再エネ100%と公正な社会をテーマにしたイベント&パレード「ワタシのミライ」
再エネ100%と公正な社会をテーマにしたイベント&パレード「ワタシのミライ」が開催され、約8000人がグリーンな未来を求めて参加した。東京(2023年9月18日) ©︎Daiki Tateyama

2023年も終わりに近づいています。世界的な混乱が続く年となりましたが、地球にとっての力強い支援を続けてくださったみなさんとともに、グリーンピースの環境活動は前進を続けました。2024年も希望とともに力強いアクションを続けるために国内の明るいニュースを振り返りましょう。

▼この記事を読むとわかること

> 大好きなカフェから始まるリユースへのチェンジ
> 世界のリーダーに市民を代表して声を届ける
> 株主総会でのアクション、『自動車環境ガイド2023』の発表
> 学校教室の断熱、CO2削減目標の引き上げ、仲間とともにまちに変化を
> アートで身近に伝える気候危機
> 環境活動の足跡を伝えるオンラインイベント

大好きなカフェから始まるリユースへのチェンジ

これまでグリーンピースはスターバックスをはじめとする大手カフェチェーンに、使い捨てから繰り返し使えるリユースのカップへの切り替えを進めるよう呼びかけてきました。2023年にはどんな変化があったでしょうか。

2023年の2月、スターバックスが国内全店舗の8割に当たる1,500店で、店内用のグラスを導入することを発表しました。素晴らしい変化ですが、導入されたグラスが実際に使われるかどうかが重要でした。以前からほとんどのスターバックスの店舗でホットドリンク用のマグカップがすでに導入されていましたが、2022年のグリーンピースの調査では、店内で提供される飲み物の10個に9個が使い捨てカップで提供されていたことがわかっていたからです。

グリーンピースは9月にスターバックスとタリーズの全国150店舗で市民によるカフェ調査を実施しました。環境に優しいカフェを求める人々が全国150店舗に足を運び、各店舗内でリユース可能なカップがどれくらい使われているかを調べました。その結果、アイスグラスが導入されたスターバックスの店内のリユース率は41%と、前回の調査から前進が見られました。

一方、タリーズの店内リユース率は12%にとどまり、改善の必要性が明らかになっています。カフェチェーンの前進と課題が浮かび上がりました。

市民が150店舗で見てきた店内リユースの状況

今後の課題として、店内のリユース率向上とあわせて、テイクアウトでも返却式リユースカップの普及が必要です。11月、グリーンピースは、使い捨てと比べて、リユースカップの仕組みが実際にどれくらい環境に良いのか調査報告を発表しました。

主にテイクアウトで使われる使い捨てとリユースカップのシステムそれぞれの環境負荷を、資源採取や原料生産から、流通、消費、廃棄やリサイクルに至るまでのライフサイクルの全体において数値化。その結果、リユースカップの仕組みは、小規模でも使い捨てよりも優れていることがわかりました。

リユースカップシステムの環境パフォーマンス

また、今回の調査では、より多くの人がリユースカップを使えば使うほど、リユースカップの仕組みが大きく広がれば広がるほど、環境負荷が低くなることがわかっています。システムのイノベーションが生まれることで、さらなる環境優位性が期待できることも重要です。リユースの仕組みを、実際の事業者データを基に網羅的に環境影響評価したものとしては、少なくとも東アジアでは初めてとなる画期的な調査でした。

リユースシステムを広げるために、私たち市民がカフェチェーンにリユースを求める声を届けることが欠かせません。ぜひグリーンピースと一緒に大好きなカフェをもっと好きになるための変化を求めましょう。

世界のリーダーに市民の声を届ける

2023年には、日本で開催されたG7をはじめ、環境にとっての重要な国際会合が多く開催されました。市民の声を集め、世界のリーダーたちに届けることはグリーンピースの大切な活動の一つです。今、国際社会ではどんなことが話し合われていて、どんなことが決まっているのでしょうか。

