みなさん、こんにちは。マモさんことエネルギー担当関口です。
実に3カ月ぶり、久々にお送りするマモさんブログ。今回は現在福島県沖で実施中のグリーンピース海洋調査について速報です。
実際に今、福島県沿岸に停泊中の虹の戦士号の船上からお届けしています!
福島第一原発前を航行する虹の戦士号 (c) Christian Åslund / Greenpeaceグリーンピースでは2011年3月の東京電力福島第一原発事故発生直後から、継続して福島県内を中心に放射線調査を実施しています。 計26回を数える放射線調査を通して、国が見せたいほどには除染の効果が現れていないことや、自然環境が放射線防護の国際基準にまで回復するには途方もない歳月がかかることなどが見えてきました。 今なお原発に日々貯まり続ける汚染水、今なお仮説住宅に多くの人が避難生活を強いられているなど、福島第一原発事故はまだ収束とは程遠い状況です。 グリーンピースで本格的な海洋調査を実施するのは、2011年4月以来になります。この5年の間に、環境省はじめ水産庁、IAEA、様々な大学や研究機関そして東京電力、なども福島県の海洋放射能汚染調査を行っています。多くのデータが蓄積されています。 「今さらグリーンピースがやる必要あるの? 計画を聞いてみると、もう他でもやってるような内容でしょ?」的な声もチラホラ。
なぜ今、グリーンピースが海洋調査?
答えはズバリ、「グリーンピースは国際的に認知された、独立した調査機関だから」です。 て、何もそれを誇張したり自慢したりしたいわけではないのです。 IAEAや環境省は言うにおよばず、多くの調査は国や自治体などからの資金的な援助を得て実施されています。実際そういった援助がないとなかなかまかなえるようなものでないです。海洋調査って。調査の信頼性!?
基本的にはどの調査も「放射能汚染の現状を把握、理解する」ためです。そしてどの調査であっても出てくる数値は数値。私たちグリーンピースは数字に何かしらの操作を加えるようなことはしてません。が、他の調査もそれは同じだと信じます。信じたいです。 でも、たとえば私たちが2012年10月に飯舘村や福島市内で調査を行った時には、モニタリングポストの数字が周辺の放射線量よりも低く表示されているケースなどを目撃してしまったのです。2012年、飯舘村での放射線調査の様子
「独自調査」の意味
私たちは、様々な団体や調査機関が発表している調査結果をそれぞれ「ひとつの結果」として信頼し尊重します。それでも、モニタリングポストの例のように不安や疑問を感じる多くの人がいるのも事実だと思っています。 海外メディアからの取材でも「日本で公表されている数値は正確か?」と問い合わせを受けることも少なくないのです。 だから、 「情報が足りないな」 「国や国際原子力機関のようなところから資金提供されていない調査はないのかな?」 「国際的に認知されたグリーンピースの調査なら信頼できるんじゃないか?」 と考えてくださるたくさんの方々に対して、独立した第三者機関として測定した結果をお伝えするために調査をするのです。調査のためにグリーンピースがチャーターした船、あさかぜ。
風評被害を乗り越える
福島県漁連では、試験操業でとった魚の放射線量を公表することで、放射能汚染に向き合い、より安全なお魚を届ける取り組みをされています。 今回の調査に当たって私たちは福島県漁連さんをはじめ、いわきや相馬双葉地区の漁業関係者の方、いわきの海の魚の放射線調査を続けている市民団体の方などにお話を伺う機会をたくさんいただきました。ほぼ全員の口から発せられたのは、「風評被害を克服するためには、たくさんの情報が、偏りなく消費者に公表されることだ」という言葉です。 福島県漁連さんを訪問した時に言われたのは、 「低い数値が出ても、高い数値が出ても、どちらも偏りなく公表してください。漁場は回復しています。全体的に放射能の数値もすごく低くなってる。一方、海底の場所によっては線量の高い部分があるのも知っている。それをちゃんと伝えて、とった魚の検査結果もきちんと伝えることが、消費者のみなさんに信頼していただくためにとても大切なのです」 ということでした。 そしてそれを実現するためにも、今回グリーンピースが彼らの漁場で放射線調査をすることを了承してくださいました。福島の漁師さんからの助け
当初お借りしたある岸壁がシケのため危険な状況であることを知ったある漁協の役職の方は、ご自身で何か所にも連絡をとって安全な港が使えるように取り計らってくださいました。そして、「頑張ってくださいね」とお声をかけてくださいました。 実はグリーンピース、漁業関係者の方々の中には少しネガティブな印象を持たれていることがあるのを知っています。 なので、なおさらこの福島の漁師さんたちが福島の海に私たちが入ることを許してくださったことに大きな感謝と尊敬を感じるのです。調査の鍵を握る、遠隔操作の機具、ROV。