神奈川パブコメ

2024年3月28日 追記

こちらのブログで、神奈川県地球温暖化対策実行計画改定素案へのパブリックコメント(意見公募)をよびかけました。
2024年3月28日、神奈川県は、パブリックコメントを経て、改定した「神奈川県地球温暖化対策実行計画」を公表しました。(全文はこちら

ブログでは、2030年の温室効果ガス削減目標の引き上げ、ゼロエミッション火力の推進の削除、太陽光発電設備設置の義務化の早期導入を求めようとよびかけました。残念ながら、最終版では、2030年の温室効果ガス削減目標は2013年度比で50%削減、つまりパブコメを経ても変わることはありませんでした。「ゼロエミッション火力の推進」という文言もそのままでした。

その中で、ひとつ大きな成果がありました。それは、太陽光発電設備設置義務化についてです。素案では「脱炭素社会を実現するためには、あらゆる主体が脱炭素を自分事化し、自ら率先して行動することが重要ですが、太陽光発電の更なる導入拡大のためには、太陽光発電の設置を義務化することも有力な手段です。そこで、今後の太陽光発電の導入状況や、先行自治体における実施状況等を踏まえ、設置義務化の必要性や効果等について検討します」となっていました。

先行自治体の実施状況だと東京都と川崎市になり、実施されるのは2025年ですから、そこから効果を検討されるのでは遅くなってしまいます。

パブリックコメント期間が終了したあとも、神奈川県の市民は太陽光発電設備設置義務化の検討を早く進めてもらおうと、さまざまなはたらきかけをしてきました。グリーンピース・ジャパンが事務局をつとめる「ゼロエミッションを実現する会」も市民とともに活動しました。その結果、「先行自治体における実施状況等を踏まえ」という素案の文言が最終的には「国内外の実施状況を踏まえて」に修正されました。欧米の自治体では、義務化の先行事例がたくさんあるので、今後も情報提供していき、早期義務化の実現をめざしていきたいと思います。

それからもうひとつ。パブコメの数はなんと前回の10倍の858件。(パブコメの結果はこちら)これも、ゼロエミッションを実現する会やゼロエミ横浜が2週間毎日パブコメを書く会を開催したことなどが大きく貢献していると思います。結果としては38件もの意見が反映されています。

活動されたみなさん、お疲れ様でした。パブコメをだされたみなさん、この前進をいっしょによろこべたらと思います。

これからもいっしょに、活動してきましょう。

追記おわり











最近まで酷暑にうんざりしていたのに、気づけばもう冬? 秋はどこへ……。野菜の価格も高騰している……。気候変動の影響を肌で感じる今日この頃。できることを探しているあなたに、ぜひチャレンジして欲しいのがパブコメこと「パブリックコメント」。いま、神奈川県が地球温暖化対策計画を改定中。素案についてあなたの意見を求めています。あなたの声でよりよい計画にしませんか?

▼この記事を読むとわかること

> パブリックコメント、パブコメとは?
> 地球温暖化対策計画について
> 神奈川県地球温暖化対策計画、注目すべき3つのポイント
> とっても簡単なパブコメの提出方法
> 「パブコメを書く会」のお知らせ

パブリックコメント、パブコメとは?

夏のあとに急に冬が来てしまったかのような気候に地球温暖化を感じる今日この頃です。野菜の価格も高騰していますが、これは夏の猛暑が影響しているそうです。「気候変動、なんとかしないと……」と思っているなら、今すぐにできる効果抜群のアクションがあります。

「パブリックコメント(パブコメ)」です。パブリックコメントは、国や自治体が、制度や計画をつくるときに、広く一般から意見を募集する制度です。寄せられた意見を考慮して制度や計画を最終化することで市民の権利を守ります。寄せられた意見については、それに対する行政の考え方を公表することで透明性向上をはかっています。

いま、神奈川県が、地球温暖化対策についての計画を改定中で、改定素案についてあなたの意見を求めています。あなたの声でよりよい計画にしませんか?

地球温暖化対策計画について

「地球温暖化対策計画」は、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をどれだけ(目標)どう(施策)削減していくかの計画が書かれたもの。国の法律に基づいて、地方自治体がつくることになっている各自治体の気候対策のプランです。

計画の名前はいろいろで、「環境基本計画」の中に組み込んでいる自治体もあります。

神奈川県地球温暖化対策計画、注目すべき3つのポイント

現在改定中である神奈川県の地球温暖化対策計画の素案の構成は、以下のようになっています。

第1章 総論 (経緯・ポイント、背景、位置付け、実績、目指すべき姿)
第2章 緩和策(目標、シナリオ、施策)
第3章 適応策 (経緯、役割、施策)
第4章 計画の推進(体制、管理、見直し)

ここでは、目標と施策に注目して3つのポイントにまとめていきたいと思います。

2030年温室効果ガス削減目標 2013年度比で50%削減は十分?

