2024年のアースオーバーシュートデイ
Global Footprint Network 2024, www.overshootday.org.

8月1日は、人間の活動が地球の1年分の恩恵を使い果たしてしまった日、アースオーバーシュートデーでした。実は、日本のアースオーバーシュートデーはさらに早く、5月16日に過ぎています*。一方、ここ日本で、そして世界中で、地球の恵みに報いようとするアクションも数多く展開されています。8月の活動の成果を振り返ります。

日本:気候変動感じるアート展、滋賀で盛況

滋賀県大津市で「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない〜」が開催されましたHELP展は、グリーンピースとクリエイティブユニットHAKUAによって、気候変動の影響を身近に体感してもらえるよう工夫を凝らして企画されたアート展です。

2023年11月には、東京、青山での開催が好評を博したHELP展。滋賀巡回展でも、展示内容のさらなるひろがりが多くの人の心を掴み、来場者230人を超える大盛況となりました。

滋賀県大津市の旧大津公会堂で8月10日、11日の2日間開催されたHELP展
滋賀県大津市の旧大津公会堂で8月10日、11日の2日間開催されたHELP展(2024年8月)

青山でのHELP展から続き、ぬいぐるみ作家の片岡メリヤスさん、八劔神社宮司の宮坂清さん、料理研究家の土井善晴さんをはじめとする多様な作家、文化人の方々の協力を得た体感型の展示。そして、滋賀巡回展オリジナル企画として、高校生新聞部とのコラボレーションや、「琵琶湖と気候変動」をテーマにしたトークイベントが行われました*

東京と滋賀の展示への反響を受け、10月には青森での開催が決定しています(2024年10月4〜6日予定)。詳細情報は9月中旬に公開予定です。

アメリカ:プラ条約での規制支持へ

アメリカが、2025年の制定が予定される国際プラスチック条約の内容において、プラスチックの年間生産量への規制を支持する予定であると報道されました*

プラスチックは、気候変動、生物多様性の喪失、そして汚染という地球環境の三重の危機すべてを悪化させています。それを食い止めるため、現在、法的拘束力を持つ国際ルール「国際プラスチック条約(以下、プラ条約)」の内容を決める話し合いが進んでいます。

ワシントンDCの国会議事堂前に投影されたバイデン大統領に宛てたメッセージ
ワシントンDCの国会議事堂前に投影されたバイデン大統領に宛てたメッセージ。「力強い国際プラ条約を今!」(2023年5月)

真に効果的なプラ条約にはプラスチックの生産量を減らす規制が不可欠。世界で最も1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が多いアメリカが、上流規制に賛成を示すことは、力強いプラ条約の追い風となるはずです。

今年11月には韓国、釜山でプラ条約の最終交渉​​(INC5)が開催されます。INC5に向けて、グリーンピース・ジャパンは、イクレイ(ICLEI)と共同で、10月2日に2回目のシンポジウムを開催する予定です(第1回シンポジウムのレポートはこちらより野心的な条約実現のために重要な共有と対話の機会です。

中国 :石炭火力発電の認可が8割減少

中国で、2024年1月〜6月までの期間に新しく認可した石炭火力発電所の件数が急減していたことをグリーンピースが調査、発表しました。

中国、陝西省楡林市に位置する石炭産業
中国、陝西省楡林市に位置する石炭産業(2016年1月)

同国では、2022年に90.7ギガワット、2023年には106.4ギガワットの石炭火力がすでに承認されており、気候専門家たちはこのペースに警鐘を鳴らしていました。

しかし、2024年の上半期に認可された石炭火力は14カ所、容量は10.3ギガワットと、前年の同時期と比べ79.3%少なくなっています*。そして、中国では初めて、再エネの発電容量が石炭火力の発電容量を上回りました。

石炭火力の認可件数の大幅減少は喜ばしいことです。しかし、現段階では減少の理由が再エネ移行のためなのか、それとも既に十分な数の石炭火力が認可されたためなのかはわかっていません。引き続き、石炭火力発電所の新規建設をめぐる動向に注視が必要です*

グローバル:100万人が海の保護区を求める

長年にわたる活動の末、2023年に海に保護区を設ける道筋を示す「海洋保護条約」が国連で合意されました。世界中で500万人以上の人々が署名に参加し、後押しした結果です。

そして今、さらに100万人を超える仲間たちが、海洋保護区の迅速な設置を求めて声をあげています。

インドネシア、パプア州ラジャ・アンパットの海中を泳ぐ魚群
インドネシア、パプア州ラジャ・アンパットの海中を泳ぐ魚群(2020年1月)

グリーンピースは、遅くとも2030年までに、北極海を含む世界の海の30%を保護区にするよう世界各国への働きかけを行ってきました。2023年9月には、条約の下でどのように海洋保護区を設置すればよいか、政治的な手順と概要を示した報告書を発表しています。

海は今も温暖化や乱獲、汚染の危機に晒されています。世界のリーダーたちには迅速に条約に批准し、海洋保護区設置のために尽力してもらわなければなりません。

仲間が集まれば変えられる

社会のルールや決まりを変えるためには、長い手続きと対話が必要です。目の前の生活に一生懸命な私たちにできることはあるのでしょうか。無力さに打ちひしがれてしまいそうにもなります。

ギリシャのレスボス島で、手をつなぎ、安全な移動と難民の権利を求める人々
ギリシャのレスボス島で、人々が手をつなぎ、安全な移動と難民の権利を求めた(2016年2月)

それでも、世界のリーダーの決定を後押ししたり、間違った選択にストップをかけたり、抑止力となったりすることができるのは、私たち一人ひとりの声です。

新しい石炭火力発電所の建設が当たり前とは捉えられなくなったのも、プラ条約が生まれようとしているのも、海を守る条約が世界で合意されたのも、市民の声が集まりムーブメントになった背景があったからでした。

すでにたくさんの仲間がいます。仲間の活動をサポートする寄付は、最も力強いアクションの一つ。できることから、今日、始めましょう。