5月19日から広島市でG7サミットが開催されました。議長国を務めた日本でしたが、残念ながら十分なリーダーシップを発揮することができたとはいえません。日本が化石燃料の廃止、そしてゼロエミッション車への移行にブレーキをかけるかたちとなってしまいました。

グリーンピースは、G7にオブザーバー参加するとともに、「気候も暮らしも救うエネルギー政策」をG7に求めて現地でアクションを行いました。また、約1500人の声を日本政府に提出しています。2024年のG7サミットはイタリアで開催される予定です。

グリーンピースのライトペインティングアクション
ペンライトを使ってG7各国のリーダーに平和で安全な未来を求め、メッセージ。(2023年5月)

現在、世界的なプラスチック汚染の現状のみならず、気候危機の未来を左右する「国際プラスチック条約」の制定に向けて交渉が進んでいます。2023年には、5月と11月にそれぞれフランスのパリとケニアのナイロビで国際会合が行われました。グリーンピース・ジャパンからも2回の国際会合(INC-2INC3)にスタッフを派遣。最前線で交渉プロセスに参加して、強力な条約を求めました。

9月にはイクレイ日本事務局とともに、国際プラスチック条約シンポジウムを開催。政府、ビジネス界や企業、自治体、若年層団体などから幅広いステークホルダーが登壇し、プラスチック汚染の解決を目指して、条約交渉の現状や今後の見通しについて話し合いました。

国際プラスチック条約は2024年に予定されているあと2回の国際会合(INC-4 カナダ、INC-5韓国)を経て、2025年までに制定される予定。国際会合での建設的な交渉プロセスのためにもこうした機会が重要です。グリーンピースは世界中の200万人の支援者と協力し、実効的な条約を求めて活動しています。ぜひ署名に参加してください。

2023年を締めくくるように、11月30日から12月13日にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイでCOP28が開催されました。会議では、「化石燃料からの脱却」を進めることが合意されています。開会直後に成果文書に「2030年までに再エネを3倍、エネルギー効率を2倍にし、化石燃料からの脱却を加速する」旨が明記されました。しかし、成果文書には、特に先進国に求められる責任に沿わない誤った解決策や、1.5度目標に整合しないアプローチも含まれました。

同会議に参加したグリーンピース・ジャパンのスタッフは「日本政府には総力をあげ、2030年までに再エネ3倍を国内でも目指すこと、化石燃料からの脱却で世界をリードしていくことを期待します」と発表しています。

株主総会でのアクション、『自動車環境ガイド2023』の発表

6月14日に愛知県豊田市の本社で、トヨタ自動車の株主総会が開催されました。トヨタの株を最小単位で購入しているグリーンピース・ジャパンも株主として総会に参加

愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で開催された同社株主総会でEV転換の早期推進を求めアクションするグリーンピースのメンバー
愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で開催された同社株主総会でEV転換の早期推進を求めアクションするグリーンピースのメンバー。(2023年6月)

グリーンピースのメンバーが、東京の事務局からの道のりの一部、静岡県から愛知県豊田市までをEV自動車でドライブし、会場で2030年までのEV自動車へのシフトを呼びかけました。

2023年10月には自動車大手15社を対象に、気候変動への具体的な取り組み度合いを評価する『自動車環境ガイド2023』を発表しています。日本メーカーの結果は、15社中、ホンダが最高の10位、続いて日産が11位となりました。トヨタは13位、今年初めて対象に入ったスズキは15位でした。『自動車環境ガイド』は、国内では日経モビリティ、ブルームバーグ、オルタナ他の複数のメディアに取り上げられたほか、世界的にも大きな注目を集めています。

教室の断熱、CO2削減目標の引き上げ、仲間とともにまちに変化を

2023年は記録史上地球が最も暑かった一年でした。猛暑の厳しさが記憶に残っている方も多いと思います。日本では、基準にあわせた学校の断熱改修が国主導で行われたことがありません。断熱性が低く、エアコンが十分に効かないために、危険な暑さにさらされる教室がとても多いのです。

