今年もMAKESMTHNG(メイクサムシング)の季節がやってきました。

MAKESMTHNGは、一人ひとりのクリエイティビティを活かし、消費による気候変動への影響に対し、ポジティブで楽しい解決策を世界中で実践するムーブメント。

捨てる前に直したり、誰かと交換したり、新品を購入する前に、自分で作ったり、セカンドハンドでお気に入りを見つけたり。

今年は、ファッションをテーマに、「もったいない」と思った気持ちを、環境負荷を減らすアイディアに変えるスキルやアイディアを共有しました。

この秋冬に行ったMAKESMTHNGのさまざま活動を紹介します。

大学生たちの、大学生のためのエコバッグワークショップ

11月28日に、明治学院大学の1dayボランティアプログラムの一環で、有志で集まったリーダー学生4名とイベント「Remake your clothes! 思い出の洋服をエコバッグへ」を企画しました。

Tシャツから作ったエコバッグと

前半はファッションと環境問題のつながりをグリーンピース・ジャパンからお話し、後半は着なくなったティーシャツからエコバッグを作るワークショップを行いました。

リーダー学生の皆さんからメッセージ

藤井るなさん
「今回、一からボランティアを企画することで、何かを人に伝えるには準備が欠かせないということを学びました。伝えたいこと、感じて欲しいことから逆算し、そのために私たちができることを手探りで考えることで、少しは参加者の方に伝わったかなと思います。これからも、自分で出来ることをしていこうと思います。」

米山綾乃さん
「今回の企画で、学ぶことと実践することとを結びつけることの大切さを改めて実感しました。ただ学んで終わりではなく、その先のステップにどう繋げるかを一緒に考えることで、”自分に何ができるのか”を知ることができると思います。これからも、そのような場の提供ができるように頑張って行きたいです。」

平井優菜さん
「今回の企画を通して、どうすれば上手く周りを巻き込みながらファッションと環境の問題に対して取り組めるのか、ということをとても考えました。自分の反省点も見つかったので、この経験を糧に、今後もボランティアの企画などに携わっていきたいです!」

井口恵さん
「私は今回の企画を通して、自分の思いを形にすることが未来の日本社会を変えていくのだと改めて感じました。世の中に起きている問題の中で、自分の日常生活の中でどのように落とし込み問題解決へ貢献できるか引き続き考えたいと思います。」

本当のサステナブル、これからのファッションを問う

グリーンピースは、12月5日(土)に、ドキュメンタリー映画『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション 真の代償~』の上映会に登壇し、エシカルファッションデザイナーの小森優美さんと一緒に、これからのファッションについてお話ししました。この映画は、2013年に起きたバングラデシュの縫製工場「ラナ・プラザ」の崩壊事故をきっかけに制作されたものです。

(『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション 真の代償~』のグラフィックレコーディング。ぜひ拡大して見てください!)
トークセッションの内容

ファッションについてできること(参加者の声)

  • ファッションに限らずですが、消費するという事の裏側を意識することや、社会の消費促進に惑わされず、自分にとっての幸せや本当に自分が好きな物を知るという意識を常に持ち続けたいと思います。
  • ファッションはその人の文化的背景やアイデンティティを表すことができる。だからこそお洒落を諦めるのではなく、服の原材料や労働者・雇い主、どんな環境で作られているのか、想像力を働かせ(できれば目の当たりにして)学習し続けることが大切だと思う。企業がエシカルなファッション提供するのではなく、私たち顧客や消費者が持続可能なファッションを企業・社会に求めることで、血に染められた衣服を作り出すシステムに終止符を打つことができると思う。
  • わたしは1ヶ月前から10着トライアルというのを始めました。自分の服の中から10着だけを選んでその中で着回すというものです。これを始めてから服を選ぶ時間がへり自分の好きなスタイルや服が分かってきて、服を大切に長く使いたいという思いを持つようになりました。服がたくさんあるとその中から着たいものを選ぶ楽しみはありますが、その反面自分が本当にそれが欲しいのか、必要なのか自分と向き合う機会を失ってしまうように思います。(中略)わたしはSNSや本を通して、おとなはもちろんですが、子どもたちにも本当のことを伝えていきたいと思っています。こうした方がいいと、相手に押し付けることはできませんが、本当の事実を知った人たちの考えや行動が少しでも良い方向へと変わっていけばいいなと思います。

70名を超える参加者の皆さんと一緒に、衝撃的なファストファッションの裏側だけでなく、自分たちがどうしていけるのか、どうしていきたいのかを話し合うイベントとなりました!

