車や飛行機などの交通機関から排出されるCO2は、全CO2排出量の4分の1ほどを占めると言われています。交通機関から出るCO2の排出に対し、いま一番スピードアップしてできることが自動車の電気自動車化(EV化)です。
世界では、「破壊的変化 – Disruptive Change」と言われるほどの猛烈なスピードでEV化が進んでいますが、日本は、完全に自動車のEV化に乗り遅れ、EVの普及率は1%にとどまっています。
しかし、だからと言って、ゼロエミッション車への”破壊的な変化”が日本でまったく起こっていないわけではありません。このブログでは、5つの先進的な事例を紹介していきます。

「電力の破壊的変化  – Disruptive Changeが起きつつある。少し遅れて、モビリティの世界もEV化、自動化、ライドシェアが統合される形のDisruptive Changeが起き始めています」環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也氏

した「破壊的変化」について語りました。世界はいま、二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けて動き始めています。交通機関から排出されるCO2は、全CO2排出量の4分の1ほどを占めると言われています。

交通機関から出る温室効果ガスの排出に対し、いま一番スピードアップしてできることが自動車のEV化です。

2021年は、世界全体の新車販売の8%がEVでした。2022年はそれがさらに倍増するようなスピードで、自動車のEV化が進んでいます。これを加速させながら、同時に電力の再生可能エネルギー化を進めていくことによって、CO2減らしながら、同時にエネルギーの自立化を進めていくことができます。

日本は、完全に自動車のEV化に乗り遅れています。ヨーロッパや中国は、昨年の新車販売台数の数十%、アメリカでも4%くらいが、いわゆるバッテリー式電気自動車、もしくはプラグインハイブリッドでした。いずれも今年は倍増すると言われていますが*1、日本はわずかに1%にとどまっています。

日本の大手自動車メーカーは、世界的なEVへの移行競争の中で出遅れてしまっています。 トヨタなどの大手自動車メーカーは、100%EVをめざすのではなく、ガソリンに比べて30%しかCO2を削減しないハイブリッド車を維持しています。

しかし、だからと言って、EVへの「破壊的な変化」が日本でまったく起こっていないわけではありません。このブログでは、5つの先進的な事例を紹介していきます。

 *1 ICCT: THE G7 GETS SERIOUS ABOUT DECARBONIZING ROAD TRANSPORTATION

1. EV車の郵便配達

電気自動車(EV)バッテリーのリサイクルから、車に蓄電された電気を家で使うV2Hシステムまで、”破壊的変化”と呼ばれる急速な自動車の電動化の波は日本でも起きています。トヨタなどの大手自動車メーカーの決断と行動力さえあれば、新しいモビリティ・サービスとカーボンニュートラルの未来は、実現可能です。
小山郵便局の急速充電器。一時帰局時などに充電することで、一日の走行距離を伸ばすことができます。
(画像出典: jpcast.japanpost.jp)

郵便局が、配達にEVを導入しているのをご存じでしたか?

東京都区内や大都市圏、そして栃木県の小山郵便局などで、EVが導入されています。日本郵政グループ全体で、集配車両が温室効果ガス排出量の約2割を占めています。

栃木県小山郵便局のEV導入は、走行距離の長いエリアでの実証実験という役割も兼ねているそうです。小山郵便局 第一集配営業部の郡司弘典さんは、「EV車両は、排気ガスの排出など環境への負荷が少なく、騒音も抑えられるのでいいですね」と話しています。(引用:JP CAST

2. 災害時に電力供給源にもなるEVトラック

ELEMOは100%電力で走行します。ですから、環境配慮型企業のイメージアップにも最適です。
さらに災害時に電力供給源としての活用も可能。(画像出典: hwe-cars.jp)

100%電気で走るEVトラックを日本に広げようとしている企業もあります。

例えば、HW ELECTRO社の「ELEMO」は、走行中のCO2排出がゼロで、騒音も少ないEVトラックです。

CEOの蕭 偉城さんは、東日本大震災で電力供給が途絶えて困る被災者の方々の姿を見て「移動する電力供給源があれば」と無力さを痛感したという経験から、EVをコミュニティのエマージェンシーツール、移動エネルギー源としても見ているそうです。

