こんにちは。グリーンピース・ジャパンの丸山です。

9月に50周年を迎えたグリーンピースは、記念オンラインイベント「暮らしと社会とビジネスを変える:環境アクション/アクティビズム」を開催しました。

グリーンピース・ジャパンのアンバサダーのおふたりと、社会や環境アクション、グリーンピースの「これから」について語り、約250名の方々にご参加いただきました。

平和運動と気候危機は若者の未来を奪う問題。切り離して考えてはいけない。

まずは、環境活動家でプロダイバーの武本匡弘さんから、グリーンピースのスタッフも詳しく知らなかった自分たちの歴史の話について。

1954年、ビキニ環礁で広島原爆の1000倍もの威力の爆弾を使った核実験がアメリカ政府により行われました。

近くのマーシャル諸島ロンゲラップ島では、人体や自然への被害が甚大だったにも関わらず、アメリカ政府はたった3年で安全宣言を出し、島民は強制的に帰島させられました。
そこから一切の治療をされず検査と観察を繰り返され、27年間島を出ることを許されなかった島民たち。これは人体実験だったと言われてます。(のちに公文書でも明らかになっている)

そして1985年、グリーンピースの活動家たちが虹の戦士号に乗って、島民全員を救出しました。そこから36年たった今でも、島民の方たちは帰島できないままなのです。

僕自身もこんな恐ろしい実験が公然と行われていたことへの驚きと怒りが沸き、今まで知らなかった自分が恥ずかしくなりました。

同時に、この勇気を持った活動家たちのようになりたいとも思いました。

武本さんはこの核実験の被害者支援や教科書の作成、普及も行っていて、この悲惨な歴史的事実とともにグリーンピースの活動への共感、そして力強い言葉をいただきました。

大国のエゴに振り回されてきた太平洋の国々は戦争によって支配され、戦後は核実験の被害を受け、今度は気候変動による被害を受けている。平和運動と気候危機は若者の未来を奪う意味で一緒。切り離して考えてはいけない。

選挙だけじゃない、普段の買い物で投票、投資する。

学生時代、映像ジャーナリストを目指して社会や環境問題の現状を勉強していたとき、絶望の連続でもう諦めようとも思った。

グリーンピースとの出会いをそう語った執筆家の四角大輔さんからは、ニュージーランドでの半自給自足生活をもとに、暮らしの中でのアクションについてお話いただきました。

世界の海の1/3以上を海洋保護区にというワクワクするキャンペーンに賛同いただいた四角さんは、海、そして地球への畏敬の念を語ります。

海は母なるすべての命の源であるとともに、大切にするべき「か弱い存在」。僕たちもみんな、それぞれお母さんから生まれているという共通点がある。忘れがちだけど。

半自足自給の生活を送るのは、人生をかけての実験であり、商品やお金に依存を強いられる資本主義から距離を置き、地球人(僕)として心地いい生活を送るためだと言います。

四角さんみたいな特別な人だからできる生活だよなぁ。そう頭をよぎったとき、四角さんに見抜かれました。

僕みたいな極端な暮らしをしなくても、ファーマーズマーケットや生産者さんのECサイトから直接ものを買うだけで社会は変えられる。選挙に行って政治を変えるのは当然だけど、買い物も投票であり、環境や健康への投資。特に食べ物は1日に2、3回の投票と投資のチャンスがあるから、その分インパクトが大きい。お金の使い方を本気で考え、システム自体を変えるために行動してほしい。

それぞれの熱い思いを繋ぎ、点を面にしていく。

グリーンピース・ジャパン事務局長のサム・アネスリーは、グリーンピースで働くこと、そしてこれからのグリーンピースについて話しました。

北アイルランドの30年ほど紛争が続いていた地域で生まれ育ち、テロの被害が身近にあったと言います。

武本さんの冒頭のお話にもあったように、今の生活を、未来を奪われるような経験だったと想像します。全ての生命を守る。

こんな尊い使命はないんじゃないか。50年前に、核実験を止めるために船に乗り、グリーンピースの礎を作った若者も同じ気持ちだったのではと思いながら働いていると語りました。

そして、50周年を迎えたこのタイミングで、「行動するNGO」としてこれからの未来を100年単位で考えるNEXT100PROJECTの始動も発表しました。

約15年前にボランティアとしてグリーンピースに携わり、今はグリーンピース・ジャパンのプログラム部長を務める高田久代は、グリーンピースを使っていただきたいと参加したみなさんにメッセージを送りました。

多様な背景を持った専門家を擁し、世界各地で最前線で活動しているのがグリーンピース。とっつきにくいトピックもわかりやすく、政府や自治体、企業、個人の熱い思いを繋げ、点を面にしていく働きかけがグリーンピースの役割だと具体例も交えて話しました。

例)企業と個人の思いをつなげるスターバックスキャンペーン
自治体と個人の思いをつなげるゼロエミグループ



他にも「社員アクティビズム」や「人新世の資本論」、「衆院選」をテーマに対談が進みました。

そして、最後にアンバサダーのおふたりからメッセージをいただきました。

常に現状を目撃している武本さんから、
「出かけていって、自分の目で見ること。辺野古にいくと辺野古が見えるんじゃなく、日本が見える。石垣島にいくと石垣島が見えるんじゃなく、日本が見える」「勉強したらアクションする。エコストアパパラギで一緒に勉強しましょう」
音楽プロデューサーだった四角さんから、
「人はだれもがアーティストであり、活動家。一度だけの人生だから、それぞれのジャンルで好きなことを極めることが大事。だけど、今やそれだけだと地球がダメになっちゃう。だから、自分はアーティストであり活動家なんだと自覚して、だれもが必ず持っている得意なことを社会に提供して、みんなで古いシステムを変えよう」「グリーンピースもグレタもみなさんも、同じ力を持つインフルエンサー。自分にできることを軽く見ないで欲しい。だれかに話すだけで立派なアクションになる。僕も『虹の戦士見習い』として諦めずにがんばります」

僕も「虹の戦士見習い」として諦めずに活動を続けていきたいし、個人でできないことをみなさんと一緒になって成し遂げたいと、イベントを通して思いました。