手つかずの自然が残る海を泳ぐアシカの群れ(2018年3月)

2024年は幕開けから、能登半島地震が発生、支援物資を積んだ航空機の火災など辛いニュースが続きました。平和への願いが大きく膨らんだ1月、私たちを勇気づけるかのように、素晴らしいニュースが届いています。2024年1月の環境グッドニュースです。

▼この記事を読むとわかること

> アメリカ:バイデン政権がLNG輸出許可の停止を決定
> 日本:「MIWATARI/御渡り」国際映画祭に正式出品
> パラオ、チリ: 2カ国が海洋条約に初めて批准
> ノルウェー:気候訴訟に勝利!3カ所の油田開発が中止
> 自分らしくアクション! 虹色の選択肢

アメリカ:バイデン政権がLNG輸出許可の停止を決定

アメリカ、バイデン政権が1月26日に、液化天然ガス(LNG)輸出の許可を一時的に停止することを発表しました。ルイジアナ州メキシコ湾岸で建設予定が保留されていたLNG受け入れ基地についても、決定は一時停止となります。

ニューヨークで行われた脱化石燃料を求めるデモ行進
ニューヨークで行われた脱化石燃料を求めるデモ行進(2023年9月)

気候危機を回避するためには、迅速なエネルギーシステムの脱炭素化が必要不可欠です。燃焼によるCO2の排出がゼロではないLNGは長期的な解決策にはなり得ません。再生可能エネルギーの普及を加速させ、エネルギーの需要を減らし、利用効率化を図る取り組みこそが求められています。

米国の南部沿岸地帯をまたぐLNGプロジェクトは、すでに人々の健康を害し、環境を破壊し、家庭向けの物価を上昇させています。グリーンピースは一時的な許可停止を歓迎すると同時に、恒久的な計画の停止を求めて呼びかけています*

日本:「MIWATARI/御渡り」国際映画祭に正式出品

グリーンピース・ジャパンが昨年11月に開催した気候変動をアートで感じるアート展で制作、展示した映像作品が、タイ・バンコクで開催される映画祭「Changing Climate, Changing Lives Film Festival(以下、CCCL)」に正式出品されます。

「Changing Climate, Changing Lives Film Festival」に正式出品される「MIWATARI/御渡り」

「MIWATARI/御渡り」は、気候変動の影響で存続が危惧されている長野県の諏訪湖の自然現象と、それにまつわる文化の姿を描く12分の映像作品です。

CCCL映画祭は、短編映画を通じて気候変動の認知を広げることを目的としています。本作品は10倍もの選考倍率を突破し、ドキュメンタリー部門にノミネートされ、2月18日の授賞式での上映が決定しています。

パラオ、チリ: 2カ国が海洋条約に初めて批准

2023年の3月に制定が合意され、6月に採択に至った国際海洋保護条約。海を守るために動き出したこの条約に、パラオとチリが世界で初めて批准しました。

手つかずの自然が残る海を泳ぐアシカの群れ
手つかずの自然が残る海を泳ぐアシカの群れ(2018年3月)

1月22日、パラオが国連に批准書を寄託し、国連海洋条約を正式に批准した最初の国となりました*。続いてチリも1月23日に海洋条約への批准を上院で可決。パラオとチリが、2025年の国連海洋会議までにこの条約に批准しなければならない60カ国の先陣を切って海のための一歩を踏み出しました*

海は、気候と食糧安全保障、そして何十億もの人々の暮らしにとって非常に大切なものです。日本を含む世界中の政府がパラオとチリに続き、海を守るための取り組みを迅速に開始することが期待されます。

ノルウェー:気候訴訟に勝利!3カ所の油田開発が中止

気候訴訟に歴史的な判決がくだり、グリーンピースと若者を中心とした環境団体がノルウェー政府に勝訴し、北海の3つの油田とガス田の承認が無効となりました。

ノルウェーの新油田をめぐる訴訟、オスロ地方裁判所での審理初日のようす
ノルウェーの新油田をめぐる訴訟、オスロ地方裁判所での審理初日のようす(2023年11月)

グリーンピースは、2023年に協力する青少年団体とともにノルウェー政府を相手どった気候訴訟を起こし、2017年から2020年までに、3回の裁判を経て最高裁で敗訴していましたが、2023年11月に再度提訴に踏み切っていました。

北海にある3つの新しい油田及びガス田の承認は、ノルウェー憲法、欧州経済領域 (EEA) 法、ノルウェーの国際人権公約に違反しているとする訴えが認められ、オスロ地方裁判所は3つの油田とガス田すべての承認が無効であると認定し、油田の建設と生産に必要な新たな許可を国に与えることを禁じる差し止め命令を出しました*

自分らしくアクション! 虹色の選択肢

ますます多くの人々が、急速な気候の変化による影響を受けています。その中で、気候危機に立ち向かうための方法は実に多様です。

満帆で航行するレインボーウォーリアー号
満帆で航行するレインボーウォーリアー号(2021年10月)

平和的なムーブメントやアクションは見る人たちの心をも勇気づけます。アートもまた力強い社会貢献の方法の一つです。アートとアクションが融合した場合には、さらなる影響力を生み出すことができます。

また、近年では、特に気候変動の影響を強く受けている人々が、気候危機から自分たちの権利を守るために気候訴訟という方法をとることが増えています。世界中であらゆる多様なやり方で地球を守ろうと仲間たちが行動しています。

こうした行動を応援するための支援、寄付も効果的で大切な自然環境を守る方法の一つです。来月の「3分でわかる日本と世界の環境ニュース」もぜひご覧ください。

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