東京から大阪、札幌から福岡まで、日本全国で記録的な猛暑が続いた今年の夏。気温は40℃を超え、1875年の記録開始以来、過去最悪の熱波となりました。世界各地で、今までに経験のない熱波に見舞われました。熱波による影響を最も受けやすいとされる高齢者や子どもにとって、大きなリスクです。

グリーンピース東アジアの調査によれば、このままの対策では、今世紀末には、平均で4℃、最悪のシナリオでは最高6℃も上昇すると予想されます*。これは地球規模の問題であり、特に最も脆弱な人々にとって大きな危機が続いています。しかし、私たちが気候変動を抑えるために迅速に行動することで気候変動の影響を抑えることができます。今回は世界的な事例をご紹介します。

1.都市の緑化

世界の人口の大半を占めるコンクリートが多い都市部では、緑地が不足していることがよくあります。都市緑化を適切に計画することで、都市に住む人々の生活環境を改善し、各国が気候変動に関する目標を達成するのに貢献できます。

植物が光合成を行う際に放出する水蒸気には、冷却効果があることが研究により明らかになっています。*1

グリーンカーテン

建物の壁面や窓等をツル性の植物で覆い、夏の強い日差しを遮るカーテンのことです。 植物自体が水分を含んでいるため、水分が蒸発する際に周囲から熱を奪う効果で涼しさを感じることができます。

グリーンルーフ

ビルの屋上や家の屋根に植物などを植えて緑化することです。 「エコルーフ」、「リビングルーフ」と呼ばれることもあります。 主に都会の高層ビルの屋上などで見かけますが、最近では一般住宅でも導入が増えています。断熱性の向上、消費電力の削減、雨水の貯留、空気の浄化、生物多様性の向上などの効果があります。

コリドー

生きものの生息地の核となる環境を結ぶ、動物の移動経路などのことをいいます。コリドーは水質の改善や河岸補強が可能になるため、地権者の同意が得られやすいのです。 また、河畔は行政の管理下にある場合も多く、コリドーが作りやすいという面もあります。

これらを作ることは、特に赤道周辺や北欧などの降雨量の多い地域の都市に有効です。

2.電力を使用せずに建物を冷却する受動冷却

@shutterstock

特に、森林やエアコンなどの資源が限られた地域で涼しさを保つことは、地球温暖化がすすむ中とても重要なポイントです。

米国の研究によると、遮光や自然換気などの戦略により、エアコンの圧力を最大80%削減できることがわかりました。*2

2021年の気象データを用いたシミュレーションでは、グリーンカーテンなどにより、エアコンがなくてもアパートの気温が適度な温度に保たれることがわかりました。

3.伝統的な建築技術

マシュラビヤ (木彫りの格子細工が施された突き出た窓) は通常、建物の上層階に配置され、
持続可能な交通手段とは、天然資源に依存しない交通手段のことです。
現在の移動は自動車の割合が高くなっています@shutterstock

自動車での交通は、二酸化炭素排出量の4分の1を占めています。温暖化を抑えるためにはこの交通手段を見直して行かなければいけません。
 
私たちが個人としてできる対策は、以下の通りです。
 
・2km以内の場所には徒歩で行くことを意識しましょう。20分歩くと通常約1.6kmの距離を移動することができ、世界保健機関(WHO)が1日30分以上の身体活動を推奨しているように、私たちの日々の健康にとってもいいことです。
 ・食料品の買い出しや通勤など自転車で30分(約9km)程度で済むものは積極的に自転車を使用する。
・出張なら電車で2時間、週末の旅行なら電車で4時間、飛行機よりも費用対効果が高く、環境にも優しいです。
 
しかし、こうした選択肢はすべての環境で容易に利用できるものではないこともわかっています。都市によっては車への依存度が高すぎたり、熱波によって徒歩での移動が不可能になったりしています。
それでも車が必要だとしたら、私たちにできることは何でしょうか。

