方は「『最悪』を想定したら、死を待つしかないじゃないか」と毎日新聞の取材に答えています。
避難計画については、住民参加の上で作成し、中立の機関が審査すべきです。
4. 事故リスクが拡大するプルトニウムMOX燃料
伊方原発で使用予定のプルトニウム入りの燃料は、原発のブレーキを効きにくくさせるため、事故のリスクを拡大させます。
原子力規制委員会は、プルトニウムMOX燃料使用はすでに許可済みという立場ですが、それは東電福島原発事故以前のこと。
再評価が必要です。
また事故を起こさずに使い終わっても、使用済み核燃料の持って行き場がありません。
長く原発の敷地内に置かれることになります。
使用済み核燃料の保管中も過酷事故が起こり得ることは、福島原発事故が教えてくれました。
5. 巨大噴火の危険も
(四国電力の資料より)
毎日新聞の火山学者アンケートに答えた50人のうち、11人が「巨大噴火のリスクを受ける原発」として伊方原発をあげています。(2013年12月22日記事)
原子力規制委員会の審査は、「火山影響審査ガイド」を基にしていますが、火山学者はこのガイドを「不十分」と批判しています。
パブリック・コメントを送ろう!
出し方は4通りあります
ネットから
電子政府の総合窓口のサイトの「意見提出フォームへ」のボタンを押して、フォームから
FAXで
「意見提出様式」をダウンロードして記入、03-5114-2179へ
郵送で
「意見提出様式」をダウンロードして記入、以下へ郵送
〒106-8450 東京都港区六本木1-9-9 六本木ファーストビル
原子力規制庁 安全規制管理官(PWR担当)宛て
(ワープロなど使用の場合は「意見提出様式」の記入要項に即して記入)
さて、なにを書こう。
審査書案には、地震や津波の想定や、事故対策についての審査結果が書かれています。
応募要項には、書き方についていろいろ書かれていますが、形式にとらわられず、自由に、考えを書いて出せばいいと思います。
どんなふうに書こう?と迷ったら…これらのサイトをぜひ、見てみてください。
参考サイト(追加していきます)
原子力発電所の「新規制基準」とその適合性審査における火山影響評価の問題点(岩波書店「科学」2015年2月号、小山真人氏研究室HPより)
グリーンピース提出パブリックコメント
意見 「パブリックコメントの募集について」
パブリックコメントを具体的に反映させるしくみを作ってください。
2014年9月10日の原子力規制委員会で九州電力川内原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントについての議論の際、大島賢三委員(当時)は、パブリックコメントの扱いについて検討することを提案されました。
大島委員は、パブリックコメントの中に、「中長期的課題あるいは将来の検討課題として取り入れられていくべきものもあるのだろうと思う」とし、「このパブリックコメントというのは我々規制側と国民との間の非常に重要な接点、もちろんこれは政治議論をするわけではなくて、技術的・科学的な見地からの関わりでありますけれども、非常に重要な接点であるわけです。国民の信頼を取り戻す上でも、そういう意味で、このパブリックコメントというものをきちんとフォローアップしていくことが必要ではないか」と述べ「何らかのそういう仕組みを作ってはどうか」と提案されています。
高浜原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントへの「考え方」で、パブリックコメントの反映については「新たな知見が得られた場合には、必要に応じ、規制に取り込みさらなる安全の向上に取り組んでいきます」(*)とされましたが、大島委員の提案のような具体的な「しくみ」は作られているのでしょうか。
その点について、ぜひ、お示しください。
*https://www.nsr.go.jp/data/000096146.pdf
意見(10~20ページ) 「基準地震動の過小評価について」
大飯原発3,4号機運転差し止め請求裁判の判決に「①我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものであること、②岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震であること、③この地震が起きた東北地方と大飯原発の位置する北陸地方ないし隣接する近畿地方とでは地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても陸海を問わず多数存在すること、④この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある」とあります。
