環境問題解決は一朝一夕に実現できるものではありませんが、サポーターの皆様からのご支援のおかげで、グリーンピースの長年の働きかけにより、EUでは森林や海洋の保護に関する強力な法令が制定され、大企業サムスンは温室効果ガス排出ゼロ目標を設定しました。

2022年9月の世界の環境活動の歩みを一緒に振り返ってみましょう。

欧州:欧州議会、強力な森林保護法案を可決

スウェーデンでは、林業による森林破壊の影響を強く受けているサーミ族の村、パヤラ自治体のムオニオ・サメビでデモが行われました。

スウェーデンの先住民族であるサーミ族とグリーンピースは「#Together4Forests」のスローガンと共に森林伐採を止めるキャンペーンを展開し、スウェーデンの国営伐採企業スベアスコグ社の森林破壊を一時停止させることに成功しました。

世界では、2秒ごとにサッカー場1面分の森林が失われています。特に記録的な森林破壊が続いているアマゾンの森林は、崩壊寸前で世界的な救済が必要な状態です。

2020年以降、グリーンピースは160以上の環境団体や数百万人のEU市民とともに、欧州委員会に森林破壊防止法を2021年末までにつくるよう働きかけてきました。

そして今年9月、ついに欧州議会は、食肉、大豆、パーム油、木材、ゴム、皮革など、森林破壊に関与する商品のEU市場への持ち込みを禁止する強力な森林保護法案を可決したのです!

欧州:1万6000平方キロメートル以上の海域が深海漁業の禁止区域に

グリーンピース・イギリスは、破壊的な産業漁業を阻止するため、海洋保護区域の海底に「For all our Futures」と書かれた18個の大岩を沈めました。

9月2日、グリーンピース・イギリスは、海洋生態系を破壊する底引き網漁を阻止するため、英仏海峡の西南に位置する海洋保護区に18個の大岩を設置しました。

底引き網漁は、重い金属のネット海底に沿って引っ張る漁法で、海底や海洋生物の棲息環境を壊し、海底に貯蔵された炭素を放出します。この大岩を設置することで、海底で底引き網を引きずることができなくなります。

その後、9月15日に、EUの海洋・漁業担当委員が、大西洋北東部の1万6000平方キロメートル以上の海域で深海漁業が禁止されることを発表しました。

この禁止措置は、底引き網漁から深海のサンゴや海綿などを保護する効果が期待されており、深海漁業規則に基づいて2018年に実施される予定でしたが、延期されていました。

深海保全連合の政策アドバイザーであるマシュー・ジャンニは、「少し遅いですが、欧州委員会が深海の生態系を守るために確固たる行動を起こしたことは喜ばしいことだと思います。この深海漁業の禁止は、深海を保護することの重要性を再認識したものであり、とても意義深いものだと感じます。」とコメントしています。

韓国:サムスン、2050年のカーボンニュートラル目標を発表

世界の気候変動アクティビスト、グリーンピース、そして韓国市民による7年間の活動により、今月15日に、サムスンは2050 年までにカーボンニュートラルと100%再生可能電力使用を達成する計画を発表しました。

グリーンピースは、サムスンがついにRE100(事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的イニシアチブ)に参加したことを歓迎する一方で、再生可能エネルギー100%の目標を依然として2050年に設定しており、アップル、ソニー、インテルといった他社に大きく後れを取っていることやサプライチェーンを対象としていないことを問題視しています。

また、世界目標である1.5℃を達成するためには、炭素排出量削減のための行動が遅すぎることも明らかです。

グリーンピースは、サムスンに対し、アップルやソニーなど同業界の国際企業と同じく2030年までに再生可能エネルギー100%を達成するためにサプライチェーンを推進するよう、引き続き呼びかけ続けます。

マレーシア:アーティストが力を合わせ、きれいな空気に対する権利を訴える

グリーンピースがマレーシアのアーティストと共同で制作したインスタレーション作品「To Dream of Blue Skies(青い空を夢見て)」

グリーンピースは、2022年の国際クリーンエアデー(9月7日)に、インド、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、トルコ、南アフリカの7カ国の大気質を調べた最新の大気質調査「Different Air Under One Sky(一つ空の下、異なる空気)」を発表。

この調査結果によると、最大99%の人々が国連の大気基準を大幅に上回る汚染レベルの環境下に住んでおり、妊婦、子供、高齢者などの弱者の健康リスクを高めていることがわかりました。

また、大気汚染問題への関心を高めるため、グリーンピースはマレーシアのアートチームco2_karbondioksidaと共同で、世界各地の青空の写真2,000枚を使ったインスタレーション作品「To Dream of Blue Skies(青い空を夢見て)」を制作し、次世代にきれいな空気を吸う権利を与えたいという地元の人々の思いを表現しました。

台湾:海洋保護区で清掃活動を実施し、漁具の使用制限を訴える

ダイビングボランティアは、投棄された漁網を水中で除去し、浮力装置を使用して大きなゴミを海面に運び、陸上に運びます。

2022年9月、グリーンピースは台湾の南方四島保護協会と協力し、世界清掃デー(9月14日~15日)にアオウミガメ産卵生息地保護区の東部海域で、ボランティア32人とともに、2日間かけて海の清掃活動を実施しました。 

約200mの放置漁網を含む合計約400kgの廃棄物を撤去し、網にかかった魚やエビ、カニを見つけ、絡まった海洋生物を救出しました。政府が法律や規則を厳しくしなければ、海洋保護区は生態系を保護することのできない形式的なものになってしまうことが、今回の清掃で示されることとなりました。

グリーンピースの海洋プログラムディレクターは、「台湾の海の生態系が完全に損なわれないうちに、行政と海洋保全管理局が海洋保護法の立法手続きを早め、より広い海域を海洋保護区に指定し、漁具の使用を厳しく規制しなければなりません」と強調しました。

グリーンピースのキャンペーンの成果が実り、EUでは森林や海洋の保護に関する強力な法律が制定され、大企業サムスンはネットゼロ目標を設定しました。こうした活動が成功したのはサポーターの皆様のご支援のおかげです。

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来月もまた、世界中の環境保護活動の成果をお伝えできることを楽しみにしています。

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