3. EVバッテリーの蓄電能力を利用して再エネ拡大へ

学生が中心となったスタートアップ企業のYanekara (画像出典: blog.ethicalcareerdesign.jp)

Yanekaraは、「屋根から自然エネルギー100%の未来をつくる」ことを目指す東大発のエネルギーテックスタートアップで、EVバッテリーの蓄電能力を活用して、電力の需給調整に生かすシステムを開発しています。

自然のエネルギーを使った再生可能エネルギーの発電量は常に変動するので、再生可能エネルギーを主力電源にするには、発電量と電力需要量のバランスを取るための蓄電設備が必要です。EVの中に眠っているバッテリーを蓄電に活用するには充放電器が必要ですが、これまでは高額なため導入が進まず、EVバッテリーは活用されることがありませんでした。

Yanekaraが開発している充放電システムでは、クラウドから自動でEVの充放電を行い、多数のエネルギーリソースを群管理・制御することができるそうです*

4. EVに溜めた電気を家で使えるV2H (Vehicle to Home)

屋根についた太陽光で発電した電気で車を充電するだけでなく、車に溜めた電気を家で使うことができれば
太陽光パネルが発電しない夜も安心。 © Elizabeth Dalziel / Greenpeace

V2H(Vehicle to Home)とは、EVに蓄えた電気を、家庭で利用するシステムのことです。一般的なEVは、家の方から電気をもらって充電しますが、車に蓄電している電気を家の電気として使えるシステムが、V2Hです。

そのため、停電が起きても、EVに貯めている電気を家で使うことができ、もちろん車の走行にも使うことができます。

V2Hシステムの導入を日本で進めようとしている企業には、Ex Worldなどのスタートアップ企業があります。

5. 電気自動車のバッテリーのリサイクル

エマルションフローテクノロジーズのCTOである長縄 弘親氏 (画像出典:エマルションフローテクノロジーズ)

エマルションフローテクノロジーズは、EVバッテリーから、コバルト、ニッケルなどのレアメタルをより早く、より低価格で抽出することを目指しているスタートアップ企業です。従来のアプローチよりも100倍高速な抽出プロセスを開発しているそうです。 また、リチウムイオン電池などからレアメタルを抽出することも目指しているといいます*

EVバッテリーは、EVへの移行に関して、主要な懸念事項の1つです。バッテリーからのレアメタルの回収は、資源に関連するサプライチェーンと地政学的な課題を解決する可能性があります。 コバルトの採掘は児童労働と関連しています。 さらに、使用済みの電子機器は、汚染を引き起こす発展途上国に送られることがよくあります。 より良いリサイクル戦略を開発し、より多くのEVを採用しようと競争している世界に貢献することが重要です。

環境にいいだけでなく、新たな雇用の機会に

グリーンピースが2021年に発表した報告書『日本の乗用車の脱炭素化によるマクロ経済および環境への影響』は、ガソリン車から再生可能エネルギーを利用したEVへの移行は、日本経済の成長と雇用創出に繋がることを明らかにしました。ガソリン車の新車販売禁止は、大規模な失業を招くことにはなりません。その代わり、2050年までに今と比べて約30万の雇用が創出されると予測できます。

今、トヨタや日産のような大手自動車メーカーにとって重要なのは、EV化への変化に”参加する”だけではなく、その変化をリードする存在になることです。私たちの周りでは、カーボンニュートラルの未来に向けて、すでにたくさんのポジティブな変化が起きています。さらなる気候災害から私たちを救うことができる新しいモビリティ・サービスは、企業の行動力さえあれば、実現可能な未来です。

日本をゼロエミッションに導こう

温暖化を1.5℃以内に抑えるためには、2030年までにゼロエミッション車100%を達成しなければなりません。しかし、日本はEV車の普及率は現在1%未満で、ヨーロッパや中国やアメリカにも大きく遅れをとっています。


どうすれば、変革が起こせるでしょうか?このゲームで、あなたが日本をゼロエミッションへ「ドライブ」してみませんか?

ゼロエミッションの
交通手段を選んで、
日本の脱炭素を加速させよう!