この内容は、伊方原発にも当てはまるものです。伊方原発の敷地から10キロに満たない距離に日本最大級の断層系である中央構造線、南には、活発で大規模な地震発生源の南海トラフが走っており、地震国日本の原発の中でも大地震に襲われる可能性の高い原発です。むしろ伊方原発のほうが厳しい条件下にあるともいえると思います。
しかし、原子力規制委員会は、関西電力高浜原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントで「大飯原発3,4号機運転差止請求での福井地裁判決の内容を加味すべき」との意見に対し、「原子力規制委員会は、原子炉等規制法に基づき、原子力発電所の規制に必要な基準を設定し、原子力発電所がその基準に適合しているか否かを確認することが役割です」との考え方を示すのみにとどまっています。
原子力規制委員会はその「活動原則」において、「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」「常に最新の知見に学び、自らを磨くことに努め、倫理観、使命感、誇りを持って職務を遂行する」と謳っています。
であるならば、福井地裁判決の内容を加味することを検討しないのは活動原則からそれているものと言えるのではないでしょうか。
川内原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントについても、高浜原発の再稼働適合審査書案へのパブリックコメントについても、基準地震動の過小評価についてさまざまな批判的な意見が寄せられているにも関わらず、申請書案に反映させることなく、元の案の内容を繰り返し述べています。基準地震動の過小評価については、裁判所、地震学者専からも指摘があることから、基準地震動策定の方式にさかのぼり、現状の策定方法に批判的な専門家を含めて再検討することを求めます。
意見「立地について」
四国電力の伊方原発は、日本で唯一、内海に面している原発です。
事故で放射能が漏れれば瀬戸内海が汚染されますが、この海域の水は数年間、入れ換わりません。そのため、汚染が長く瀬戸内海に留まり続けるでしょう。
東京電力福島原発事故と同規模の事故シミュレーションを行い、瀬戸内海の海洋環境への被害予測を策定、公開し、そのリスクを国民が許容できるか、公聴会を開くべきです。
新規制基準は原子炉等の設計を審査するための基準であり、固有の原子炉の立地適格とは連動していません。
原子炉の立地適格を判断するものとして「原子炉立地審査指針及びその適用に関する判断のめやすについて」があり、それに適合していればよしとされているものと理解しています。
しかし、その「原子炉立地指針」は残念ながら、東京電力福島原発事故の教訓を取り入れて厳格化されておらず、むしろ当初の指針より安全面で後退したものとなっています。
東京電力福島原発事故では放出放射能のおよそ8割が海洋に向けて流れたと推定されています。
おなじことが四国電力の伊方原発で起きた場合、水が入れ替わらない内海への影響は計り知れません。
日本で唯一内海に面している伊方原発に関しては、そもそもその立地適格にさかのぼって審査されるべきです。
関西電力の高浜原発再稼働適合審査書案へのパブリックコメントで立地指針の厳格化や立地指針の審査のやり直しを提案するものに対し、原子力規制委員会は、「東京電力福島第一原子力発電所事故において、従来の立地審査指針で想定していた事故の規模を上回る事故が発生したことを踏まえ、基本設計ないし基本的設計方針において、炉心の著しい損傷を防止、原子炉格納容器の破損及び工場等外への放射性物質の異常な水準の放出を防止するという観点から、重大事故等対策の有効性を確認することとしています」という答えにならない「考え方」を示しています。
原子力規制委員会の活動原則に「形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求する」とあります。ぜひ、確かな規制を通じて、人と環境を守るため、立地指針、新規制基準ともに常に向上させてください。再稼働適合審査書案へのパブリックコメントにおいても、なぜ、立地指針で海洋への汚染について、問題とされていないのか、考え方をお示しください。
意見 避難計画を審査しないことについて
避難計画についても再稼働審査の中できちんと審査してください。
原子力規制委員会は、関西電力高浜原発再稼働適合審査書に対するパブリックコメントで寄せられた「避難計画についても審査せよ」という意見への考え方として「原子力防災については、原子力災害対策特別措置法に基づき、対応が講じられます」としています。
しかし、原子力災害対策特別措置法においても、原発立地自治体および周辺自治体の策定した避難計画の有効性を審査する仕組みはありません。
