プライベートジェットの禁止を要求して抗議行動を行う気候活動家

5月は広島でG7サミットが開催され、また月末から6月2日にかけてはフランスで「国際プラスチック条約」制定のための国際会議が行われています。気候、そして地球にとっての転機となりうる重要な出来事が多くありました。グリーンピースの活動とその成果を報告します。

▼この記事を読むとわかること

> 日本:G7開催 希望のライトペインティングアクション
> フランス:「プラスチック条約」のための国際会議開始
> ブラジル:アマゾン川河口の生態系を守るため採掘の認可取り消し
> スイス:プライベートジェットの禁止を求め、逮捕されていた活動家が釈放
> アメリカ:リサイクルによる毒性の増加を報告「プラは永遠に有毒」
> 変化のためのアクションを今こそ!

日本:G7開催 希望のライトペインティングアクション

グリーンピースのライトペインティングアクション
ペンライトを使ってG7各国のリーダーに平和で安全な未来を求めて、光のメッセージ。(2023年5月)

日本が議長国を務め、5月19日から広島市で開催されたG7サミットが、21日に閉幕を迎えました。気候変動の緊急事態が続く中、日本が化石燃料の廃止、そしてゼロエミッション車への移行にブレーキをかけるかたちとなり、野心的な気候変動対策が合意に至ることはありませんでした。

グリーンピース・ジャパンは現地で、G7各国の指導者に、再生可能エネルギーで平和な未来を約束し、化石燃料への依存をやめるように求め、ライトペインティングアクションを実施。広島に集まった様々なNGOや、地元で活動する市民団体から多くの方が参加しました。

フランス:「プラスチック条約」のための国際会議開始

「プラスチック条約」の政府間交渉が行われるパリで行われたグリーンピースのアートインスタレーション
「プラスチック条約」の政府間交渉が行われるパリで、グリーンピースはアートインスタレーションを実施。グリーンピース・ジャパンも参加した。(2023年5月)

パリで5月29日から第2回目となる国際的に法的効力を持つ「プラスチック条約」を制定するための国際会議が始まりました。グリーンピース・ジャパンからも担当者が現地入りし、会議に参加しています。

2025年に締結が目指されているこの条約が真に効果的な内容で合意されれば、個人の努力に頼らずに使い捨てプラスチックなしで暮らせる仕組みが実現するかもしれません。実効的な条約を誕生させ、使い捨てにさよならするための署名が始まっています。

ブラジル:アマゾン川河口の生態系を守るため採掘の認可取り消し

アマゾン川河口の中層サンゴ礁
アマゾン川河口の中層サンゴ礁(2019年9月)。アマゾンのサンゴ礁を記録する史上初のダイビングを成功させたグリーンピースの調査より。

5月17日、ブラジル環境・再生可能天然資源院(以下、IBAMA)トップのロドリゴ・アゴスティーニョ氏が、ペトロブラス社(PBR)へのアマゾン川河口で石油採掘をする認可を取り下げました。2018年、グリーンピースはアマゾン川河口に驚くほど豊かなサンゴ礁が広がっていることを調査し、国際的に報告しました。森林だけでなく、サンゴを守るための活動を続けています。

ルラ政権によって、再編成・強化されつつあるIBAMAが、石油プロジェクトを阻止し、アマゾン川河口の貴重な海洋生態系を守ったことは大きな勝利です。

スイス:プライベートジェットの禁止を求め、逮捕されていた活動家が釈放

プライベートジェットの禁止を要求して抗議行動を行う気候活動家
グリーンピース、エクスティンクション・リベリオン、サイエンティスト・リベリオンなどの環境団体、17カ国から100人以上の活動家が、プライベートジェットの禁止を要求して抗議行動を行った。(2023年5月)

スイスのジュネーブで開催された欧州最大の民間航空機の販売イベントで、プライベートジェットの禁止を求め、グリーンピースなど、17カ国から気候活動家が非暴力の抗議活動のために集い、103人が逮捕されました。活動家は24時間以上拘束されていましたが、世界中から即時解放を求める声が上がり、5月25日に全員が無事釈放されています。

プライベートジェットは社会と気候の不公平の典型です。世界人口のわずか1%の超富裕層が、世界の航空機からの排出量の半分を占めています。グリーンピースはプライベートジェットの禁止を求め、ひろく活動を行っています*

アメリカ:リサイクルによる毒性の増加を報告「プラは永遠に有毒」

香港のプラスチックリサイクル工場で手袋をしてプラスチックの選別作業をするボランティア。
香港のプラスチックリサイクル工場。手袋をしてプラスチックの選別作業をするボランティア。(2021年7月)

プラスチックがリサイクルによって毒性を高めることをグリーンピース・アメリカが報告書で指摘しました*。プラスチックには13,000種類以上の化学物質が含まれており、そのうちの3,200種類以上は人間の健康に有害です。リサイクルによってその有毒性が高まってしまうため、プラスチック汚染は処理を取り締まっても解決しません。

報告書では、プラスチックの生産量自体から劇的に減らさなければ、プラスチックに含まれる化学物質による健康への脅威をなくすことはできないと述べられています。

変化のためのアクションを今こそ!

グリーンピースは、政治と生活の両側面から、豊かな地球を守る変化を起こすために活動しています。

プラスチック汚染を解決する条約を制定するための2回目の国際会議は6月2日までパリで行われ、今回の会議を含め全部で5回の政府間交渉が開催されます。

第2回の政府間交渉にあわせてセーヌ川のほとりで実施されたグリーンピースによるアートインスタレーション。
第2回の政府間交渉にあわせてセーヌ川のほとりで実施されたグリーンピースによるアートインスタレーション。(2023年5月)

交渉の場所に、プラスチックを蛇口から止める条約を求める私たちの声を届けましょう。地球を守る変化を起こすプラスチック条約のための署名にぜひ参加してください。

「国際プラスチック条約」で
使い捨てにさよなら

そのほかのアクションはこちらから

▶︎リユースを広めるSNS投稿キャンペーン「#リユースでラブアース」を開催 5月30日(火)〜6月30日(金)

▶︎【環境のはなしシリーズ第5回】プラスチックのはなし〜国際プラスチック条約、なぜ必要?〜