いよいよ本格的な花粉症の季節が始まりました。

環境省が、全国34の都府県で行っているスギ雄花花芽調査によれば、今年のスギ花粉の飛散量は過去10年で最多になる恐れがあります。*1

実は、花粉症も気候変動によって深刻化するものの一つと指摘されています。

なぜ気候変動で花粉症が悪化するのでしょうか。

▼この記事を読むとわかること

> 今年のスギ花粉の飛散量は、過去10年で最多の予想
> 気候変動で、花粉の飛散量は増え、飛散期間は延びている
> 二酸化炭素排出抑制が花粉増加を抑えるカギ
> 気候変動の影響を受けない人はいない

今年のスギ花粉の飛散量は、過去10年で最多の予想

環境省が、全国34の都府県で行っているスギ雄花花芽調査によれば、今年は東京都をはじめ、多くの府県でスギ雄花が過去10年の最大数より多く、花粉飛散数が過去10年間でもっとも多くなる恐れがあると見込まれています。

スギ花粉の量は、花粉を飛ばす雄花の量によって左右されます。昨年の夏は梅雨の時期から気温が高かったことから、スギ雄花の量が増えたと考えられています。

気候変動で、花粉の飛散量は増え、飛散期間は延びている

(スギ花粉が飛散する様子。出典:shutterstock)

2021年にアメリカの学術誌「PNAS」で発表された論文では、米ユタ大学の生物学准教授ウィリアム・アンデレッグ氏が、花粉飛散の時期が気候変動によって長期化花粉の数や濃度の増加を指摘しています。*2

研究チームが、北米60カ所の観測拠点で得た28年分の花粉関連の指標を調査した結果、花粉シーズンが始まる時期は20日ほど早くなり飛散日数は8日間も長くなっていたことが分かりました。また花粉の個数や濃度は、年間を通して20.9%も増加していました。

米国環境保護庁のデータでも類似した結果が確認されており、気温上昇が原因で、1995年から2015年のアメリカ国内の花粉シーズンは場所により6〜21日長くなっています*3

花粉の飛散量が気候変動と共に増えることで、花粉症を新たに発症する人や症状の悪化に苦しむ人は多くなるでしょう。環境省の花粉症環境保健マニュアルによれば、過去20年間で花粉症の有病率は2倍以上に増えています*4

二酸化炭素排出抑制が花粉増加を抑えるカギ

科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究によると、二酸化炭素排出量が抑制されない場合、花粉シーズンは今世紀末までに最大で40 日早く始まり、19日長く続く可能性があります。これにより、米国の年間花粉排出量が 40%も増加することになります。

この研究の筆頭著者で、ミシガン大学の気候科学の博士候補であるチャン・インシャオ(Yingxiao Zhang)は、「より多くの栄養素と水が植物を大きく成長させるため、降水量と大気中の二酸化炭素の量の両方が、植物が花粉を生産および排出する量に影響を与える」と述べました。*5

二酸化炭素の排出量を抑え、平均気温上昇を抑えることは、季節性アレルギーを深刻なものにしないためにもとても大切ということが分かります。

気候変動の影響を受けない人はいない

2021年の第26回国連気候変動会議(COP26)の期間中には、全世界で約4万人が
マーチに参加して気候変動に対する早急な行動を政府に求めた

花粉症のような季節性アレルギーから命に関わる気象災害まで気候変動の影響はさまざまな形で私たちの生活に影響を与えます。

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