「もったいないを、もっとゆたかに」

12月19日には、「続けていきたいモノやコトを物語として、五感で体験する場所」を提供するにっぽんてならい堂*1さんと、大事にとっておいた洋服を使った裂き織ワークショップを共催しました。

参加者それぞれの布で織った小物とともに(てならい堂提供)

裂き織について教えてくださったのは、「裂き織で障がい者の雇用の場をつくり、地域の伝統技術を未来につなぎたい」との思いから裂き織のビジネス化をはじめた、幸呼来Japan*2の石頭さん。「もったいないを、もっとゆたかに」をテーマに、アパレル業界から出る廃材を利用したオリジナル織物を展開しています。

物がないからこそ、あるものを大事にし、再利用するところから始まったのが、布を裂いて、織物として新しいものへ生まれ変わらせる裂き織。

段ボールの織り機をつかって、参加者のみなさんそれぞれの個性や感性が見える織物をつくりました! 小さい織物をパッチワークにして足マットにしたり、縦長に織って子どものマフラーにしたり、サイズやデザインの組み合わせも自由で、創造性にあふれるところが魅力的でした。


「捨てるのがもったいない」から「まだ使いたい!」へ

今年のMAKESMTHNG(メイクサムシング)では、「捨てるのがもったいない」という思いを、ポジティブで楽しい環境アクションに変えることをテーマに様々な情報発信や、実際に取り組んでいる人たちとのイベントを開催しました。

洋服や小物は、日々の暮らしを豊かにしてくれたり、わくわくさせてくれる大切なアイテムですよね。近年は、「エシカル(倫理的)」や「サステナブル(持続可能)」といったキーワードがファッション誌に登場するようにもなり、リサイクル素材を使用した洋服も注目されています。

でも、ちょっと待ってください。

エシカルな洋服、サステナブルな洋服ってどういう洋服を指すのでしょうか?

大量に生産されて、世界中で手ごろな価格で買える洋服もエシカル?

生産する時に地球環境を汚染していても、リサイクル素材を使っていればサステナブル?

ZARAやユニクロ、H&Mなど80の世界的ブランドを変えたグリーンピースのデトックス・キャンペーンでは、

  1. より優れた品質や耐久性、汎用性を持つ洋服を作り、原材料の消費スピードをおさえること
  2. 製品設計の段階から、廃棄物ゼロを目指すこと
  3. 安易にリサイクルをする前に、有害化学物質などを使用しないクリーンな原材料で製造すること

の大切さを提言しています*3

なぜならば、リサイクルもまた環境に影響を及ぼす可能性があるからです。リサイクル時に使われる電力が化石燃料由来のままであれば、温室効果ガスが排出されますし、リサイクルの過程で使われる水の量や化学物質はどうでしょうか?

何よりも、繊維から繊維へのリサイクルがまだ主流ではない中で、衣類を「無限にリサイクル」できるという神話が広まれば、消費を増やす可能性さえあると指摘しています。

リサイクルを進める前に、温室効果ガスを排出し、河川や土壌を汚染し、大量の廃棄物や労働搾取が起きない生産システム、そして、消費を過剰に助長しない物づくりにシフトすることが、本当の意味でのエシカルでサステナブルなのではないでしょうか?

それでも買いたくなったときは・・・

洋服の寿命を1年から2年に伸ばせれば、温室効果ガスの排出を年間24%削減することができるんです!*4

何かを買いたくなったときには、このチャートを使って、本当必要か、心に問いかけてみしょう!

MAKESMTHNG2020のおさらい

ファッションと環境問題

これからのファッション


今年の年末年始は、MAKESMTHNGを通して、自分自身にとっての「サステナブル」「エシカル」とは何か、考えてみるきっかけになると嬉しいです。

インスタグラムから、たくさんのヒントを発信しています! みなさんの持っているアイディアは、「#もったいない」「#MAKESMTHNG」をつかって共有して下さいね。


*3: グリーンピース報告書『Destination Zero:ファッションをデトックス 有害化学物質ゼロを目指した7年間の歩み

*4:  グリーンピース報告書『ファストファッションを、もっとスローに

イベントに参加する

グリーンピース・ジャパンでは、環境問題に触れたり行動したりする機会を作り、様々なアイディアを持つ人々と繋がるために、各種イベントを企画しています。

参加する