(2)2030年度に向けた中期目標
2030(令和12)年度までに県内の温室効果ガス排出量を△50%削減(2012年度比)
◯国は「2030年度の温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、更に50%の高みに向け、挑戦を続けていく」と表明しており、県内の自治体でも、国が目指す50%の高みを削減目標としているところもあります。
◯県が50%という野心的な目標設定をすることで、脱炭素社会の実現に向けたオールジャパン、オール神奈川の取組を一層加速させることを目指します。(「神奈川県地球温暖化対策計画改定素案」p19より)

温室効果ガスの削減目標ですが、改定素案では、2030年度までに、50%削減となっています。現在の国の温室効果ガス削減目標は46%から50%の高みをめざす、というものなので、「50%」なら「野心的」と思えるかもしれません。しかし、実は、50%削減では気候危機を回避するには不十分です。

IPCC(国連の気候変動政府間パネル)は、気候危機を回避するには2030年度までに世界でほぼ半減させなければならないとしています。世界にはこれから温室効果ガスの排出量が増える国がたくさんありますから、先進国は半減では足りません。科学者によるプロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー(Climate Action Tracker)」は、日本は2030年度までに62%削減する必要があるとしています*

▶︎パブコメで、目標の引き上げを求めませんか?(該当ページ19 ページ)

②ゼロエミッション火力を推進?

(取組の方向性)
◯再生可能エネルギーの利用などにより、電力のCO2排出原単位の改善に取り組むとともに、省エネルギー対策の取組を推進していくことにより、化石燃料の使用量を減らしていくことが必要です。(「神奈川県地球温暖化対策計画改定素案」p22より)

取り組みの方向性がかかれているページに「ゼロエミッション火力の推進」とかかれています(p22)。

「ゼロエミッション火力」というのは、火力発電の燃料を従来の石炭・LNGから、燃焼時にCO2を出さない水素やアンモニアに切り替えることを指しています。しかし、日本政府が掲げる目標は2030年までに石炭火力の20%程度をアンモニア混焼にすることに留まり、さらにNGOの連合である「Japan Beyond Coal」によれば、実現の目処もたっていません*

石炭火力のアンモニア混焼とCO2の排出
石炭火力のアンモニア混焼とCO2の排出 Japan Beyond Coalウェブサイトより

水素もアンモニアも海外で化石燃料からつくられます。日本に輸送してくるときの排出も大量です。ライフサイクル全体で見れば、排出削減効果がほとんど見込めないとのことです。

▶︎パブコメで、「ゼロエミッション火力の推進」の削除を求めませんか?(該当ページ22ページ)

③太陽光発電の設置義務化の検討

③ 太陽光発電の設置義務化の検討
〇 脱炭素社会を実現するためには、あらゆる主体が脱炭素を自分事化し、自ら率先して行動することが重要ですが、太陽光発電の更なる導入拡大のためには、太陽光発電の設置を義務化することも有力な手段です。そこで、今後の太陽光発電の導入状況や、先行自治体における実施状況等を踏まえ、設置義務化の必要性や効果等について検討します。(「神奈川県地球温暖化対策計画改定素案」38より)

また、今回の改定素案には「太陽光発電設置義務化の検討」が入っています(p38)。太陽光発電設備の設置義務化については、屋根置き太陽光発電設備について、東京都と川崎市が2025年からハウスメーカーに義務づけをすることになっています。

再エネの拡大に、屋根置き太陽光発電設備の設置義務化は大変有効ですし、必要な施策です。改定素案には、「今後の太陽光発電の導入状況や、先行自治体における実施状況等を踏まえ、設置義務化の必要性や効果等について検討」とあり、2025年から始まる東京都と川崎市での実施状況を踏まえるようですが、それでは遅いといわざるを得ません。

国の目標では、2030年までに新築の6割で太陽光発電設備の導入となっており、必要性は明らかです。すでに成立した条例を参考に、制度設計を始めるべきではないでしょうか。

▶︎パブコメで、太陽光義務化に賛成し、施策を後押ししませんか?(該当ページ38ページ)

太陽光のメリットや設置についてのQ&Aはこちら

とっても簡単なパブコメの提出方法

上記の3つのポイント以外にも、建築物の省エネ(断熱・気密)や、運輸、市民参画など、さまざまな視点からの意見提出を呼びかけます。
提出方法はとてもカンタンです。

電子申請システム」をクリック
「利用登録をせずに申し込む方はこちら」をクリック
「同意する」をクリック
→「タイトルを入力してください」という欄は空欄のままでOK。「該当するページ番号」には、例えば太陽光設置義務化の検討についての意見なら38ページと書いてください。分からなければ「全体的に」などと書いてもOK。そして「御意見」(例えば、太陽光発電設備設置義務化に賛成です!など)を入力
「確認へ進む」をクリック
「申し込む」をクリック、これで完了です。

*神奈川県環境基本計画、かながわ生物多様性計画、神奈川県循環型社会づくり計画などの改定素案へのパブリックコメントも同時に行われています。くわしくはこちら
*愛媛県でも「地球温暖化対策実行計画(改定素案)」に対する意見の募集が行われています:締め切り11/12(日)詳しくはこちら
*群馬県では「群馬県地球温暖化対策実行計画2021-2030」の一部改定に関する意見募集が行われています:締め切り11/9(木)詳しくはこちら

ぜひ、ご自分の自治体の「パブリックコメント募集」情報をご確認ください。

「パブコメを書く会」のお知らせ

自分の住んでいる自治体の気候対策を進めて行動する市民のプラットフォーム「ゼロエミッションを実現する会」(事務局:グリーンピース・ジャパン)の神奈川の参加者が、11月9日まで、平日の12:00〜12:50の間、地球温暖化対策計画を読んで、その場でパブコメを一緒に書くオンラインの集い、ひるもぐぱぶこめ(お昼にもぐもぐしながら神奈川パブコメ書く会)を開催しています。

全国からご参加いただけます。ぜひ、お気軽にご参加ください。

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▶︎#選挙でとめる気候危機 アクションガイド ~私たちにできること~

▶︎一人ひとりが動いて、声をあげて、変えることができました -ゼロエミッションを実現する会 2022年アクション成果