スターバックスとタリーズの看板

グリーンピースはスターバックスとタリーズの全国150店舗で市民主導の調査を実施しました。カフェ愛好者たちが、各店舗内でのリユース率を検証した結果、スターバックス41% タリーズ12%と、スターバックスが店内リユース率を大幅に伸ばしています。一方、タリーズは今後の課題が浮き彫りとなる結果に。地球に優しいカフェをつくる「私たちの」カフェ調査について詳しくまとめました。

▼この記事を読むとわかること

> 全国150店舗で市民によるカフェ調査を実施
> 調査に参加した人たちの声
> 「スタバ41% タリーズ12%」店内リユース率調査結果
> スターバックスのチェンジ、カフェ業界のチェンジ
> タリーズのこれから…リユース取り組みのスタート地点
> 次に必要なのはテイクアウトリユースの仕組みの拡大

全国150店舗で市民によるカフェ調査を実施

美味しいコーヒーが飲める街のカフェは、多くの人たちにとっての大切な場所。「コーヒーが好きだからこそ、環境に悪影響を与えることなく楽しみたい」、そんな想いを持つ人たちが主体となってカフェ業界前進のきっかけとなる調査を行いました。

スターバックスとタリーズの看板

調査の内容はスターバックスとタリーズ2つの大手カフェチェーン店舗内で、どれだけリユースできるグラスやマグカップが使われているかを調べるというもの。特筆すべきは、調査を行ったのがカフェを愛用する一般の市民であったという点です。「環境に優しいカフェで美味しくコーヒーを飲みたい!」と願う多くのカフェユーザーが全国計150店舗のカフェに足を運び、調査が行われました。

調査に参加した人たちの声

調査には、1カ月足らずの期間に93人もの人たちの参加があり、スタバとタリーズ店内のリユース率を実際にカウントした情報や店員さんとのやりとりの内容などがグリーンピースのもとに集まりました。時間を使い、実際に足を運んでくださった人たちからは調査への参加理由として「よく行くカフェで大量のカップが使い捨てられていることを知って、変わってほしいと思った」「これからも応援したいから」との声が。

グリーンピースが2022年に行った意識調査でも、カフェに使い捨てカップを減らしてほしいという人は8割に上りました。多くのカフェユーザーが、カフェで過ごす時間が好きだからこそ、エコフレンドリーな取り組みに力を入れてほしいと願っているのです。

▶︎カフェ利用者の8割以上が「使い捨てカップを減らすべき」と回答

「スタバ41% タリーズ12%」店内リユース率調査結果

調査では、無作為に選んだスタバ、タリーズいずれかの店舗で「マグカップ・グラスの使用者数」と、「使い捨てカップ数(プラスチック・紙)」、「注文の際にマグカップを使用するか聞かれたか」などの項目について調べました。

2022年にグリーンピースが発表した調査において、大手チェーンの中でも、特にカップを大量に使い捨てていたスターバックスとタリーズ。今回はどのような結果となったのでしょうか。

市民が150店舗で見てきた店内リユースの状況

市民93人による調査の結果、スターバックス計95店舗での店内リユース率は41%、タリーズ計55店舗での店内リユース率は12%となりました。

立つ使い捨てに向け、使い捨てカップを減らす努力が見られるかを調査した結果
スタバ&タリーズ

また、各店舗を訪れてレジでの案内などに「脱使い捨てに向けて、紙やプラスチックの使い捨てカップを減らす努力をしているように感じたか」を訪ねたところ、スターバックスでは「まあまあ感じた」、「とても感じた」との回答が50.4%に上りましたが、タリーズでは、16.1%にとどまっています。

グリーンピースが2022年に発表した使い捨てカップ消費量に関する調査では、店内のリユース率がわずか8%だったスターバックス。今回の調査はランダムなもので、調査手法も違うため単純比較はできませんが、大きく前進していることがわかりました。一方で、タリーズでは残念ながら良い変化があったとはいえません。