かつて、社会の建築環境は、それぞれの景観の特質と密接に対応しながら形成されてきました。しかし、グローバル化が進むことにより、建築の均質化が進行しています。

近年、猛暑や熱波の影響から伝統的な建築に回帰する研究が進められています。。

ペルシャ湾では、日影を最大限に生かした狭い路地、内部の中庭、石灰岩のような吸湿性・反射性のある建材などの伝統的な建築が、都市部の冷却に役立つことが研究で明らかにされています。

石灰岩や泥などの自然素材は、時には砂漠の植物と混ぜることで、建物の温度を調節することができる建材となります。世界中の建築様式それぞれには、その土地に合った素材のものがあります。

4.持続可能な交通手段への切り替え

この写真撮影は、グリーンピース・インドネシアが、混雑するジャカルタの都市移動において、大気汚染のない交通手段として自転車の利用を促進するために看板を掲げ撮影行いました

持続可能な交通手段とは、天然資源に依存しない交通手段のことです。

現在の移動は自動車の割合が高くなっています

自動車での交通は、二酸化炭素排出量の4分の1を占めています。温暖化を抑えるためにはこの交通手段を見直して行かなければいけません。

私たちが個人としてできる対策は、以下の通りです。

・2km以内の場所には徒歩で行くことを意識しましょう。20分歩くと通常約1.6kmの距離を移動することができ、世界保健機関(WHO)が1日30分以上の身体活動を推奨しているように、私たちの日々の健康にとってもいいことです。

・食料品の買い出しや通勤など自転車で30分(約9km)程度で済むものは積極的に自転車を使用する。

・出張なら電車で2時間、週末の旅行なら電車で4時間、飛行機よりも費用対効果が高く、環境にも優しいです。

しかし、こうした選択肢はすべての環境で容易に利用できるものではないこともわかっています。都市によっては車への依存度が高すぎたり、熱波によって徒歩での移動が不可能になったりしています。

それでも車が必要だとしたら、私たちにできることは何でしょうか。

5.自動車産業への責任ある法規制を推進する

世界のCO2総排出量の24%は交通機関から排出されています。

世界中の環境活動家が自然エネルギーによる解決策を取り入れるよう働きかけていますが、大手企業は行動に移していません。日本を代表する企業のひとつであるトヨタ自動車も同じです。

トヨタは、新型コンパクトカーのCO2排出量や燃費の面で欧米勢に勝っています。

しかし、トヨタは国内外で電気自動車政策の遅れをとっており、ハイブリッド車を含むガソリン車の普及を唱え、気候変動規制を弱めてます。

各国のニュースでは、パリ協定と整合性のない政策をとるトヨタの姿勢を非難しています。

最近、EUは2035年までにハイブリッド車を含むすべての化石燃料車を段階的に廃止することを決定しました。米国は2030年までにバッテリー式電気自動車50%を目指し、中国も急速に車両の電動化を進めています。

一方、日本はまだ化石燃料車の段階的廃止の時期は決まっておりません。

現在の目標ではまだハイブリッド車を認めていますが、これはガソリンを必要とするため、100%ゼロエミッションへの移行が遅れることになってしまいます。

2030年までに日本のゼロエミッション車を1%から100%へ

温暖化を1.5℃以内に抑えるためには、2030年までに販売台数でゼロエミッション車100%を達成しなければなりません。しかし、日本はバッテリー式電気自動車の普及率は現在1%未満で、ヨーロッパや中国やアメリカにも大きく遅れをとっています。

いま、公共交通機関の脱炭素化と、車を持たずに生活できる社会を作っていくことで、自動車の数を減らし、環境負荷を減らすことが求められています。

変革を起こすには皆さんの声が必要です。

*日本の予測平均気温では、将来の地球温暖化のシナリオや気候変動による潜在的なリスクについて詳細な分析を示しています。2022年は16℃前後ですが2100年ではSSP5-8.5(共通社会経済経路) では、最高気温 の予測の中央値は 20.84℃ となり、現在のレベルより 4℃ 上昇することになります。
また、90thの場合は22.74℃となり、現在より6℃上昇します。


ゼロエミッションの
交通手段を選んで、
日本の脱炭素を加速させよう!