北極海で海氷を観測するグリーンピースの観測船(9月14日) © Daniella Zalcman / Greenpeace


国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は、グリーンピースの船「アークティック・サンライズ号」が北極海で観測した、今夏の海氷面積について、以下のコメントを発表しました。


米国立雪氷データセンターによると、2020年の北極海の海氷面積の最小値は、9月15日に374万平方キロメートルを記録しました。今年の海氷面積は過去2番目に少ない数値でした。北極海の海氷の量はすでに3分の2が失われており、過去数十年の間に海氷面積は一貫して減少を続けています。 

健全な海洋は大気中の炭素を安全に貯蔵し、気候危機の影響を軽減するのに役立っています(注1)。 海洋保護区として海洋の少なくとも30%を保護することで、海洋生態系は急激な気候変動に耐えられる回復力を持ちます。科学者たちは、気候の安定にとって北極は極めて重要であることから、海洋保護区の世界的なネットワークの一部として、保護が必要な優先地域の一つとして北極を挙げています(注2)

グリーンピースの船「アークティック・サンライズ号」は科学者らを乗せ、海氷の最小値の記録と、この地域の海洋生物の調査のため北極圏を訪れています。今回の調査は、ニューヨークで9月30日に開催される国連生物多様性サミットの時期と重なります。サミットの生物多様性を守るためのあらゆる議論において、海洋保護が中心に据えられるべきです。


アークティック・サンライズ号に乗船したグリーンピース・ノルディックの海洋問題担当、ラウラ・メラー

「海氷の急速な消滅は、地球環境がどれほど危機にさらされているかを示す、背筋の凍るような指標です。北極の氷が溶けると、海はより多くの熱を吸収するようになります。私たち全員が気候破壊の壊滅的な影響にさらされるようになるでしょう。


北極圏の氷冠は、緊急に保護が必要な凍った海です。国連生物多様性サミットで、各国の指導者らは、気候危機の取り組みの中での海の役割を理解する必要があります。すでに一部の人々は海洋環境の破壊と気候変動の影響を受けています。こうした人々を『取り残さない』ために、健全な海は極めて重要です。2030年までに海洋の少なくとも30%を保護し、気候変動に対処するために、そしてこの地球を救うために、今すぐ行動を起こす必要があります」(注3)

参考情報(ブログ)
氷がない?北極の氷が溶けています
なぜグリーンピースは北極で活動しているのか