8月29日に、学校教室の断熱を求め、市民の署名と要望書が文科省に提出されましたグリーンピースが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」の横浜のチームは、7月20日から学校断熱を求める署名活動を開始し、約2万7000人の賛同が集まりました。署名は要望書とともに文部科学大臣に直接手渡されています。チームのメンバーと仲間、専門家の方で面談と記者会見を行い、断熱改修の効果を訴えました。

学校教室の断熱を求め、記者会見を行うグリーンピースが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」の横浜のチーム
学校教室の断熱を求め、記者会見を行うグリーンピースが事務局を務める「ゼロエミッションを実現する会」の横浜のチーム(2023年8月29日) © Greenpeace

断熱は夏だけでなく、冬にも重要です。署名は引き続き募集中。まだ参加されていない方はぜひご賛同ください。

2023年11月には、東京都国立市が、全国トップレベルの高い二酸化炭素と温室効果ガスの削減目標案を公表しました。グリーンピース・ジャパンに事務局を置く「ゼロエミッションを実現する会(ゼロエミ)」の一グループ、ゼロエミ国立のメンバーの大活躍が実現させた数字です。

市長との面談でプレゼンを行ったり、市民の応援の声を可視化したり、専門家に試算を依頼したり、戦略的に活動し、CO2排出量(2013年比)62%という目標値が草案に採用されました。

一人ひとりが住むまちの気候変動対策から変えていくゼロエミの活動が2023年も大きく躍進しています。ぜひあなたもゼロエミの仲間に加わってください。

アートで身近に伝える気候危機

グリーンピースは2023年、気候の変化に思いを馳せるための新しい機会づくりとして入場無料で2つのアート展示を行いました。

10月21、22日の2日間、代々木公園にデジタルアート鑑賞のためのブース「エラーコード:秋」を設置。気候変動による紅葉の変化を体感できるボックスブースを設置、約900人の来場者が壁一面に投影される未来の秋の様子を鑑賞しました。

ブース「エラーコード:秋」内で、壁一面に投影された未来の秋の様子に見入る来場者
ブース「エラーコード:秋」内で、壁一面に投影された未来の秋の様子に見入る来場者(2023年10月)

来場者からは、「考えるきっかけになった」、「床の落ち葉や木の匂いと、デジタルの融和がよかった」といった声が寄せられています。

11月17〜26日にかけては、表参道で来場者参加型のアート展「HELP展 〜30年後には消えてしまうかもしれない〜」を開催しました。

片岡メリヤスさんのぬいぐるみ「動物からのHELP」コアラのぬいぐるみ
片岡メリヤスさん制作の絶滅が危惧される動物たちのぬいぐるみ「動物からのHELP」

ぬいぐるみ作家の片岡メリヤスさん、八劔神社宮司の宮坂清さん、料理研究家の土井善晴さんら多様な作家、文化人の方々と協力して実現した、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」展覧会です。

会期中の来場者数は750人以上にのぼり、多数のメディアに紹介されるなど大きな反響を呼びました。来場者が展示品や会場造作を会期終了後に持ち帰ることができるように設計されていた点にも多くの好評の声が集まっています。

アートで気候変動を自分ごとにするアプローチに挑戦した2023年でした。

環境活動の足跡を伝えるオンラインイベント

12月13日には、グリーンピースの活動をオンラインで報告するイベントを開催しました。担当したスタッフ自らが報告する活動内容を聞いて、90%以上の方が2023年のグリーンピースの活動が社会を変える取り組みであったと回答し、「企業や自治体に対しての様々なロビー活動を知ることができた」と感想が寄せられています。

グリーンピース2023年の活動報告イベントのバナー

また、本イベントでは活動報告の他にも、気候についてや理想のまちや交通について、参加者とスタッフまじえて対話する時間を多くとりました。顔をあわせての対話の機会に「刺激と知識をもらった」といった声が寄せられています。

グリーンピースでは、2024年も引き続きさまざまなオンラインイベントの開催を予定しています。イベント情報はメールマガジンでお知らせしています。ぜひグリーンピースのメールマガジンに登録して興味のあるイベントにお越しください。

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