©︎ Taishi Takahashi / Greenpeace

今年も夏がやってきました。7月25日、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、「今、人類が、極端な高温のまん延に苦しんでいる」と警鐘を鳴らしたとおり、熱波の影響が深刻です。日本でも、関東や東海で、40度を上回る猛烈な暑さが観測されました。一刻の猶予もない今、あらゆる気候変動対策が必要とされています。2024年7月は日本の環境ニュースをお伝えします。

暑すぎる教室を体験して!

梅雨明け早々、全国各地で続く厳しい暑さ。グリーンピースはひどい暑さにさらされる子どもたちの学習環境改善のために、東京お台場で体験型のイベントを開催しました。

学校校舎の断熱改修の必要性を周知するために、2024年7月13日に東京・お台場のシンボルプロムナード公園セントラル広場で、イベント「学校断熱展示会〜暑すぎる教室体験してください〜」を開催。©︎ Taishi Takahashi / Greenpeace

7月13日に開催されたイベントでは、子どもたちが、外気温とほぼ変わらない環境で勉強をしていることを伝えるために屋外に教室を再現。通行人に体験してもらったり、スタッフやボランティアらが、教室が暑い理由や断熱改修の大切さについてをわかりやすく伝えました。

会場では、スマホでのサーモグラフィー写真の撮影ができる取り組みの他、問題を分かりやすく解説したパンフレットが配布されました。学校の断熱について、体感しながら知ってもらう工夫を凝らしたイベントに多くの共感の声が集まりました。

東京都民79%が「気候変動対策進めるべき」

グリーンピースは、気候変動に関する意識調査アンケートを実施し、気候変動への市民の高い関心が示された結果を発表しました。

まず、東京都在住の1000人を対象に行われた調査では、気候変動の影響について「心配」と感じている人が83.5%、今よりさらに気候変動対策を進めてほしいと思っている人は79.4%と、気候変動への対策に高い関心が集まっていることが明らかになりました*

「気候変動、温暖化による影響や被害をできる限り低く抑えるために、今よりさらに気候変動対策を進めてほしいと思いますか」東京都⺠の気候変動に関する意識調査より

また、神奈川県在住の1000人を対象に行った意識調査では、89.1%の人が気候変動対策のため県内で使用するエネルギーを再生可能エネルギーで賄う取り組みを推進すべきと回答。大多数が再エネ自給に賛成の意思を持っていることがわかりました*。グリーンピースはこの結果を神奈川県に提出し、さらなる再エネの取り組みを求めました。

「神奈川県内で使⽤するエネルギーを、できる限り県内の再⽣可能エネルギーの発電で賄 うことについてどう思いますか」神奈川県⺠の気候変動に関する意識調査より

そのほか、夏に厳しい暑さを記録する地域の多い埼玉県の調査では、約90%の人が「気候変動の影響が心配」と回答*。89.7%の人が、「猛暑や熱中症患者数の増加」に気候変動の影響を感じると答えました。

さらに、滋賀県での調査では、気候変動の影響について心配と感じている人は84.8%、「気候変動に関する政策の優先順位を上げてほしい」と考える人は51.1%にのぼりました*。発表に際して、滋賀県庁で記者会見を行い、結果は滋賀民報など地元メディアでも取り上げられました。

「東京都民の気候変動に関する意識調査」全調査結果はこちら
「神奈川県民の気候変動に関する意識調査」全調査結果はこちら
「滋賀県民の気候変動に関する意識調査」全調査結果はこちら
「埼玉県民の気候変動に関する意識調査」全調査結果はこちら

トヨタ、日産など大手7社、米排出ガス新規制値の達成困難

アメリカでは、2027年から、自動車の温室効果ガス排出規制*が強化されます。グリーンピースは、大手自動車メーカーの現行の自動車販売計画と排出ガス量を、新しい排出ガス規制値と照らし合わせて分析し、その結果を発表しました。

アメリカ市場で販売台数上位にあたる7社、トヨタ、ホンダ、日産、フォード、GM、ステランティス、ヒョンデ・起亜の販売計画と排出量分析の結果、日本のメーカー3社(トヨタ、日産、ホンダ)を含む、大手7社は、いずれも現行計画では新しい排出規制値を達成することが難しいことがわかりました。

特に、トヨタについては規制値の超過率が、分析した会社の中で最も高くなるという予測結果になりました。

ハイブリッドであっても、ガソリンを使って温室効果ガスを排出するエンジン車では、米国新排出基準に適合することは困難です。米国政府だけではなく、現在、各国政府は規制値を厳しくし、化石燃料からの脱却を促す政策を打ち出しています。燃費技術の向上に頼るだけではなく、化石燃料車からの脱却が求められています*

フジロックフェスティバルに参加

2024年7月26日〜28日に開催された「FUJI ROCK FESTIVAL ’24」に、NGO合同ブースとして、グリーンピースと、​​グリーンピースが事務局をつとめる「ゼロエミッションを実現する会」が出展しました*

2024年で27回目の開催となるフジロックは毎年10万人以上が来場する国内最大級の野外音楽イベントです。今年は、2000年から開村した「NGOヴィレッジ」に、グリーンピースはじめ、気候危機の問題に取り組むNGOが合同でブースを出し、気候危機に関する展示や、トークイベントを行いました。

フジロックは「世界一クリーンなフェス」を目指していて、会場内で出たごみを「資源」と考えて、リサイクル、再利用する「イベント内資源循環サイクル」に取り組んでいます。年々厳しくなる暑さが直接影響する野外イベント。多くの来場者が、気候変動について知り、アクションのきっかけを持ち帰る機会となりました。

高校生が気候変動をテーマに新聞づくり

気候変動への理解促進を目的に、高校新聞部の生徒を対象とした新聞づくりのオリエンテーションを開催。グリーンピースのスタッフのほか、琵琶湖の水環境の研究者や現役の新聞記者が講師を務め、新聞制作の技術を学べる場が設けられました。

オリエンテーションが開催されたのは、全国でも高校新聞部の活動が盛んな滋賀県です。7月20日に、県内3校の新聞部に所属する13名の生徒を対象に「気候変動と国際交渉」、「琵琶湖と気候変動」、「記事の書き方と報道写真の撮り方」というテーマで、6時間に渡っての実践的なワークショップが行われました*

8月にグリーンピースが大津市で開催する気候変動をテーマにしたアート展「HELP展」の滋賀巡回展では、今回のオリエンテーションの様子や生徒たちの学びが反映されたメモなどが展示される予定です。

年々暑さ増す夏、酷暑は災害級に

熱波に、地球全体から大きなうめき声が聞こえるようです。

7月26日に開幕を迎えたパリ五輪でも、厳しい暑さが懸念されています。記憶に新しい東京五輪は、当時「史上最も暑いオリンピック」といわれましたが、猛暑の深刻化が騒がれるパリの暑さにも選手が苦しめられています。

2024年にすでに耐え難い暑さをもたらす夏が、この先の未来に、子どもたちの健やかな時を奪ってしまうことがないようにするために、私たち一人ひとりの早急な行動が求められています。

特に学習環境を暑さから守るための対策は喫緊です。子どもたちが集中して勉強ができる環境を整えることはもちろん、命と健康を守るためにも学校の断熱改修が急がれます。

グリーンピースは、温暖化を食い止めるはための提言、アクション、そして気候変動から命を守るための対策の普及のための行動を全力で進めています。グリーンピースの活動を寄付というかたちでぜひ応援してください