気候変動の影響とされる猛暑や豪雨災害のニュースを耳にすることが増えたと感じませんか?今年の夏は日本だけでなく、世界各地で自然災害が続きました。
特に気候変動に対し脆弱な国々は多くの気象災害を経験しています。気候変動の影響を最も受ける国々の多くは温室効果ガスの排出量が少ないにも関わらず、高所得国が変化させた気候の影響を大きく受けています。
今は驚くような気温や降水量も、このまま温暖化が進めば当たり前となってしまうかもしれません。日本に住む私たちは何ができるでしょうか。

パキスタンの洪水で数百万棟の家屋が倒壊

浸水した地域を移動する男性と子どもたち。8月にパキスタンの一部を襲ったモンスーン性の豪雨は、数百万人に影響を与えました。© Fida Hussain / AFP / Getty

パキスタンでは大雨が8週間も続き、深刻な洪水が発生しました。この大洪水で国土の3分の1が水没し、1400人を超える死者が出ました。

パキスタンは気候変動においてとても脆弱な国と言われています。熱波や干ばつ、激しい雨に見舞われる可能性が高いだけでなく、北極と南極以外で世界最大のシアチェン氷河を抱えており、平均気温の上昇で氷河が溶け続けています。今年の大洪水でも豪雨に加え、気候変動による猛暑で氷河が溶け、水害が長期化しました。*

パキスタンは毎年モンスーン性の雨が降る国ですが、今年の雨量は例年より非常に多く、その原因を科学者たちは気候変動の可能性が高いと指摘しています。

イギリスでは記録的な暑さで山火事が多発

大規模な火災に見舞われたイギリスの住宅地。イギリスでは記録的な熱波に見舞われ、火災が発生した。© Leon Neal / Getty

この夏イギリスは2度の熱波に見舞われ、最高気温は40.3℃を記録し、これまでで最も暑い夏となりました。

猛暑だけでなく、イギリスでは今年の夏だけで745件もの森林火災が発生しました。これは2021年一年間に発生した山火事の件数をこえています。

イギリスでは、気候変動によって熱波が少なくとも10倍も発生しやすくなり、気温が4℃も高くなったことが最新の分析で分かっています。

猛暑はイギリスだけではありません。今年初め、インドとパキスタンは記録的な猛暑に見舞われました。科学者によれば、気候変動の影響でこのような猛暑が地球全体で30倍も発生しやすくなっています。2021年のカナダとアメリカの猛暑も、「事実上、気候変動が起きていなければ発生しなかった」と科学者たちは指摘しています。

世界各地で干ばつによる食糧・水不足が発生

中国の主要河川である揚子江の露出した土手を歩く人々。中国は過去60年間で最も厳しい熱波に直面しており、水位が低下し、干ばつが発生。何千人もの人々に影響を及ぼしています。© Ren Yong / SOPA Images / Getty

ヨーロッパは過去500年間で最悪の干ばつに直面しています。非常に乾燥した冬と春に、記録的な夏の暑さが重なり、十分な雨が降っていないのです。

干ばつはヨーロッパ以外の多くの国に影響を及ぼしています。

ソマリアやエチオピアなどでは、干ばつによる食料・水不足で飢餓や飢饉に直面しています。中国では、記録的な熱波により、国土の一部や主要な河川が干上がりました。水の供給、食料、エネルギー生産に影響が出ており、世界の他の地域にも影響を及ぼす可能性があります。アメリカの一部やイラクも干ばつに見舞われています。

干ばつは必ずしも1つの原因で起こるとは限りません。しかし、いくつかの科学的研究により、干ばつと人為的な気候変動との間に関連性があることが判明しています。

スーダン・南スーダンで洪水が発生

スーダンはこの夏、過去最悪の雨季に見舞われました。8月末までに、スーダンでは約25万8000人が被災し、100人以上が亡くなりました。

異常気象は、この地域でパターン化しつつあります。2021年も南スーダンは大雨と洪水を経験し、80人以上が命を落とし、数千棟の家屋が流されました。2020年と2019年にも洪水で南スーダンで数百万人、スーダンで数千人が被災しています。

毎年深刻な洪水が起こるということは、そのたびに人々が家を失い、再建する時間がほとんどないことを意味しています。

スーダンと南スーダンは、地球が温暖化するにつれて、この地域では予測不可能な雨が降ることが予想されており、気候変動に対して最も脆弱な地域の一つです。

スーダンや南スーダンは温室効果ガスの排出量が少なく、気候変動への加担度が低いにもかかわらず、最も被害を被っている地域の一つとなっています。

カリフォルニアで発生した山火事

近年、カリフォルニアは山火事の規模や頻度が大きくなっており、この夏も例に漏れず各地で数々の大規模な山火事が発生しました。マッキニーでの山火事では約6万エーカーの土地を焼き、87軒の家屋が全焼、4人が亡くなるという最大の被害になりました。

山火事に直面しているのはアメリカだけではありません。

2019年から2020年にかけて発生したオーストラリアの森林火災は、非常に大きなものでした。この火災の焼失面積は1146万ヘクタール。北海道の全面積のなんと約10倍にあたります。また、30億匹近くの脊椎動物が命を落としたり、生息地を追われたと報告されています。

WWFは「現代史上最悪の野生動物災害のひとつ」と述べています。3年経った今も、火災を生き延びた人々は家の修復を待ち望んでいます。

このオーストラリアの森林火災の原因も、熱波と干ばつであり、オーストラリアの山火事シーズンは、40年前と比べて約1カ月長くなっています。

気候変動に関する研究では、気温の上昇は火災に最適な条件を作り出すとされています。カリフォルニアの山火事も、高温、乾燥、強風の日が増えれば、オーストラリア並にさらに大規模な火災に発展する可能性があります。

バングラデシュで100年に一度の大洪水が発生

© Mamun Hossain / AFP / Getty

100年に一度の大洪水が今年の6月バングラデシュ北東部やインドの一部を襲いました。この洪水により100人以上が命を落とし、両国合わせて950万人以上の住民が孤立しました。

モンスーンは、夏に南アジアで猛威を振るう雨季ですが、今年のモンスーンは例年より始まる時期が早く、雨量が多かったため、人々の備えが間に合わず、被害が拡大しました。

一般的に、気候変動が世界中の雨量にどのような影響を与えるかを完全に予測することは困難とされています。しかし、南アジアで大気中の蒸気量がより高くなる可能性が高いという点では、科学者の意見が一致しています。

隣国のインドやパキスタンのように、バングラデシュも猛暑と豪雨の両方に見舞われる可能性があります。専門家は、気温が上昇すると、バングラデシュでの洪水のリスクが高まると警告しています。

異常気象はさらに悪化する可能性がある

2022年に頻発した自然災害は、異常気象時代の到来を示しています。熱波、干ばつ、洪水は、世界各地でより頻繁でより激しく起こるようになりました。

毎年、記録は更新され、私たちはすでに気候変動の影響を感じています。

私たちは行動する必要があります。政府や企業に圧力をかけ、社会全体が化石燃料の使用量を減らし、温室効果ガスの排出量を削減して、食や日用品などの消費行動を見直し、気候危機をこれ以上悪化させないようにしなければなりません。政府や企業は、そのためにできるだけ早く、できるだけ多くの解決策に着手しなければなりません。

グリーンピースは、プラスチック生産削減やガソリン車からEVへの移行、そして日本の気候変動対策の向上を求めて企業や政府、自治体への働きかけを行っています。

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