スターバックスのチェンジ、カフェ業界のチェンジ

前回の調査結果では、スターバックスでは年間2億3,170万個という他の8社の合計よりも多く使い捨てカップが使われていました。グリーンピースは2021年から、スターバックスにリユースを呼びかけ、対話を重ねてきました。

スターバックスの看板

調査結果のとおり、目覚ましい変化が見られるスターバックスですが、依然として提供ドリンクの約6割を使い捨てに頼っている状況にはまだまだ改善の余地があります。今後の課題は、店内を含め使い捨てのさらなる削減。テイクアウトのリユース率UPへの取り組みは欠かせません。

スターバックスでは現在約40店舗でテイクアウトにおけるリユースシステムの導入が進んでいますが、コーヒーの持ち歩き文化を日本に広めたスターバックスだからこそ、これからはテイクアウトにおけるリユースカップ利用を広める存在になることができるはずです。店舗数、売上数とも日本一、スターバックスが勇敢な選択をすれば、その変化はカフェ業界全体を大きく変える可能性もあります。

タリーズのこれから…リユース取り組みのスタート地点

前回の調査での29%のリユース率から、ポイントを下げる結果となったタリーズは、今ここがスタート地点であるといえます。2022年発表の調査ではスターバックスを上回っていたはずが、その後の取り組みの差が如実に数字にあらわれた結果といえるでしょう。

タリーズの看板

今回の調査後、グリーンピースはタリーズと面談し、環境に関する取り組みや方針、調査の結果などについて意見を交換してきました。現時点ではリユースへの取り組みの不十分さが浮き彫りとなったタリーズですが、面談において、店内におけるマグカップやグラスの利用を全国的に強化していくこと、テイクアウトにおいてもタンブラーの利用を促進することなど、今後の取り組みを約束してもらうことができました。これからの変化に期待が持たれます。

次に必要なのはテイクアウトリユースの仕組みの拡大

大手カフェチェーンが店舗展開を広げ、セルフサービススタイルが主流となり、「喫茶」のあり方は大きく変わりました。気軽にコーヒーが楽しめるようになった反面、日本の大手カフェチェーンでは1日100万個もの使い捨てカップが消費されるように。

コーヒーをマグカップで飲む様子
2022年発表のグリーンピースの調査結果でわかった驚きの数字「1日100万個の使い捨てカップ」。カフェで過ごす時間が好きだからこそ地球に負担をかけることなくコーヒーを楽しみたい

カフェを愛する一般利用客によって行われた今回の調査は、少しでも使い捨てを減らしてほしいという願いが込められています。この調査が、きっと私たちがこの先もっとカフェを好きになるきっかけになるでしょう。

世界的には店内リユースの移行はもちろんのこと、すでにテイクアウトにおけるリユースの仕組みへの行動が高まってきています。企業がリユース容器を貸し出して回収し洗浄まで行う「返却式リユース」の仕組みがひろがりを見せています。

例えば台湾のスターバックスやコンビニはすでに大規模な仕組みをスタートしていますし、EUなどでは、リユースの仕組みを拡大させるため、政策レベルでの動きを本格化させています。

スターバックス台湾で利用が始まったテイクアウト用のリユースカップ ©︎Greenpeace
スターバックス台湾で利用が始まったテイクアウト用のリユースカップ ©︎Greenpeace

日本のカフェ業界でも、店内のみならずテイクアウトにおいても使い捨てせずにドリンクを楽しめる仕組みが必要です。

実は日本のスターバックスも、リユース事業者やコンビニ大手のローソンなどと協力し、一部店舗でテイクアウトリユースのシステムの展開が始まっています。使い捨てカップの大幅削減に向けては、今後はこうした仕組みを全国的に拡大させるる必要があり、カフェ最大手のスターバックはもちろん、タリーズや、同様に使い捨てカップを大量排出するコンビニやファーストフードチェーンなどにも大規模な取り組みが求められています。地球に優しくコーヒーやドリンクを楽しめる未来のために、私たちの声を届けましょう。

1日100万個の使い捨て
コーヒーカップをなくしたい

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