九州電力川内原発の避難計画については、2014年9月12日に内閣府原子力防災会議が「了承」しているが、内閣府では立地自治体とは話をしているものの、実際に避難することとなる住民へのヒアリングもなく、実際事故が起きた際に有効かどうかを公開で審査する場もありませんでした。
米国では、避難計画は原子力規制委員会が連邦緊急事態管理庁の意見を聞き、妥当性を審査しています。
2014年に原子力規制委員を退任された大島賢三氏は退任会見で日本版連邦緊急事態管理庁のような組織を作ることを提言されています。
パブリックコメントで寄せられる「避難計画も審査を」という声に対し、「原子力防災については、原子力災害対策特別措置法に基づき、対応が講じられます」という「考え方」を示すだけでは不十分です。十分な対応は講じられていません。
原子力防災対策指針は、原子力規制委員会が策定しました。その指針に基づき、有効な避難計画が作られているかどうかを、原子力規制委員会が審査しないのであれば、適切な機関に審査させてください。
とくに、四国電力伊方原発においては、以下の理由から、原発事故時に、地元の住民が被ばくをせずに避難することが困難です。
●伊方原発は愛媛県の佐田岬半島の入り口にあり、半島側の住民5000人は船やヘリコプターで避難することが想定されているが、天候不順で船やヘリの利用が不可能になれば避難もできない
●避難経路は片側一車線、海沿いも多く、天候次第では避難が不可能。
(参照:「原発 避難計画の検証: このままでは、住民の安全は保障できない」上岡直見氏著)
意見「MOX燃料の使用について」
原子力規制委員会はMOX燃料の使用について「新規制基準では、ウラン燃料を使うか MOX 燃料を使うかにかかわらず同じ基準を適用すること」あるいは審査書が「MOX燃料使用を前提としている」としています(高浜原発再稼働適合審査書案へ寄せられたパブリックコメントへの「考え方」より)。
しかし、プルトニウムを含むMOX燃料は、ウラン燃料とは性質が異なります。MOX燃料使用を前に、電力会社は「設置変更許可申請」をします。新潟県柏崎刈羽原発での使用の際には、住民投票も行われ、そして使用が拒否されました。
最新のMOX燃料使用の評価は平成7年に出された「発電用軽水型原子炉施設に用いられる混合酸化物燃料について」であると思われ、東電福島原発事故後に再評価はされていないようです。この事故前の評価を前提に「同じ基準で」よいとされていると解釈できます。
(理解が違うようでしたらご教示ください)
原子力規制委員会として、あらためて、MOX燃料使用に批判的な専門家を交えて再評価をすべきと考えます。
意見 (63~71ページ)「火山対策について」
四国電力の伊方原発の再稼働適合審査書案では、伊方原発の敷地内に火砕流は到達しないと結論づけています。しかし、到達した可能性があると火山学者が指摘しています。
(「阿蘇では過去30万年間に4回のカルデラ破局噴火が発生した。もっとも新しい8万7000年前の阿蘇4火砕流がもっとも遠くまで届いた。鹿児島県を除く九州全県と山口県に到達した。被害人口1100万人は、日本で起こった過去の火山災害の中で最大である。リスクは火砕流は玄海原発と(海を渡って)伊方原発に到達した可能性がある」早川由紀夫研究室ホームページより)
火砕流が敷地に到達することを前提に審査すべきです。
また、火山灰の降下については、最大の厚さを15センチと設定しています。これは九州電力による川内原発への火山灰降下の最大予測と合致していますが、この九州電力の予測について、火山学者の小山真人氏は「風向きが変化しないうちに特定の場所に一気に厚く積もる可能性がある。九州電力が行った数値シミュレーションが,こうした特殊条件まで再現できているとは限らない」としています(岩波書店「科学」2015年2月号)。
こうした指摘は考慮されたでしょうか。
また、そうした場合に、吸水、降下の継続、迅速な除去の不能等の条件が重なった場合に設計荷重を超える施設も出てくると思います。再検討を求めます。
このように、火山関連の審査に、火山の専門家が加わっていないために、確保すべきレベルまで安全性が確保できていません。火山の専門家を交えて、審査をやり直すことを求めます。
また、当然ながら本審査書案は「火山影響評価ガイド」を踏まえて策定されています。しかし、「火山影響評価ガイド」が不十分であることは多くの火山や原子力の専門家が指摘しているところです。複数の火山の専門家とともに「火山影響評価ガイド」を策定し直すべきです。
(参考 『川内原発と火山灰のリスク』)
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