国連特別報告者が日本の帰還政策に異議ーー 日本政府は「誤解に基づく」と批判したけれど..
(画像はUNTV より)
10月25日、有害廃棄物の国連特別報告者が日本政府に福島帰還政策の見直しを求める声明を発表しました。これに対し日本政府は「誤解に基づいている」と批判しましたが、ほんとうにそうでしょうか?
国連特別報告者の声明の概要は以下の通り。
日本政府に女性や子どもの避難者の放射線の高い地域への帰還政策をやめるよう求める。
ニューヨークの国連総会に、報告書を提示した。専門家は日本政府の被ばく限度を20倍に引き上げたことを憂慮する。とくに子どもの福祉と健康に深刻な影響を与える可能性がある。
2017年のUPR(人権状況審査)勧告を無視していることは遺憾。
日本政府は被ばく限度を年間1ミリシーベルト*に戻すとのドイツのUPR勧告のフォローアップに同意しながら実行していない。
日本には子どもの被ばくを最小限に抑える義務がある。
日本が批准している子どもの権利条約では「到達可能な最高水準の健康を享受すること」についての権利を守ることとある。
年間20ミリシーベルトという被ばく限度および避難の解除が子どもの最善の利益を考慮すべきという原則に違反していないと言えるのかを説明すべき。
日本への公式訪問を要請しているにも関わらず、まだに受け入れていないことについて憂慮する。
最も汚染度の高い地域までも避難指示の解除の計画がある。
2017年には自力避難者への住宅提供が停止された。
政府の避難指示解除と住宅支援の停止の組み合わせは、多くの自力避難者に帰還の圧力となった。
今世紀最悪の原子力災害により影響を受け続けている人々に追い打ちをかける行為だ。
安全でないところに帰還せよという圧力を多くの人が感じている。
*年間1ミリシーベルト: 自然界に元々存在する放射線(毎時0.03マイクロシーベルト)と大地からの放射線(毎時 0.04 マイクロシーベルト)に追加しての被ばく量
国連特別報告者の問いかけが意味するもの
グリーンピースは、福島原発事故が及ぼした環境への影響調査をおこなって、その結果を国連人権機関などに報告してきました。また、今年3月には、国連人権理事会の場で福島原発事故被害者に体験を語ってもらいました。
今回の国連特別報告者の声明を「誤解」に基づいたものだと日本政府は批判していますが、原発事故の被害者が、7年以上の歳月を経てもなお置かれている実際の状況に基づいた声明だと考えます。
日本政府は、福島第1原子力発電所周辺の放射線量を年1ミリシーベルトまで下げる政府の方針について「長期目標」だとしています。
周辺とはどこまでか、「長期」とは具体的に何年なのか、あいまいなままでいいのでしょうか。
特別報告者は、事故7年はすでに「長期」であり、人が住んでいる場所については、目標を達成すべき時期がきているのではないか、と問いかけているのではないでしょうか。
政府を動かすには、ひとりひとりの力が必要です。
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バスクト・トンジャック氏の声明はこちら
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