第20回目調査
福島県内の5つの港で採取した海産物の放射能調査

 
 
 
 

調査結果まとめ

25サンプル中、富岡港の4サンプル、四倉港の1サンプル、小名浜港の3サンプルの計8サンプルより放射性セシウムを検出しました。

最も高い汚染レベルが検出されたサンプルは、福島第一原子力発電所から南へおよそ10kmの富岡港で採取した貝類のバテイラ(シッタカ)です。
検出された値は、キログラムあたり60.9±1.8ベクレルのセシウム137と、同30.5±1.0ベクレルのセシウム134です。

福島県農林水産部が行っている 「緊急時環境放射線モニタリング」 と同日、同海域で採取した同じ種のサンプルも調査し、これらのサンプルは検出限界値未満(不検出)でした。

固着性の海草類、移動動力の低い貝類、そして移動能力の高い魚類のいずれからも放射性物質が検出されました。
 

調査の背景

 

福島第一原発事故で放射能汚染水が海洋に放出されて2年以上が経過しました。
今もなお、様々な海の生物から放射能が検出されており、汚染された魚介類は広く流通されています。

また、福島県の漁業は休業(一部試験操業を除く)を強いられており、現地の漁業に携わる方たちにとっても、先行きの見えない厳しい状況が続いています。

そこで、5月に行った第19回目調査に引き続き、地域の方々と共に福島県の5つの港でサンプリング調査を行いました。
 

調査内容

 

期間:2013年6月15~17日

対象:11種の魚介類、4種の海藻、4種の貝類、合計25サンプル

調査場所:福島県の5つの漁港 富岡港、久之浜港、四倉港、富神崎港、小名浜港

検査方法:第三者機関(株式会社エコプロ・リサーチ )で、ゲルマニウム半導体検出器を用いてヨウ素131、セシウム134、セシウム137について検査

検査報告書PDF >>
 

調査結果詳細

 

漁港名・
福島第一原発からの概ねの方角と距離
採取場所 魚・海藻名 セシウム
134
セシウム
137
富岡港
南 10km
港湾内 アカモク 2.7未満 10.1±1.4
ナガアオサ 17.0±0.9 35.0±1.8
バテイラ
(シッタカ)
30.5±1.0 60.9±1.8
フクロフノリ 26.8±1.4 54.4±2.9
マコンブ 2.2未満 2.5未満
久之浜港
南 30km
沖合およそ30Km
水深およそ135m
アオメエソ
(メヒカリ)
1.5未満 1.5未満
スルメイカ 1.6未満 1.5未満
ババガレイ
(ナメタガレイ)
1.3未満 1.6未満
ミギガレイ
(ニクモチガレイ)
3.7未満 4.0未満
ヤナギムシガレイ
(ヤナギガレイ)
1.4未満 1.4未満
ユメカサゴ 1.7未満 1.7未満
沖合およそ150Km
水深およそ150m
ギス(ダボ) 1.5未満 1.1未満
ババガレイ
(ナメタガレイ)
1.5未満 1.5未満
ミギガレイ
(ニクモチガレイ)
1.5未満 1.3未満
ユメカサゴ 4.5未満 4.0未満
港湾内 イボニシ
(カラシナンコ)
4.3未満 4.6未満
四倉港
南 35km
港湾内 アカモク 6.2±1.0 10.8±1.5
マコンブ 3.9未満 2.6未満
富神崎港
南 45km
港湾内 アカモク 2.1未満 2.5未満
イワガキ 3.7未満 4.1未満
ムラサキイガイ 4.5未満 4.1未満
小名浜港
南 55km
沖合3~5km
水深15~30m
アイナメ 12.9±0.8 26.3±1.6
マゾイ
(キツネメバル・
タヌキメバル)
8.6±0.8 16.7±1.4
マダイ 3.9未満 4.3未満
沖合およそ5km
水深およそ2m
スズキ 16.6±0.9 32.3±1.9

単位:ベクレル/キログラム
(数値)未満は検出限界値未満であったことを意味します。

調査結果(PDF)ダウンロード >>
 
地元の方々の声
前回に引き続き、今回の調査でも地元の方々にお会いし、サンプルを提供して頂いたり、お話を伺ったりしています。
「第20回 海洋調査 - 地元の方の声を聞いて -」 >>
 
グリーンピースの取り組みと提案

 

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