私は、ダイバーとして約40年国内外様々な海で潜ってきました。
最初の20年間は、どこに行っても生物多様性に富んだ素晴らしい海を見る事が出来ましたが、後半の20年間は、気候変動・地球温暖化の影響を受け、地球規模で劇的な変容をみせて来ました。
現在、地球上には元気な海よりも確実に死に向かっている海のほうが多いという現状があるのです。

海からのサインは、私達に地球環境全体が「ただならぬ状況」になりつつあるということを教えてくれています。

世界中のサンゴがまっ白に変色し、やがては死に至る姿を、私は胸が締め付けられる思いで目撃してきました。このままのペースで水温が上がり続け、環境破壊が進めば、そう遠くない将来に、あの美しい造礁サンゴの姿を見る事が出来なくなるでしょう。

水中世界だけでなく、太平洋の真ん中あたりの海はどうなっているのか?という疑問から5年前より自分で操船するヨットでの探査航海を始めました。

毎年、数か月の航海で訪れる島々の人は皆風が変わったと言います。有史以前から船と人を運び交易のための恵みの風「貿易風」の風向が変わったというのです。更に気温は高くなり、椰子の木は枯れ、海面上昇により島や国が沈むという危機的な状況にあるのです。

先進国と言われる私達が大量に出し続けているCO2により、ほとんどCO2を排出していない彼らほど深刻な被害を受けているという不公正で不正義なことが起こっていることを私たちは知っている必要があります。

しかし、どれだけの人達が事実を知り、この危機に対して耳をかたむけているでしょう?
私は、科学者でも研究者でもありませんが「目撃者」としての責務であると信じ、気候危機に立ち向かい、それを打破するために何をすべきか?ということを発信してきました。

しかし、気候危機の事態はもはや急を要する状況を迎えているという現実。

個人の努力では追い付かないほどのCO2排出量は、コントロールできないところまで来てしまっています。
これは、厳しい現実であり、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)をはじめ、世界中の科学者達の共通した認識であり「待ったなし」の状況が続いているという認識を持つべきです。

そして、先ず自分達の生活様式や経済システムなどが気候変動に深くかかわっているという事実を知り、巨大台風や集中豪雨などの被害は「天災」などではなく私たち自身が引き起こしている「人災」であるという視座を保つことが必要なのです。

同時に、個人の生活様式の見直しはもちろんのこと、孤立していても大きな変化にはなりにくい。連帯する事や、組織・グループとしての行動で声を上げ続けなければ変化にはなりにくいという認識が必要です。
そして、その行動の礎は、「科学と共にあれ!」ということ、常に科学者の知見に基づいた主張や行動であるべきなのです。

私は、これまで目撃してきたことが、グリーンピースの活動や発信する情報等に、深い整合性があるということに気が付いていました。

そして今、改めて共感し、連帯する理由が明確になっているのです。
それは、
・何より「現場の目撃者となる」ということを重要な活動指針としている事
・活動の全てが科学的調査に基づいているという事実
・国際専門家チームによって構成されている、いわばプロの集団であるという事実
・国連の「総合協議資格」を有したNGOであり、調査に基づいた数々の提言や活動が包括的な地球環境を守る行動として成果を上げ続けているという事実

そして、活動や主張を制限されるようなことになりかねない特定の企業からの献金や助成金を受け取らないという運営姿勢にぶれがないことです。

この度、私をアンバサダーとして迎えていただくということを大変名誉に思います。

また、65歳の私とグリーンピースが行動し続けることも大変意義のあることと思います。
何故なら、私の様な年代の少なくない人達の中には、グリーンピースのこれまでの輝かしい活動に興味を持つ事が出来ず、間違った情報や非科学的な思考に支配されている様子が見受けられるからです。
そのことをやみくもに批判することは良策ではありません。だからといって次世代へのツケを残したまま「逃げ切り世代」として何もせず残りの人生を送ってよいはずがありません。

命果てるまで「志」を持ち続け、グリーンピースの活動を支持し、サポーターを増やし、行動することに年齢は関係ありません。子や孫たちのために世代間を乗り越える連帯が今必要なのです。

その連帯が個人の力を乗り越え、気候危機に立ち向かい、パリ協定の目標値実現への道筋を作りパラダイムシフト(社会の大転換)を引き起こす原動力になり得ると信じています。

武本匡弘 プロダイバー・環境活動家
NPO法人 気候危機対策ネットワーク 代表

©︎Greenpeace

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